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コラム

BIMとFM 新しいビジネスの可能性

2015.07.23

ArchiFuture's Eye                 大成建設 猪里孝司

ArchiFuture Webのクローズアップでご紹介いただいたように、4月30日に「ファシリティマ
ネジャーのためのBIM活用ガイドブック」が発行された。私が部会長を務めるJFMAのBIM・FM
研究部会が、約2年をかけてまとめたものである。FMとBIMとの関係、FMでBIMを活用するこ
とのメリットや可能性について、国内外の事例を交えて分かりやすく説明している。ファシリ
ティマネジャーにとってのBIM入門書ともいえるものである。

BIMの出口戦略がFMとの連携、FMシステムへのデータ提供と考えている方も多いのではない
だろうか。私自身BIMの効果を「ライスサイクルにわたって利用できる」「さまざまなソフト
ウェアで利用できるので、情報共有の基盤になる」と説明しているので、その考えが間違って
はいるわけではない。ただ建物が完成した後のBIMの効果は、維持管理の効率化やコスト低減
だけではなく、建物価値の向上に寄与するものだと考えている。

その一例としてサービス提供という観点から考えてみる。建築は何らかのサービスを提供する
ために空間と考えることができる。空間そのものがサービスである場合もあるし、その空間で
行われるアクティビティがサービスとなることがある。例えば、宿泊施設は休む・泊まるとい
うサービスを提供しており、医療施設は患者に医療というサービスが提供される器といえる。
サービスを提供する時に同時に建物や空間に関する情報を提供することで、サービスレベルが
向上する可能性がある。例えば、車椅子の自動運転のために通路の情報を提供する、商業施設
で目的の店舗に導いたり、飲食店やトイレの空き状況を知らせる、オフィス内の涼しい場所や
温かい場所、静かな場所など個人の好みに合ったエリアを提示するなど、さまざまなサービス
が考えられる。BIMだけで実現するものではないが、IoTで話題のさまざまなセンサーや通信
技術との組合せにより、サービスレベルの向上とそれに伴う建物価値の向上が期待できる。

「ガイドブック」の第7章”BIMを活用したビジネスモデル” では、「FM領域における新しいビ
ジネスのありかた」を提案している。芝浦工業大学の志手先生にまとめていただいたこの章は、
他の章と趣を異にする。一般的に考えられているBIMやFMの延長にあるビジネスではなく、こ
んな建物、こんなサービスがあればいいのにという思いを起点として創造されたビジネスモデ
ルが紹介されている。BIMの新たな可能性を模索している方、BIMによる新たな建築を探求し
ている方、FMに興味はなくてもこの「ガイドブック」を手に取っていただきたい。

 「あなた好みに空間が応える」のビジネスモデル・キャンバス

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