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コラム

形とカタチ

2015.07.14

パラメトリック・ボイス           アンズスタジオ 竹中司/岡部文

岡部  スワーム・インテリジェンス(群知能)。これ、最先端の人工知能技術や最新のロボッ
    ト工学の世界で注目されているキーワードだよ。
 
竹中  とても魅力的な言葉だね。建築の分野でも応用できそう。
 
岡部  自然界の現象に見られる形の生成原理、
    例えば、ムクドリの群れ、あるいはアリや魚の群れの形がその例になる。
 
竹中  形を操作しながら描くのではなく、
    個々の関係性とそのふるまいから、全体の「カタチ」を生成するアプローチだ。
 
岡部  そもそも、形ってなんだろう。
    辞書によると、形とは「感覚、特に視覚・触覚でとらえ得る、ものの有様」と定義さ
    れている。つまり、外見的要素は形の一端でしかない。
 
竹中  形が「ものの有様」であるとすれば、形は完結した静的なものではなく、変容する動
    的なものとして捉えるべきものなのだろう。
 
岡部  周囲の変化に呼応するスワーム(群)のようなものだね。
 
竹中  そして形を導く行為とは、形態を生成するルールやアルゴリズムといった
    「もののふるまい方」を扱おうとするスキームを設計する作業でもある。
    つまり、ルールが変われば、自ずとカタチが変化する。
 
岡部  NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)ランドスケープ計画では、
    森のふるまい方をデザインする手法を模索したね。
 
竹中  刻々と変容する都市環境情報に対して植物がどうのように応答するか。
    光、風、都市の環境を考慮しながら、動的なネットワークで植栽図を描く。
 
岡部  種(ポイント)に集積された情報の群(データスケープ)を操り、
    「樹木が、どのようにふるまうか」を設計しながら、自然の森をデザインする。
 
竹中  形態を直接的に操作するのではなく、カタチのふるまい方を思考する。
    言うなれば、「形を決めないカタチの設計図」が存在しているのだ。

 時間軸を持たせて継続的に変容する植栽図

 時間軸を持たせて継続的に変容する植栽図


 3次元空間に漂う可視化された情報群

 3次元空間に漂う可視化された情報群