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コラム

最近面白そうなものを列挙してみる

2019.05.28

パラメトリック・ボイス            木内建築計画事務所 木内俊克

数え間違えていなければArchiFuture Webで書き始めて今回で14本目の原稿ということになる。
あらためてこのあたりで仕切り直す意味もこめてこれまでの流れをコラムタイトルで振り返っ
てみると、
  ① 公共空間と情報の所在について
  ② MIT Center for Civic Mediaを通して考えたこと
  ③ 身体の融け出し/癒着/分裂―チェルフィッチュとヤン・ゲールについてのメモ
  ④ サイバネティクス全史―人類は思考するマシンに何を夢見たのか
  ⑤ 「サイボーグ」化のフィードバックループ―建築情報学会準備会議第1回メモ
  ⑥ ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて
  ⑦ ICCオープン・スペース2018 イン・トランジション
  ⑧ 関数を具象的な入出力の集まりのみで捉えるようなこと
  ⑨ 感性の計算──世界を計算的に眺める眼差し
  ⑩ デジタルアーカイブ
  ⑪ 都市資源としてのテキストデータ
  ⑫ index architecture / 建築知
  ⑬ 温度のあるデータ
といった具合で来ていたようだ。
もちろん、連載開始に際して「公共空間と情報の所在について」で書いた関心、引用すれば
「…公共空間から誰が何を読み取っているかは、思いの他共有されていて、思いの他異なるも
のに違いない…そうした公共空間における視点の複数性について取り扱うこと…誰かのイメー
ジにアクセスするという意味では…映像や音声やテキストとして社会に流通(ネットであれ紙
であれ噂であれ口コミであれ)している場の断片としての情報がどう誰に届くのか…そうした
すべてが実に公共空間そのものだと思えてくる」といった視点が出発点にあるので、我ながら
関心は一貫している。
しかしながら、いわゆるコラム的に一投稿一トピックのメモ書きを取るように書いていくのも
徐々に消化試合的になっていくこともあり、今回はあえて思い切って、まとめサイト的にいま
ざっと視界に入ってくる最近気になったプロジェクトや記事、クリエイターをランダムに(本
当にランダムなので恐縮だが)列挙してみたい。考察はなくても、というかむしろ見境ない列
挙の方が、これまでのタイトル群との対比の中から何となく今このあたりがあらためて面白い
よねという気分が見えるのではないかと考えてのことでもある。

というわけで早速気になるものをあげていきたいのだが、先に列挙してみて結論として見えて
きたことを述べてしまえば、もの・イメージ・テキスト・音声など様々なメディアにより支持
され交換される情報が、コミュニケーションを生むことで価値に至る仕組み、またそれが重な
り合い絡み合って束になった都市や社会に至るまで、どのレベルを突出させるでもなく等価に
可視化しては、系全体への漸進的な介入に細やかで具体的な道筋を与えることを促していくも
のは、やはりどれもとても面白い。あらためてこうした気分を確認できると、では今後仕切り
直してどの角度からその問題系に切り込んでいくべきか、自ずと見えてくるようでもある。平
たく言ってしまえば、分散ネットワーク的な実装への具体的方途と、データや情報が個人にさ
さるアクセスの回路をいかに両輪として使いこなせるか、といったあたりの見通しをより精度
高く立てていくことだろうか。
次回以降、「公共空間と情報の所在について」も前提に、あらためて仕切り直して議論を組み
立ててみたい(以下、敬称略)。


社会へ介入するための手法──ラピドプロトタイピング、ビジネスモデルの刷新ユーザー
オリエンテ情報技術(10+1「平成=ポスト冷戦の建築・都市論とその枠組みのゆらぎ」
記事内)
 

「既存の建築家の職能を越えていくことでしか生産サイクルが改変できないという意識が出て
きたのだとすれば、おもしろい話につながるかもしれない(八束)
…デザインが扱う対象が、プロダクト、グラフィック、ファッションなどモノを扱う「プロダ
クト」レベルから、「サービス」レベル、そして法律や政治までを含めた「システム」レベル
に拡張していっている…何か大きな変化を起こそうと思った場合には、その始まりはむしろ小
さく個人的なもののほうがよいし、ヴィジョンは最初からあるわけではなく、仮説と検証を高
速に回していくことで事後的に組み立てられるものであってもいい…部分的な解をつくった方
が実際に社会を変えやすくなっていますから、建築に限らず、現場の成功を国や行政の制度的
レベルにもっていく…(連)
…エビデンスやアカウンタビリティが強く求められる時代にそんな実感の伴わないこと言えな
いよ、という気分があるのではないか…だから個別具体に寄り添うリアリズム、というわけな
のですが、テクノロジーによってそういう個別的な情報をそのままスケールアップして処理で
きれば、確かに大きなイシューやエリアを扱うことはできます…(市川)」

ARCH-ABLE 
「ARCH-ABLE(アーカブル)は建築家が生みだしたデザインのデジタルデータをアーカイブし、
CCライセンスの下に公開するプラトホームです。どなたでもデータをダウンロードし建築
家のデザインを再現することができます。
建築家(ARCHITECT)のデザインをアーカイブ(ARCHIVE)し、再現できる(ABLE)、それが
ARCH-ABLEです。」

EMARF 
「EMARF(エマーフ)は、家具づくりをすべての人に解放するサービスです。
家具はこれまで多くの人にとって“つくる”ものではなく“買う”ものでした。EMARFがあれば、
たとえ技術や知識がなくても、家具づくりを暮らしのそばで楽しめる世界が広がります。
テクノロジーの進化とは、人の能力を退化させることではなく、拡張させることだと思う。
“暮らす”と“つくる”がひとつになた時、もと自分らしく、喜びや達成感に満ちた生き方に
出会えるはず。」

