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ユーザー事例紹介

BIMソフトの活用により、施工を中心とした
飛躍的なBIM推進を成し遂げる<共立建設>

2017.11.29

企業施設や商業施設集合住宅など幅広いジンルでの建設に携わる総合建設会社の共立建設。
技術開発を会社の核とする新たな方針に沿い、BIMの導入を開始し、技術企画本部内に「3Dラ
ボ」が設立されたのは2015年と最近のことだ。
同社は、BIMの使用目的が当初から明確であったことと、全社的に3D化への期待が高まってい
たこと、そして適切なタイミングでARCHICADを導入したことで、社内でのBIMの活用が飛躍
的に加速しさまざまな場面で利用されている。中堅ゼネコンが先陣をきてBIMソフトを導入
したなかで見えてきた実際の活用法やメリトは今後、中小ゼネコンが現場にBIMを導入する
際に大いに参考となるはずだ。


3Dプリンタの導入から始まったBIMへの道のり
NTTの後援により設立され、60年以上にわたってNTT通信関連施設の新築・リニューアルを
はじめ、商業施設や集合住宅など、幅広い分野の建設業務に携わる総合建設会社の共立建設。
同社がBIMに取り組むきっかけとなったのは、只腰博隆社長が打ち出した方針であったという。
「中堅ゼネコンが生き残るには技術開発が重要だとし、テーマの調査が命じられました」と
技術部長の三好正和氏は振り返る。そして「何かおもしろいことをしよう」との社長の一言か
ら3Dラボメンバーが企画したのが3Dプリンタ活用のアイデアコンテストであた。
「1等は自社で建てた建物をミニチュアで再現した営業用イラストをジオラマにする案で、技
術企画本部で作成することになりました」と語るのは、技術部 課長の米倉正剛氏。「3Dプリ
ンタの出力にはSTLファイルが必要となりますし、3D CADで作ったデータがないことには始
まりません。そこからBIMへの関心が一気に高まりました」と企画設計部 次長の竹内芳乃氏
は語る。

     BIM導入のきっかけとなったジオラマ

     BIM導入のきっかけとなったジオラマ


竹内氏は「最初は、他社ソフトを導入しました。入力は簡単にできたのですが、使ううちに
グラフィックや機能性などで物足りなさを感じるようになりました。また、詳細な納まりへの
対応は難しいと思いました」と振り返る。グラフィックに強く、細部の作り込みができる
グラフィソフトジャパンのARCHICADを導入したい思いは強くなっていたが触れたことがな
いため、操作性への不安などがネックとなっていた。

 共立建設株式会社               共立建設株式会社
 執行役員 技術企画本部副本部長        技術企画本部 企画設計部
 技術企画本部 技術部長            次長  竹内 芳乃 氏
 本店 トータルサポート本部 担当部長
 三好 正和 氏

 共立建設株式会社               共立建設株式会社
 執行役員 技術企画本部副本部長        技術企画本部 企画設計部
 技術企画本部 技術部長            次長 竹内 芳乃 氏
 本店 トータルサポート本部 担当部長
 三好 正和 氏


そうした中で、当時入社1年目の伊東瑠那氏が、技術企画本部に配属される。「たまたま米倉
から日本建設業経営協会のBIM研究会に参加していることを聞いたとき自分が大学在学中にARCHICADを学び使えることを口にしたところ大騒ぎになりました」と伊東氏。渡りに船と
ばかりにメンバーに加えられ、共立建設のBIM推進は大きく動き出すことになった。学生時代
にARCHICAD学生版を使用し社会人となり引き続き利用する場合は割引購入できる「ヤング
アーキテクト プログラム」の適用を受けられることも、導入に向けて力強く背中を押した。


配筋検討から設計変更まで対応するARCHICAD
早速、RC造の鉄筋の納まり検討でARCHICADが活用されたという。竹内氏は「いまは高層の
建物でもRC造とすることが多く躯体の中で鉄筋が込み入っています。工事部門からは、施工
前にBIMで納まり検討ができないかとの声もあり、ARCHICADであればモデル化が可能と考え
ました」と語る。米倉氏も「配筋は構造図に付される配筋標準図を元にするのですが、現場に
応じた鉄筋自体の図面は通常は用意されないため、鉄筋の納まりを事前に見られるのは大きな
メリットです」という。以前の2次元図面では、どうしても合意形成の面で限界があった。
竹内氏も「共通認識の度合いがまったく異なります。関係者間の理解が深まって手戻りが減り、
リスク回避できます」と効果を語る。開口部周りでの取り合いなどでも、活躍しているという。

