Magazine(マガジン)

コラム

2050年の建築ライフ…?

2015.06.18

パラメトリック・ボイス                竹中工務店 石澤 宰

21世紀も15年目。今世紀の半ば、2050年とはどんな時代になるのでしょうか。先日、2050年
に世界戦争が起こる、と主張する本を読んで驚きました。設計部の同期に勧められたジョージ・
フリードマン「100年予測」での地政学に基づいた洞察です。私はその時69歳の前期高齢者とし
てどこでどうしているのかと外を眺めてボンヤリしてしまいました。ひょっとしてその時は定年
延長と再雇用でまだ働いているのかも…と思ってさらにボンヤリしました。
 
世界平和を祈りつつ我に返るとして、未来像はBIMにとって重要です。BIMが向かう先を見据え
ることは同時に、建設業の将来を考えることとも一体のはずです。すこし調べてみましょう。
 
固定電話の回線数が10億に到達したのが2001年で、電話の実用化から起算すると実に124年目
のことでした。他方2012年10月4日、Facebookのユーザー数が10億人に到達したのは創業から
9年弱、104か月目のことです*1。1年:1か月の対比よりさらに急速な拡大です。新技術普及
の加速度は驚異的であり、かつ世界の7人に1人が使うプラットフォームの影響力は計り知れま
せん。
 
では、どのような新技術が次に来るのか。ガートナーが毎年発行しているハイプ・サイクル2014
年版の資料をみると、今まさに流行期にあるのはモノのインターネット(IoT)や家庭用3Dプリ
ント、音声翻訳など。あと数年で流行期に突入すると予測される技術に、立体ディスプレイやヒ
ューマンオーグメンテーション(人体強化)、スマートロボットが挙げられています*2。
 
これらの新技術は一つの方向に向かっています。2014年には、Googleのラリー・ペイジもMicrosoftのビル・ゲイツも、今後20年間で多くの仕事は機械によって代行されるだろうと予言
しました*3。カク・ミチオの「2100年の科学ライフ」はいわば上記の「100年予測」の科学版
ですが、2030年までに急速なソフトウェア化が進むであろうことが様々な分野について予測され
ています。デューク大学のキャシー・デビッドソンはさらに定量的に、「2011年度にアメリカ
の小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」
と述べました*4。
 
一品生産的である建設業にはあてはまらない、と思われるかもしれません。The Future of Employmentという2013年の論文があります*5。様々な職業について、今後20年以内にコンピ
ュータに代替される可能性の順にランキングを試みています。最も代替可能性の低い、つまり人
間の仕事でありつづける可能性が最も高い職業は、遊戯療法士(正直に申し上げると私は初めて
聞きました。下にWikiのリンクを張っておきます*6)。最下位の702位、つまりもっとも危うい
職業は電話営業。車も自律運転になろうとしている時代、無理もないかもしれません。
そして建設業関係は順に、建築家(アーキテクト)が82位、現場管理人が199位、ドラフターが
305位、建築検査官が350位、建設作業員が512位、重機オペレーターが617位。機械化・電子化
はもちろん段階的に進行するとはいえ、建設業も20年間で様変わりすることは間違いありません。
 
ということはそもそも、私が69歳まで働き続けたならば、職能上担う役割が今と同じという保障
はどこにもありません。なんとなればその35年に、上記の変化は2サイクル訪れるわけです。
ボンヤリしている暇などないのでした。この先アップデートを続けてゆかないことにはどうしよう
もなさそうです。

 
*1  Facebook reaches one billion users
*2  ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル: 2014年」を発表 デジタル・ビジネスに向けた動きが明確に 
*3  グーグルCEO「20年後、あなたが望もうが、望むまいが現在の仕事のほとんどが機械によって代行される。」
*4  Education Needs a Digital-Age Upgrade
*5  The Future of Employment, 2013
*6  Wikipedia - 遊戯療法

 外を眺めたところ。今後数十年で様変わりすると考えられる今日の現場風景

 外を眺めたところ。今後数十年で様変わりすると考えられる今日の現場風景