Tom Sachs ※リンク・下記引用とも西澤徹夫によるTom Sachs個展のレビュー
「…アウトプットされるものに作家の内発的な創造性やオリジナリティを求めることからは
一旦距離を置いて、あるいはそれらに対する先入観を捨てて、コードの厳密な運用を自らに課
す過程で浮かび上がるのは、回りくどく、面倒で、愛すべきオブジェクトたちと、つくること
とつくられるものがひとつづきに放つ独特の手触りのようなものだ。トム・サックスがいまあ
る世界を模倣しながらすこしづつ世界を置き換えていこうとする態度のなかに、あるいはその
方法の手触りのなかに茶気(=風雅の気味、ちゃめっけ)を感じたならば、あなたはいつでも
自らの環境を少しづつ、でも確実に変えていく(=D.I.Y.)ためのインストラクションとして、
この展覧会を見ることができるはずだ。」

Studio Anne Holtrop 
「I am interested in a possible architecture. In my work I start with form or material
that often originates outside architecture. In the conviction that things can always be
reexamined and reinterpreted, they can also be seen as architecture. In the same way
as someone can see a butterfly or a lake in the ink blots of a Rorschach test. I want to
look freely – more or less without a plan – at material gestures and found forms and
let them perform as architecture. In this way, architecture emerges by imagining the
next step that follows the steps already taken. I want the work to remain interpretable
exactly the way it originated.」(MANIERA「architects & artists」のページより抜粋)

Flores & Prats 
「FLORES & PRATS, ARCHS is an architecture studio based in Barcelona.
Established in 1998 by Eva Prats and Ricardo Flores, it combines design and
constructive practice with intense academic activity. …Ricardo Flores and Eva Prats
developed a career where research is always linked to the responsibility to make and
build, where importance is given to participating in the interpretation of the
constructed work.
Their projects… have investigated in fields such as rehabilitation, social housing, or
urban public spaces and neighborhood participation. But the office has also developed
mobile or portable projects, has experimented with the use of film to document the
architecture, or the most recent menus of edible architecture developed for the
exhibitions of its work…」

Office for Political Innovation 
「Office for Political Innovation (OFFPOLINN) is an international architectural practice, based in New York and Madrid, working at the intersection of design, research, and
critical environmental practices. The office develops projects in different scales and
media, intended to bring inclusivity into the built environment.」

Forensic Architecture 
「Forensic Architecture (FA) is a research agency, based at Goldsmiths, University of London. We undertake advanced spatial and media investigations into cases of human rights violations, with and on behalf of communities affected by political violence,
human rights organisations, international prosecutors, environmental justice groups,
and media organisations.
…Our work often involves open-source investigation, the construction of digital and
physical models, 3D animations, virtual reality environments and cartographic
platforms.
Within these environments we locate and analyse photographs, videos, audio files and testimonies to reconstruct and analyse violent events.
We also use our digital models as tools for interviewing survivors of violence, finding
new ways to access and explore memories of trauma.」

Index architecture / 建築知 
「“index architecture / 建築知”は、機械学習や深層学習など人工知能を用いた建築情報の
利活用の促進を目指して発足された研究プラットフォームです。
建築プロジェクトにまつわる情報をどのようにストックし、活用していくかを建築業界全体の
課題ととらえ、そこに今日的なデジタル技術を適切に用いることで、人の知識とは異なる新た
な解釈を可能とし、クリエイティブな作業との連動をより加速させることができるのではない
かと考えています。」

プールリバー 
砂山太一キュレーションによる京都市立芸術大学・デザイン学特論ゲスト講義シリーズ
「近年の情報発信や生産技術の民生化はわたしたちの生活に劇的な変化をもたらし、日々刻々
と変わる文化の奔流をうんでいます。そのようななか、どのようにわたしたちは情報から溢れ
でる流れを汲み上げ、理論的な視野、固有性、コミュニケーションのあり方に形を与え、社会
を作り出しているのでしょうか…本年度…は、芸術文化において、独自の公共圏を形成してい
る営みたちに着目します。建築、キュレーション、批評、イラスト、映像、本屋、アーカイブ、
都市リサーチなど、様々な専門性と職能をもったゲストを招いた連続講義をおこないます。」

 Ⓒoffice for political innovation 同ウェブサイトより転載。Eams夫妻の著名な映像作品
 「Powers of Ten」を再解釈したパフォーマンスSuperpowers of Tenのパフォーマンスセット
 のプロジェクト。Office for Political Innovationは、このパフォーマンスセットをノマディック・
 テンポラリー・アーキテクチャーと呼び、日常の運用を可能にする装置とも位置付ける。
 ※上記の画像、キャプションをクリックすると画像の出典元のOffice for Political Innovationの
  Webサイトへリンクします。

 Ⓒoffice for political innovation 同ウェブサイトより転載。Eams夫妻の著名な映像作品
 「Powers of Ten」を再解釈したパフォーマンスSuperpowers of Tenのパフォーマンスセット
 のプロジェクト。Office for Political Innovationは、このパフォーマンスセットをノマディック・
 テンポラリー・アーキテクチャーと呼び、日常の運用を可能にする装置とも位置付ける。
 ※上記の画像、キャプションをクリックすると画像の出典元のOffice for Political Innovationの
  Webサイトへリンクします。