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コラム

BIM・建築のデジタル情報化・FM

2017.02.16

ArchiFuture's Eye                 大成建設 猪里孝司

ちょうど一年前、このコラムで建築をデジタル情報化することの意義として、AI・ロボット・
パーソナルモビリティを挙げた。建築をデジタル情報化するということは、建築をコンピュー
タが理解できる形式で表現するということである。2次元CADで図面を描くのも建築のデジタ
ル情報化だしスマートフォンで建築の写真をとるだけでも建築をデジタル情報化したといえ
る。3次元スキャナーでの計測や複数の写真から3次元形状を生成するのも同様である。建築
をデジタル情報化する手法はさまざまだが今のところBIMが最も優れた手法だと思っている。
そう考える最大の理由は、BIMをサポートする国際的なコミュニティ、building SMART
International(bSI)とその日本支部building SMART Japan(bSJ)の存在である。BIMに
はさまざまな問題、課題があり、完璧は程遠いものであることは承知しているが、少しずつ改
善され進歩しているのも事実である。それを支えているのがbSIでありbSJである。日本支部
には、まだ建築オーナーという立場の会員がいないのが残念であるが、海外の支部では建築
オーナーも参加している。きっと、建築をデジタル情報化するメリットに気づき参加している
のだと思う。
 
建築をデジタル情報化するメリトの一つにフシリテマネジメント(FM)での活用がある。
耳にタコができるくらい聞いているのにまだ実現していないぞと思われている方が大勢い
らっしゃるだろう。確かに実現しているとは言いがたい。関係者のひとりとして反省している。
2月22日から24日に開催されるファシリティマネジメントフォーラム2017で「FMでのBIM活
用 フシリテマネジーの役割」というお話をする機会を得た。日本フシリテマネジメ
ント協会(JFMA)のBIM・FM研究部会で議論してきたFMのどのような場面でBIMが有効に使
えるかをお話する予定だ。フシリテマネジーや建築オーナーにBIMおよび建築のデジタ
ル情報がFMにどのように役に立つかを聞いていただきたいと思っている。
 
昨年のコラムで触れたAIやロボット、パーソナルモビリティは未来のことで、建築のデジタル
情報化も当面の課題とは考えられていないかもしれない。しかし建築を使っていく上で建築の
デジタル情報は結構役に立つ。保守や管理にも大いに役に立つ。情報がデジタル化しているの
さまざまなシステムと連携しやすく新たなサービスや価値創造のもととなる。FMでの活
用はきっかけに過ぎない。設計者、施工者BIM関係者、FM関係者など建築に関わるプロとし
てではなく、建築を利用する人として建築のデジタル情報化が利用者にとってどのような意義
があるか、どのようなサービスがあればいいかを考えて欲しい。

 Ⓒアルゴリズムデザインラボ

 Ⓒアルゴリズムデザインラボ


    「ファシリティマネジメントフォーラム2017」の案内
     ※上記の画像、キャプションをクリックすると日本ファシリティマネジメント
     協会のWebサイトへリンクします。

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     ※上記の画像、キャプションをクリックすると日本ファシリティマネジメント
     協会のWebサイトへリンクします。


 

猪里 孝司 氏

大成建設 設計本部 設計企画部長