Magazine(マガジン)

ユーザー事例紹介

クライアントへのプレゼン力アップはもちろん社内の人材育成にも効果を発揮<横松建築設計事務所>

2017.02.14

2D CADやドラフターを使用していた設計事務所に、2008年からARCHICADを導入したとこ
ろ、半年後にはプレゼンで成果を発揮し、次々と設計業務を受注したという。
導入効果は人材育成にも現れ、未経験者でも高いモチベーションを持って仕事に取り組むこと
ができた。チームワーク機能も存分に活用し、社内でのBIM運用の標準化も図り、いまでは事
務所内ではARCHICADが特別なツールではなく、鉛筆のような当たり前の存在となっている。
今後は、さらに高度な技術、新たな分野や運用にも挑戦したいと意気込む横松邦明氏に話を
伺った。


わかりやすい3D効果でプレゼン力がはるかに向上
2003年から横松建築設計事務所で設計業務に携わるようになった横松邦明氏。「当初は、
2D CADで平面図や立面図などを描き、それをもとにしてパースや模型を作成していましたが
手間がかかるわりにリアリテーに欠けていてプレゼンでの説得力が弱いのが不満でした」と
当時を振り返る。
そんな折にWeb上の記事でBIM対応の3D CADの存在を知り、まず「他社のBIMソフトの体験
版をダウンロードして、見よう見まねで使ってみました。すると目からうろこというか……」
とすっかりとりこになってしまったそうだ。実は横松氏、建築設計事務所に入社する前は、
3D CADによりモデリングされたデータに基づき、工業製品の試作品を制作する仕事をしてい
た。そんな経験もあることから、3D CADの能力と将来性を認識しており、導入を推進しよう
としたそうだ。しかし、数あるBIMソフトの中で一番良いものを選ぶため、ほかのBIMソフト
を探すことにした。「新たに体験版で試したのが現在も使用しているグラフソフトジパン
のARCHICADです。ほかのBIMソフトに比べ自由度が高く直感的に操作できるため使いやす
かったことから導入を決意しました」と経緯を語る。

         株式会社横松建築設計事務所
         専務取締役 横松 邦明 氏

         株式会社横松建築設計事務所
         専務取締役 横松 邦明 氏


いまでは高度なARCHICADのスキルを身につけ、さまざまなセミナーで講演を行う横松氏だが、
導入当時は技術の習得のため、ソフトの機能を片っ端から試すなど、試行錯誤を重ねたとか。
そんな時に役だったのがグラフィソフトジャパンのサポートダイヤル。「わからないことが出
てくると、とことん電話で尋ねて解決しました。ほかにも、ARCHICADユーザーが運営してい
るブログも活用し、情報交換をしたりマニアックなテクニックを習得することができました」
という。
このようにして得たスキルにより、導入直後から多くの成果をあげた横松氏は、「ハイスペッ
クなマシン環境でなくても稼働し、精度の高いパースも作れ、パーツも充実している
ARCHICADのおかげで、クライアントの満足度が高くなりました。また、視覚的にわかりやす
い3Dモデルでさまざまなコミュニケーションがスムーズかつスピーディーに行えるのがうれ
しいですね」。

      セレモニーホールの外観パース

      セレモニーホールの外観パース


プレゼンする場所も多様で、「事務所ならばプロジェクターを使って迫力あるパースやウォー
クスルー映像をお見せしています。クライアントの所へ出向く時にはノートPCを使て説明
し、時にはその場で修正して、クライアントのニーズに素早く応えてみせます。また最近では
持参したタブレット上でBIMxによるモデルのやり取りをクライアントとしています」。
クライアントの目前で図面だけでなくわかりやすいパースや動画で検証してもらえることによ
り、相手が信頼して仕事を任せてくれるという。また、時間の短縮だけでなく、見える打ち合
せにより、クライアントと同じイメージを持ったまま設計を進められるメリットもある。

