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ユーザー事例紹介

BIMがもたらすメリットによる建築生産システムの
変革の可能性を追求<ヤマト>

2016.12.26

建築設備工事会社として、70年以上の長い歴史をもつヤマト。
北関東最大手のサブコンである同社はNYKシステムズの建築設備専用CAD「Rebro(レブロ)」
を採用してBIM化への取り組みを推進し、サブコンにおけるコンピュテーション活用のトップ
ランナーとして知られている。
同社は、現段階ではBIMの有効性を考慮しプロジェクト毎のレベルを設定しながら柔軟に運用。
さらに、バーチャルと実物商品で効果的に投資効果を体感できる「サポートセンター」を設立
し、BIMの「見える化」のメリットを強力に発揮させ、クライアントの意思決定の促進と生産
性の向上につなげている。


レベルを設定しBIM化を推進する
環境技術に配慮した建築設備工事会社として、省エネ、空調工事、水処理、上下水道、冷蔵・
冷凍設備をはじめ、躯体や内装改修までの技術とサービスを提供するヤマト。建物全体のトー
タルマネジメント企業を目指す同社では、設備CADとしてNYKシステムズのレブロを統一して
採用している。同社では、レブロのBIMデータを活用し、企画から設計、加工を含めた施工、
維持管理まで一連の流れを社内で完結できる仕組みを整備。プロジェクトの状況や関わり方に
合わせて、ものづくり全体の生産性向上に役立てている。
現在同社では、代表取締役社長の町田 豊氏の方針に基づき、生産設計(BIM)をレベル1から
3まで設定してプロジェクトごとに取り組んでいるという。レベル3は、フルBIM。建築・設
備・電気の企画-設計-施工-運用まで自社で担当する案件について、すべてのフェーズでレ
ブロをはじめとしたBIMソフトを活用する。レベル2は、建築情報を反映した設備図面をレブ
ロで作成する場合。建築と設備の取り合いを事前に確認し、整合性を持たせて配管システムの
工業化を促進する。レベル1は、建築情報が提供されず設備との納まり調整ができない場合で
も、レブロで設備図面を作成するもの。レブロのBIMデータは設備情報の自動積算と数量拾い
を可能にするため、生産性が大きく向上する。
同社執行役員 企画推進部長の鳥居 博恭氏は、「生産性の向上は、部分的な最適化では限界が
あり、トータルで考えなければなりません。建築+設備+電気、また設計会社、施工会社、建
材・設備メーカー、メンテナンス会社が同じ土俵で、BIMという道具でつながっていく必要が
あるのです」と語る。

         株式会社ヤマト 執行役員 
         企画推進部長 鳥居 博恭氏

         株式会社ヤマト 執行役員
         企画推進部長 鳥居 博恭氏


こうした考えは現在は代表取締役会長の立場にある新井 孝雄氏の推し進めた「建築生産シス
テム改革」並びに設備工事の工業化の実現に向けた取り組みの延長線上にある。「グローバ
ル経済で競争している製造業のように、市場ニーズからコンセプトを決め、コストや手間、時
間を大幅に削減して生産性を上げていかないと建設業はいずれ減退してしまうのではないか。
そのためには、企画、設計からものづくり、運用、保守までが連携し、クライアントの視点を
持って企業活動をしていかなくてはならない。全社員はそれぞれの立場で考えイノベーション
を起こしていくという新井会長の強い意識は、いま全社員に浸透してきています」と企画推進
部執行役員部長の鳥居 博恭氏は語る。
 
 
BIM化により生産性を上げるための工業化を推進する
前述のレベル2の段階にあるプロジェクトであっても、建築との取り合いを把握しながら、レ
ブロで設備図面を前倒しで確定するように進めることで仕様変更などに伴う手戻りは格段に
減り、現場の作業は大幅に省力化できる。また、モジュール化や部品種類の減少によって、工
場の配管加工などの生産にも無駄がなくなり、全体のコストダウンが見込める。さらに、案件
によっては、継手を合理的に省略したり、材質をより高品質なステンレスに変更したりするな
どのVE提案も同社では行っている。

     Rebroで作成した設備BIMモデル(1)

     Rebroで作成した設備BIMモデル(1)


     Rebroで作成した設備BIMモデル(2)

     Rebroで作成した設備BIMモデル(2)


