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ユーザー事例紹介

現場の問題解決へ明確な目的を持ちARCHICADを
核に展開する独自の施工BIM<金秀建設>

2018.01.17

沖縄県那覇市の金秀建設は、70年余の歴史を持つ地域密着型の建設会社である。幅広い建設
土木事業を展開している同社だが鉄筋や鋼材、建材分野に強みを持つ金秀グループの1社だ
けに特にS造建築の技術の高さには定評がある。同社は早くから3Dツールの導入と活用を進
2016年にGRAPHISOFTのARCHICADを導入。これを機に施工BIMの本格的運用を開始し、
いまや全物件の7~8割でBIMを活用するに至ている。ARCHICAD導入からわずか1年余で確
立した独自の施工BIMについて、これを担う建築工事部・工務部の皆様にお話を伺った。

     かねひでフードセンター

     かねひでフードセンター


全現場の7~8割で施工BIMを活用
「大手ゼネコンでは設計部門がBIMに取り組むケースも多いようですが、当社では最初から施
工で使うBIMを目指してきました」。そう語るのは、同社執行役員の山内昌茂氏である。実は
山内氏も当初はBIM導入を設計部門主体に考えていた。設計部がモデルを作り設計を仕上げ、
工事部はそのモデルを使おうというわけだ。「しかし、考えてみたらそれではまったく間に合
わないんです」と山内氏は苦笑いする。同氏がBIMの用途として構想していたのは、案件の問
題点を事前に洗い出したり、施工の前段取りのために行うさまざまなシミュレーションだった
のである。BIM実務を指揮する工務部の大木氏にそんなBIM事例をいくつか紹介してもらおう。

 金秀建設株式会社               金秀建設株式会社
 建築事業本部 工務部             建築事業本部 工務部
 執行役員 山内 昌茂 氏             係長 大木 篤史 氏

 金秀建設株式会社               金秀建設株式会社
 建築事業本部 工務部             建築事業本部 工務部
 執行役員 山内 昌茂 氏             係長 大木 篤史 氏


「昨年あるホテルの新築計画で、1週間という期限で概算見積を求められました。ところが概
算図面が少なく情報不足で造成の収まりも見えず、造成検討が必要でした」。紙図面しかない
この物件を、大木氏らはARCHICADでモデリングして造成計画を練り、土量も算出して計画
にまとめ1週間で提案にこぎ着けたのである。「紙図面では伝わりにくい計画内容を、素早く
“目で見てわかる”形にまとめることで、外構関係の見えないコストまで明確化できたわけです」。
そう言うと、大木氏は続けてある大型商業施設のBIM活用事例を紹介してくれた。
「これは歪な形状の敷地が問題の案件です。仮設計画が難しく、明確な施工手順を確立する必
要があったんですね。そこで仮設の足場や搬入計画まで詳細に入れ込み、モデリングしていき
ました」。この時は現場とやりとりしながらの進行だったと大木氏は言う。施工手順が非常に
複雑なものとなったため、現場側もどう描いてほしいか明確にイメージを描けないでいた。そ
こで現場の指示を元に3Dモデルを作って提出し、問題点の指示を受けてまたモデリングして
返すというやりとりを重ね、施工計画や鉄骨・外装などの仮設計画を練り上げていった。

     足場計画

     足場計画


     足場計画の3Dモデル図

     足場計画の3Dモデル図


「ホテルの概算見積にせよ商業施設の仮設計画にせよ2Dだたら大変な手間だたでしょう」
と山内氏は語る。こうした「2Dでは解決できない現場の問題」をARCHICADを用いて3次元的
に解決するのが、現在の同社の施工BIMの活用法なのである。「ですから、個々の現場の問題
に合わせてARCHICADの使い方も変えていきます。実際にはどんな現場にも問題はあるわけ
で、ほとんどの現場でBIMを使っています」。そんな大木氏の言葉どおり、いまでは同社全現
場の7~8割が何らかの形でBIMを活用するようになった。では、数ヵ月でBIMの本格運用を可
能にしたARCHICADは、いかにして選ばれ、どのように使われているのだろうか?