      住宅の内観

      住宅の内観



若手のモチベーションを高め人材育成にも貢献する3D CAD
同事務所では、設計担当者9名のうち横松氏を含む7名がARCHICADを使いこなしている。中
には20歳代のCAD未経験者もいたが、「私が設計に携わった頃は、2D CADで平面図や立面図
などを描くのが主流でした。しかし、3Dの立体は断面図の集積ですから、3D CADを使った方
がいま自分が何を描こうとしているかをより直感的に理解できます。建築の知識が浅かったり
CADの未経験者であっても、PCの操作に慣れているいまの若者世代にとっては、むしろ取っつ
きやすいのではないでしょうか」。まさにクライアントが3Dのプレゼンをわかりやすいと感じ
ることと同じである。
一方、CAD経験者にとっても便利な機能があり喜ばれているという。「例えば、建具を平面図
に指定すると自動で拾い出して一覧表にしてくれるなど、BIMならではの機能が省力化に貢献
していますよ」。

      保育園の平面パース

      保育園の平面パース


現在、事務所で行っている設計業務は、ベースとなる部分を横松氏がARCHICADでモデリング
し、その上に仕上げの指示を書き入れ所員に託し、あとは修正を繰り返しながら完成させると
いう流れが基本。「建築設計の経験値が少ない所員でも、メインストリームの作業を任される
ことで仕事を早く覚えられ、モチベーションも向上します。
チームワーク機能に関しても、担当の所員が2名になった時点でルールを策定し標準化したの
で、現在では効率のよい設計業務を行うことが可能です。ARCHICADを使うことが、以前の鉛
筆書きやドラフターでの作業と同様の位置づけにあり特に意識することなく「空気」のような
存在にすらなっています。展開図ばかり描いて仕事を覚えさせたこともあったと聞きますが、
弊社の場合は3D CADを導入することで効率よく人材を育成することができたと実感していま
す」。2008年からARCHICADを使いはじめ、現在では戸建て住宅や公共・商業建築物だけで
なく、住宅や店舗のリノベーションなど小規模なものも含め、図面やパースを描く設計業務は
すべてARCHICADで行っている同事務所。経験者が未経験者を所内で育てていくというスタ
イルがすっかり定着したという。

      BARのリノベーション 外観パース

      BARのリノベーション 外観パース



現状に満足することなく新たな展開にも意欲的に挑戦
ARCHICADを使いはじめて8年になる横松氏。最近ではより精度が高くリアルなパースの制作
を心掛けているという。取材やセミナー用に作成したツールには、ARCHICADで描いたパース
と竣工後に撮影した写真を並列にしたものがいくつかあるが、一瞬ではどちらがパースか写真
か見わけがつかない。それほど完成度の高いパースを描けるようになったにもかかわらず、「ARCHICADのパースの威力は、導入して半年ほどで実感することができました。プレゼンで
相手に与えるインパクトが強く、スピーディーだったことも効果的だったと思います。しかし、
いまでもこれに満足することなく新しいことにチャレンジしているところです」と意欲的だ。 
「建物の写真やパースを見れば、どのようにすればARCHICADで描けるかイメージすることが
できるのですが、複雑な形状や曲線を描くような立体は簡単ではありません。そこで試してい
るのがRhinocerosのアドオンソフトの「Grasshopper」というソフト。ARCHICADとの連携
で、複雑な形状を何度も検討できるようになりました」。従来のこの種のパースは感覚的な操
作を必要としたが、Grasshopperはアルゴリズムを使うため、まるで方程式を解くかのような
感覚で描くことができる。

     Grasshopperを用いた設計

     Grasshopperを用いた設計


決して現状に甘んじることなく先を見る横松氏。東京オフィスを開設し、新たな業務の獲得も
図っているようだ。「今後は、まちづくりなどの新分野への応用をはじめ、ゼネコンや設備設
計事務所とBIMというコミュニケーションツールを介して協業ができるとうれしいですね」と
新たな展開にも期待しており、ARCHICADの存在がますます重要となりそうだ。

「ARCHICAD」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。