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コラム

BIMとFMとPLM

2017.12.14

ArchiFuture's Eye                 大成建設 猪里孝司

ファシリティマネジャーや発注者の間で、BIMへの関心が高まっているような気がする。
身びいき、気のせい、思い込みかもしれないがそんな気配を感じている。私は日本ファシリ
マネジメント協会(JFMA)のBIM・FM研究部会で活動している。この部会では2015年
4月に「ファシリティマネジャーのためのBIM活用ガイドブク」を発行し、フシリテ
ネジーにBIMを紹介した。BIM先進国といわれる国々では、BIMは建物のライフサイクル
にわたって建物の情報を有効に活用しようという取組みだと考えられており、その考えのも
とBIMが活用されている。建物の発注者や所有者、管理者や利用者にとってBIMは手法だと、
私も考えている。現実には、BIMをFMで活用している公開された事例が少なく、建物の発注
者や所有者にほとんど訴求していなかった。公開された事例が増えたわけではないが、なぜ
だか関心が高まっている。
 
その理由を考えてみた。残念ながらBIMへの理解が深まった、BIMの有効性が認められたと
いう訳ではない。ICTやビッグデータ、AI、VRなどバズワードとのつながりでBIMにも目が
向けられたのではないかと思っている。きっかけは何であれ、BIMの認知度が上がるにこし
たことはない。BIMに目が向けられているうちに、FMでBIMが活用できることを示す必要が
ある。事例、実例を示すことが一番いい方法である。多くの方がFMでのBIM活用に取り組ん
でいるのだが、公開されているものが少ない。意を決して公開していただく方を、心待ちに
している。
 
ここまでに書いたようなBIMとFMの話をしている時にBIMとFMシステムがうまくつながっ
ている事例がないということが話題になった。BIMの人とFMの人は、住んでいる世界や使っ
ているソフトが違うので接点がない。BIMがFMに有効な情報を持っているのは理解されてい
るが、その情報がどのようにしてFMの世界にやて来るのかが見えないのでFMでBIMが使
われないという結論になった。そこで製造業の3次元CADとPLM(Product Lifecycle Management)システムの話になった。製造業は建築より早く3次元CADが普及し、有効に
活用されている。実は製造業でも3次元CADの普及にはいろいろ関門があったのだがPLM
という考え方が広またことが3次元CAD普及の決め手になったというのだ。さらに面白いの
は、3次元CADとPLMソフトの組合せによる淘汰があったというのだ。当初PLMソフトはさ
まざまな3次元CADソフトに対応できることを売りにしていたが、広く対応しようとすると受
け取れる情報が少なくなる。より多くの情報を得るためには、対応する3次元CADソフトを限
定し、そのCADソフトと緊密に連携することで独自色を出し生き残るという戦略を採用した。
結果として3次元CADとPLMソフトの組合せが固定化され、3次元CADを決めるとPLMソフト
が一意的に決まる、PLMソフトを決めると3次元CADが自動的に決まるという状況になってい
るらしい。
製造業と建築は同列には語れない。安易なアナロジーは誤解を生む。しかし、FMソフトが
BIMソフトを決めるということは十分考えられる。FMソフトがBIMソフトを選ぶのか、BIM
ソフトがFMソフトを選ぶのかは分からないが、お互いが歩み寄ってくれればユーザにとって
は有り難いことである。
 
前回のコラムでbuildingSMARTが提唱しているIFC(Industry Foundation Classes)という
BIMの共通ファイルに触れた。社会の理想は共通化だが個のユーザにとっての理想は緊密な
組合せの方かもしれない。どちらも一長一短があるが、BIMがFMで活用されるようになるに
は、どちらも欠かすことができない。どちらが先でも構わないので、はやくBIMがFMで活用
される実例を見てみたい。
 
今月は新しく客車を購入した。機関車だけでは寂しいので、引かせる客車もかってみた。

 新たに購入した客車

 新たに購入した客車