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コラム

世界のBIMと日本のBIM

2018.10.25

ArchiFuture's Eye                 大成建設 猪里孝司

10月16日(火)から19日(金)の4日間、東京で”buildingSMART International Standards Summit, Tokyo”が開催された。この国際会議は、openBIMの活用と国際標準化を推進するた
めに1年に2度開催されておりこれまでにシンガポールオランダ(ロッテルダム)韓国(済
州島)、スペイン(バルセロナ)、イギリス(ロンドン)、フランス(パリ)で開催されてき
この10月は日本(東京)次回は2019年3月25日から4日間ドイツのデュッセルドルフ
で開催される。今回のSummitには、日本をはじめヨーロッパ、北米、アジア各国の学識経験
者、公共機関、発注者、コンサルタント、設計事務所や建設会社ベンダーやサービス提供者
などBIMの推進や運用、技術開発に関わる400名以上が参加した。各国のopenBIMへの取り組
みや最新動向について情報を共有しopenBIMに関する課題とそれに対する方策について議論
された。また5月から応募が開始されたopenBIMを活用したプロジェクトを表彰する”BIM
Award”の表彰式では、スイスやイタリア、中国などのBIM活用が急速に進んでいることが分
かった。開催にあたって多くの方々に多大なご支援、ご協力をいただいた。協賛、後援いただ
いた企業や団体運営に携わていただいた「buildingSMART Japan」の会員の皆様に深く感
謝する。openBIMへの日本の取組みと関係者の底力を、世界に対して示すことができた。
 
この国際会議に携わる中で日本のBIMを再考したさまざまなBIMに対する意見の中で”国際”
に関連する意見に反論したい。当たり前だが、世界と日本は同じでもなければ、全く別でもな
い。
1.「BIMは欧米で提唱され普及しているものなので、日本にはあわない」
確かにBIMは米国で提唱され、米国や北欧で利用が広がり、今日に至っている。また設計から
施工にいたる建築生産の課程における業務範囲や役割、それを反映した契約は欧米と日本で大
きく異なる。従ってBIMの活用事例がそっくりそのまま適用できる訳ではない。しかし、建築
が3次元であることは世界共通であり、それらを3次元のデジタル情報として扱えるようにしよ
そのデジタル情報が関係者間で利用する障壁を低くしようというのがBIMの考え方である
関係者の役割分担を日本の建築生産システムに適合するようにすれば、BIMは日本でも有効だ
と考える。
 
2.「現状の国際標準では実務で利用できない。使えるような標準ができればそれを使えばい
い。標準化には参加しない」
ひとつのソフトウェアで業務が完結するのであれば、情報の標準化は必要ない。しかし、建築
をつくること、使うこと、管理することにはさまざまな立場の人がいる。そしてさまざまな目
的のために、建築に関するデジタル情報を必要としている。それぞれの目的のために必要な情
報が異なるため、情報のやり取りが発生する。関係者や目的が限られていれば、逐次最適な方
法を構築することも可能だが、関係者や目的が多くなればなるほど、それが困難になる。標準
化はその労を軽減してくれる。しかし標準化は最大公約数といえるので個々の要求を満足する
ことは難しいのも事実である。実務の場面で、個別に最適な方法を構築するか標準化されたも
のを利用するかは、個別の判断であるが標準化のプロセスに参加するかしないかは、全く異な
る次元の話である。どのような情報、機能、仕組みを標準とする必要があるかを主張しないと、
希望する標準ができない。利用者としてのニーズ、合理的な主張がないと標準に反映されず、
結果的に使えない標準となってしまう。日本だけが使えないものが標準となってしまうと、そ
れは悲劇としかいいようがない一人でも多くの日本人に標準化のプロセスに参加いただきた

 
律令制度は取り入れたが、科挙と宦官は取り入れなかった。洋装は取り入れたけれど、くつ脱
ぎはそのままである。わが国は、外から来たものともとからあるものをうまく融合させ、いつ
のまにか内に取り込んできた。その流れを汲み、世界の標準化づくりに貢献し、世界で通用す
る日本のBIMとして成長することを期待している。

 buildingSMART International Standards Summit, Tokyo

 buildingSMART International Standards Summit, Tokyo


 buildingSMART International Standards Summit, Tokyo 全体会議の風景

 buildingSMART International Standards Summit, Tokyo 全体会議の風景