「当社がなぜBIMに積極的に取り組むかというと、“生産性を上げるための工業化”を図るため
です。この考え方は住宅のプレハブメーカーが既に実践しています」と鳥居氏。
また、鳥居氏が喫緊の課題としているのが、建物資産情報管理やファシリティマネジメント
(以下、FM)へのBIMの活用である。「建物、設備の運用段階でBIMを使って資産情報を体系的
に管理できると、部品の交換やチューニング、修繕内容までの各種情報が一元管理できます。
FMでのBIM活用にはまだまだ課題も多いですが、それでも、現状では建築、設備のできるとこ
ろから始めないと進まないことを認識しています。クライアントやメンテナンス会社が有効に
活用できるようなアウトフレームを決めながらシステム構築をしていきたいと考えています」
と意気込みを語る。
 
 
建設フローの改革に繋がるサポートセンター
そして、ヤマトはBIMの大きな特徴である「見える化」をより幅広く、効果的に推し進めるた
めのリアルな場をつくり出した。同社の設備配管加工工場に併設し、2015年11月にオープン
した「サポートセンター」である。3DCGで等身大の完成イメージを疑似体験できる「バー
チャルルーム」建材・照明・空調・衛生など21社のメーカーの実物商品に触れ体験
較することができる「体感ブース」、そして最先端の配管技術やユニットモジュール技術を
体感できる「技術LABO」で構成する体感型ショールームで空間や意匠動線オペレーショ
ン、メンテナンス、資産管理までをワンストップで確認できるため、投資効果の透明化を図る
ことができクライアントや設計者施工者の意思決定と生産性を高めることを目的として設
立したという。同社企画推進部企画推進課課長の莅戸 和之氏は「早期の意思決定をサポート
しています」と語る。

         株式会社ヤマト 企画推進部
         企画推進課課長 莅戸 和之氏

         株式会社ヤマト 企画推進部
         企画推進課課長 莅戸 和之氏


「バーチャルルーム」で用意されているのは、60インチの液晶を21面にわたって配置した大
型マルチスクリーン。左右は角度を付けて設置されていて、中央の9面は4K対応。スクリーン
いっぱいに映し出された画像の前に立つと、これまでにない高い臨場感が得られる。PC1台で
制御できるようにシステムが組まれており、あらかじめ用意した完成予想3DCGパースや建材
や内装材などの詳細仕様、サンプル画像、設備施工イメージを映し、クライアントや関係者へ
の確認や提案を効果的に行うことができる。リノベーション案件でビフォー・アフターの姿を
プレゼンテーションすることによる効果は絶大だ。情報共有と合意形成が促されることで、工
事の生産性向上が見込める。

     バーチャルルーム(1)

     バーチャルルーム(1)


     バーチャルルーム(2)

     バーチャルルーム(2)


また、設備関連情報の見える化でも効果を発揮している。莅戸氏は「室内では制気口、衛生器
具、消火栓やコンセント、照明器具、室外ではベントキャップやウェザーカバー、空調設備の
室外機などが必ず必要です。工事が進んでからクライアントに“こんなところにこんなモノが
現れるとは思ってもいなかった”と言われることが多くありました。ここでは、レブロをはじ
めとした3Dソフトで設備関連機器の部品までつくり込んだ様子を事前に等身大で見せること
で、見落としが少なくなり、竣工後の完成イメージを実際に近いリアルな形で確認でき、手戻
り、手直しが無くなるのです」と効果を語る。そのほか、工事段階での資材置き場や搬入・駐
車スペース、養生足場などの仮設施工計画も3Dで見せることで変更や必要な申請がその
場で確認でき承認されたこともあるという。
「おかげさまでスタート以来、ほぼ毎日継続的に利用されていて、生産性向上という点で予想
通りの効果を生み出しています」と莅戸氏。このサポートセンターは、自社での活用のみなら
ず、建築設計事務所やゼネコンからの利用依頼の申し込みに対応しており、ヤマトの取り組み
への信頼を得て、パートナーとして、またマネジメント企業として認知されている。そして、
ヤマトへの直接の受注も増えているという。利用者増加に伴い、メーカーが出展する「体感
ブース」の展示内容も、拡充中だ。

     LIXILの体感ブース

     LIXILの体感ブース


     サンゲツの体感ブース

     サンゲツの体感ブース


「“建築生産システムに変革を起こしたい”という新井会長の想いから、このサポートセンター
は設立されました。サポートセンターの活用により、建設の生産性の向上を図るとともに、こ
れまでの建設フローの改革に繋げたいと思っています」と莅戸氏は語る。
BIMがもたらすメリットを、多方面からさらに展開するヤマトの取り組みに、建築生産システ
ムが大きく変革する可能性を強く感じた。
 
「Rebro(レブロ)」のさらに詳しい情報は、こちらのWebサイトで。