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コラム

香港の夜景

2015.05.26

ArchiFuture's Eye                 大成建設 猪里孝司

4月末、生まれて初めて香港に行ってきた。香港といえば「夜景」である。出発前日までバタ
バタしていて、昨年大きな騒動があったことも忘却の彼方、ほとんど予備知識なしの出発とな
ってしまったが、ビクトリア・ピーク(太平山)くらいは知っている。
ピークトラムというケーブルカーに乗って、山頂に直行した。少し曇っていたが、眼下に超高
層ビルが立ち並ぶ様は美しかった。個人的には箕面山や生駒山から見た大阪の夜景を好むが、
建築の美しさはこちらの方に軍配を上げる。フェリーで海上からの夜景を手軽に楽しめるのも
香港ならではかもしれない。
フェリー乗り場に向かう途中、香港上海銀行ビルを振り返って驚いた。海側のファサードが
全面ディスプレイと化していた。他の超高層ビルもライトアップされていたのだが、その差は
歴然としていた。演出家の違いなのか、財布の違いなのかは分からないが、地となる建築の格
の違いを見せつけられたようにも感じた。きちんとしたモノを造っておく新たな価値を発見し
たような気がした。



猪里 孝司 氏

大成建設 設計本部 設計企画部長