     施工検討

     施工検討


プロの現場で学ぶARCHICAD
「BIMの研究は7~8年前から進めていましたが、実は当初は他社の3Dソフトを使っていまし
た」(山内氏)。当時、同社は躯体用の他社CADを使用しており、これとの連携のため同メー
カーのBIMソフトを導入した。しかし、非力なハードなどの問題もあって本格的なBIMの展開
は難しく、フリーウェアの3Dソフトで簡易なプレゼンテーション用3Dモデルを作る程度に留
まっていたのである。
「それでも当時三大BIMソフトと言われていたCAD製品については、すべて試用版を取り寄せ
て実際に試すなどしていました。そして、その1つがARCHICADだったんです」と山内氏は言
葉を続ける。しかし、導入にあたっては製品選定とは別の問題があった。BIMを短期間で導入
し成果を上げるには、プロフェッショナルによる支援が必要だと考えていたのである。そんな
時に同氏が出会ったのが沖縄デジタルビジョン(現・グローバルBIM)だった。
グローバルBIMは、BIMコンサルからモデリング請負、人材派遣まで、BIMの導入と運用をサ
ポートするBIMのプロフェッショナル集団。特に施工現場でのBIM活用に豊富な実績を持つ企
業である。「このBIMのプロたちがメインで使っていたのがARCHICADだったのです。この
ことを知て、私もすぐに採用を決めました。試用版でARCHICADの機能の高さはわかってい
ましたし、その使いやすさも承知していたので迷いなく決断できました」(山内氏)。

 金秀建設株式会社             金秀建設株式会社
 建築事業本部 建築工事部           建築事業本部 建築工事部
 係長 金城 可奈子 氏            主任 神戸 由希 氏

 金秀建設株式会社             金秀建設株式会社
 建築事業本部 建築工事部           建築事業本部 建築工事部
 係長 金城 可奈子 氏            主任 神戸 由希 氏


こうして2016年にARCHICADを導入した金秀建設は、グローバルBIMの支援のもとBIMの活
用を本格化していった。だが、その運用もまたほかにない独特の手法だった。BIM推進室など
の専任部署は設けず工務部・建築工事部という現場支援部隊の2部門から社員2名を選抜。本
業務と兼任する形でARCHICAD操作を習得させ、BIMに取り組ませたのである。
「といっても特に習得期間は設けず、最初から実務で学んでもらいました。まず大型物件3つ
をBIM対象案件として選びそのモデリングをグローバルBIM社に依頼。同時にBIM担当スタッ
フを2週間ほどグローバルBIMに派遣し、共同入力させたのです」(大木氏)。
つまり、ARCHICADのプロがモデリングするすぐ横で、その技を見ながら学ぼうというのだ。

     実務による操作習得

     実務による操作習得


このOJTを経験した建築工事部の金城氏は語る。
「“ここだけやってみて”と最初から部分的に任され、不明な所はその場で質問し教えてもらう
形でたっぷり2週間、ARCHICAD漬けの日々を過ごしました。帰社後も気楽に質問できたので、
自らいろいろな機能に触れ、さまざまに応用していけるようになりました」。その背景には
ARCHICAD自体の魅力があると金城氏はいう。「操作していて楽しいんです、ARCHICADは。
平面図を見てもイメージできなかった計画がARCHICADへ入力することで具体的なイメージ
として立ち上がっていく。“こうなるのだ”と驚かされることも少なくありません、間違いなく
建築の勉強にもなりますね」。

現場員が現場で使いこなすBIMへ
こうして2人のBIM担当者は2016年だけで約10物件でBIMを作成し、2017年もすでに8物件
のBIMを運用。さらに3件を予定している。しかも、前述のとおり積算や現場支援、各種の申
請業務などの本業を行いながら、これだけのボリュームのBIM業務をこなした。

     基礎工事計画

     基礎工事計画


     基礎工事計画の3Dモデル

     基礎工事計画の3Dモデル


金城氏と同じくBIM実務を担当した神戸氏は語る。
「積算・見積りの期間が1週間しかなかった時などは確かに大変でしたが、通常のスケジュー
ルでそれほど苦労することはありません。施工的な計画や積算の支援を中心に、その物件ごと
に明確な目的を持って、必要な部分だけ使うので負担にはならないのです」。実際、神戸氏ら
3Dモデルの色や形を完璧に仕上げることはほとんどないという。もしそうしたディティー
ルまで必要な場合は、グローバルBIMに外注するのである。まさに、現場のためのツールに徹
することで、金秀建設の施工BIMはわずか2年弱で威力を発揮するようになったのである。
だが、山内氏はまだこれからが本番だと言う。
「次は当然、ARCHICADで施工図まで作成し、現場でBIMを使うことを目標としています。
100%のBIMモデルを作れるようになれば、現場員がそれを使って現場で施工計画を立てたり、
工事の問題点を見つけるなどでき、活用は一気に広がるでしょう。その意味で、今後は現場へ
のBIM教育が一段と重要な課題となります。じっくり取り組んでいきたいですね」。

「ARCHICAD」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。