 共立建設株式会社              共立建設株式会社
 技術企画本部 技術部              技術企画本部 技術部
 課長 米倉 正剛 氏              伊東 瑠那 氏

 共立建設株式会社              共立建設株式会社
 技術企画本部 技術部              技術企画本部 技術部
 課長 米倉 正剛 氏              伊東 瑠那 氏


「開口部の位置について設計変更が繰り返されたことがありますが、バルコニーの立上がりと
の緩衝や、スキップフロアの床スラブとの関係を見るのに役立ちました。また、外装材のバリ
エーションについて、レンダリングをかけて設計事務所に提示したところ、使い勝手に驚いて、
その事務所もすぐARCHICADを導入していました」と伊東氏は語る。
ゼネコンとしてARCHICADの大きなメリットは、多くのソフトと連携していることである。
「書き出せる拡張子の種類が、抜きん出ていますね。データファイルの読み込みも、STLファ
イルなど多様なデータを持て来やすいので使用頻度は自然と上がります」と米倉氏。
伊東氏も「オブジェクトのデータも追加しやすく、コンバータの代わりに使うときもあります」
と語る。

   ARCHICADによる配筋検討

   ARCHICADによる配筋検討


そして現場での活用を促進させたのが、BIMxであった。「現場の所長やスタッフは、携行し
ているiPadやスマートフンでBIMxを用いて3Dモデルを好きな方向から見ることができます。
BIMxのモデルはデータが軽く、メールなどのやり取りにストレスがありません」と三好氏は
語る。
ARCHICADはニーズに合わせた新機能の追加も心強いという。伊東氏は「詳細を示す寸法の
ツールが用意されるなど、グラフィソフトは施工図作成の立場に寄ってくれています。
ARCHICAD 21では階段ツールも追加され、一層便利になりました」と語る。「ユーザーの声
が届きやすくバージンアプに役立てられることを実感します。また問い合わせ時のフ
ローも丁寧です」。米倉氏は「社内では、BIMや点群処理など、複数のソフトを利用していま
す。一気通貫で使えればよいのかもしれませんが、求められることは現場によって異なります
からね。ただ、サッシなどの建材メーカーなども自社製品の3Dデータ化を進めており、それ
らの中心にグラフィソフトがいるのでARCHICADを安心して使うことができています」と語る。


BIMのより本格的な運用に向けて
現場支援と同時に、三好氏らが力を入れて取り組んでいるのは、社員に対するBIM教育である。
全国の支店から現場の技術者を集めてBIM講習会を実施するなど、BIMへの社内理解と活用へ
向けた動きが進んでいる。また三好氏は「若手社員も、数年が経てば現場での中堅スタッフと
なります。下の世代がBIMに慣れ親しみつつ現場の経験を積むことで、会社全体の解決能力は
一層高まるはず」と語る。「新入社員は研修で3Dモデルで建物を建てる様子を見ると目が輝
きます」と竹内氏も新しい世代への期待を寄せる。年間でBIMの実績をまとめると、リクルー
トの資料としても効果的だという。

     BIMの集合研修の様子

     BIMの集合研修の様子


今後、さらなるBIMの本格運用を目指している同社。現状の国内建設プロジェクトでは、工事
契約後でなければ案件ごとの予算がつかず、施工体制を整えにくいという日本特有の壁もある
が、「ワークフローの前倒しに向けて、働き方を変え、掛かる費用を確保するために具体的な
筋道を立てていかなければなりません」と三好氏。米倉氏は「BIMを扱える社員を増やして運
用し、社内で効率的に検討を進めたい」と語る。また竹内氏は「積算段階で決まっている基本
的な構造躯体モデルからでも、検討できることは多い」と構造設計で製作された3Dモデル
の活用を提案する。「今後の施工体制の変化を踏まえても、設計から施工まで一気通貫で動か
せるソフトの中で一番なのはARCHICADを置いてほかにはないです」と技術企画本部のメン
バーは声を揃える。同社でのARCHICADの役割は、ますます重要となりそうだ。

「ARCHICAD」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。