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コラム

ゲーム業界に学ぶ形状仕上げ

2017.06.15

パラメトリック・ボイス                清水建設 丹野貴一郎

5月8日~9日に東京国際フォーラムで国内最大のUnityカンファレンスイベントであるUnite
2017 Tokyoが開催されました。
知っている方も多いと思いますが、ゲームを作る際には俗に「ゲームエンジン」と言われる開
発環境を使うことも多く、その中で世界シェアNo.1を誇るのがUnityです。
近年では、その表示能力の高さや、ARやVRを含めた様々な開発プラットフォームとしても注
目され、ゲーム以外の分野での利用も増えつつあります。

私も、数年前にARやVRの開発に取り組みはじめた時にUnityを導入したのですが、その機能
を他にも活用できないかと試行錯誤していたところ、縁があってUniteでの講演をすることに
なりました。

Uniteの座席は、基本的に前列がUnity ProまたはUnity Plusのサブスクリプションライセンス
(昨年からサブスクリプション形式へと移行)を所持しているユーザー用で、後列がそれ以外
となっています。そのため、前列はゲーム業界のコアユーザーが多くなり、一般ユーザーと
ユーザー以外は後列といった構成になります。
ちなみに私のセッションでは、ほとんどが後列に座っており、建築業界でのUnity普及の少な
さと、ゲーム業界での建築への興味の少なさを知る結果となりました。(そもそも私の講演の
内容の問題なんじゃないか、ということは気付かないふりをしています。)

ゲーム業界では、もちろん全てではないにしろ、開発のテクニックやコツを共有する事で、業
界全体の技術力とスピードの向上を図っており、建築を含めた既存の産業においては、技術を
囲い込んで発展してきた文化そのものを変えていかなければ、この距離は縮まらないんじゃな
いかと思ったりします。

ゲームを作る時のモデリングでは、数値入力ではなく感覚で形を作っていくことが多いと思い
ます。違和感なくそれっぽく作るということは、それを人間が使う以上とても大事なことで、
建築でも特に仕上げ等の場合は、数値が何mmずれるかということよりも全体が違和感なくき
れいに見えるかということが大事だったりします。
特に3Dモデルを扱っていると、どうしても一つ一つの数値に支配されてしまいがちですが、全
体のバランスをとってきれいに見せる形状管理も大切で、そのためには、どこが形状に与える
影響が大きいかを判断し、製作、計測、取付、管理を考えた納まりにしていく必要があります。
この辺はジオメトリックエンジニアリングと言われるアプローチで解決されている部分ですが、
実際の製造や施工の工程では必ずズレが出るので、その修正方法を考えておいた上で、現場で
は臨機応変に「違和感なくそれっぽく」修正するという事になり、意外とここが最終的な仕上
がりの差に最も影響したりします。

最後にUniteの展示から興味を惹かれたものをひとつ。なかなか事例が増えないGoogleの
Tangoを使ったコンテンツで、実空間に出現するモンスターを撃つとそこにコインが現れ、そ
れを実際に動いて取りに行くというゲームです。私はゲームをほとんどやらないので、ゲーム
的な面白さは判断できませんが、実際に自分が歩いて取りに行く感覚が、ポケモンGOの時の
「ARってこんなもんだっけ感」から一歩進んだ新しさを感じました。

 1→10 drive

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