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コラム

リモート、リモート!

2020.04.28

パラメトリック・ボイス               前田建設工業 綱川隆司

この原稿を書いている時点では国内での新型コロナウイルス猛威は衰える様子を見せていませ
ん。私も感染拡大予防のため自宅でのテレワークが始まりすでに3週間が経過しました。今私
が出来ることは移動を避け外部との接触を極力避けることくらいしかありませんが、1日でも
早く平穏な日常に戻れることを祈らずにはいられません。すでに他のコラムニストの方が今回
の感染予防により、日々の業務に大きく変化があったことを述べられてます。重複するところ
もあるかと思いますが、私も近況報告がてら書かせていただきます。

幸いなことに近年職員向けに1台ずつSIM入りのノートPCが配布されていましたので、ちょう
ど出先からのリモートワークにも慣れてきたところでした。BIMの作業を行うためのデスク
トップワークステーションもオフィスにあり、2台持ちとなります。ノートPCはグラフィック
ボードの性能が低いのでBIMの作業を行うには画面の小ささも含めて少々つらいものがありま
す。ノートPCは業務メール専用と割り切りテリーの持ちを優先してCPUのスペックを下
げる選択肢もありましたが現在の状況を考えるとCore i7を選んでおいてよかたと思てい
ます。現在自宅でのテレワークに入てからは以前よりもARCHICADを触る時間が増えたと
思います。フルBIMの重いデータは厳しいですが、自分で計画する案件程度のデータ密度なら
ば動作は可能です。またクラウドレンダリングが使える環境なのでCGパースも容易に作成で
きます。
オフィスにあるワークステーションをSplashtopによるリモートデスクトップで使うことや、
さらに今後の先の話としてシンクライアント(VDI)化する可能性もありますが、今回の様に
長期に渡って会社を留守にすることは想定外でしたので、ある程度スタンドアローンでも業務
遂行できる環境を確立する必要がありそうです。しばらくこの環境で続けて行き詰ったらまた
考えたいと思います。

トPCにはカメラがついているのでリモト会議も対応は容易ですすでにこの数週間でこ
れまで経験した以上の数のリモート会議を行っており、さらに主催する企業の違いで様々な会
議システムも経験することになりました。これらについては正直まだまだ機能的に満足できる
レベルではなく、具体的な製品の評価はここではしませんが、世界規模でのリモート会議ニー
ズの高まりの中で今後確実に成長が期待できる領域だと思います。
また現在全職員の動静がOutlook上で共有できているので、リモート会議の開催調整が比較的
容易に行えるのも助かりました。

さて会社が用意した環境はともかく、いざ自宅にてテレワークとなると通信環境が課題の方も
いました。私自身も決してテレワーク業務を自宅で行う想定ではありませんでしたが、もっぱ
ら趣味と遊びのための通信環境が整っていたのは幸いでした。光回線を敷いてWi-Fiルーター
でPCやiPhoneiPad等の端末からNASサーバーを共有していましたが今回の騒動の前にや
ておいてよかったのはWi-Fiルーターの更新です。以前使っていたのもそう古くはなかったの
ですが、オンラインゲームの接続が切れないように最新のものに更新したばかりでした。自宅
は木造の2階建てですが、ほぼどこの部屋にいても途切れず快適に無線接続ができます。
自宅からリモート会議に参加する際にまず考えるのが、自宅のどこから参加するか、です。背
景となりうる大きめの壁や小奇麗に片付いた場所が意外と少ないことに気づかされます。会社
で推奨するMS社のTeamsには背景をぼかしたり別な画像に差し替える機能もありますが、ゲ
ストで参加する他社のシステムの場合には、自宅の生活感あふれる状況を晒すことになります。
また現在は家族が周りにいますので会議中の物音も課題です。人によってはわざわざマイカー
から参加する方もいます。ご自宅に書斎をお持ちの方は少ないと思いますが、今後テレワーク
が普及すると住戸の間取りニーズにも変化がありそうです。3畳程度でも部屋が確保出来れば
家族に気兼ねなくリモート会議に参加できます。

建物の設計においても今回の感染症対策がBCPを考えるうえでプライオリティーが高くなりそ
うです。現在入居しているのは自身で設計を担当した自社ビルで、環境負荷低減とローコスト
を狙って自然排煙のランマを全面に設けていますが、都心のオフィスは窓が開かない密閉され
たものが多いと思います。また壁面や床の仕上げも、吸音性との兼ね合いではありますが、よ
り清掃・消毒の行いやすい材料が求められるかもしれません。

私は正直なところ、これまでテレワークには否定的な感想を持っていました。それは先に述べ
たBIM業務を行う上でハードやソフト上の課題もあるものの、作業の進捗や状況確認といった
仕事を行う上での基本的な情報収集の難しさが念頭にありました。その見方は現時点でも変
わっていませんが、否が応でもこの環境下において出来る方法を考えなければなりませんし、
企業・各個人の対応力を試されていると思います。今回の世界規模でのパンデミックによって
様々な不可逆的な変化が私たちの業務にもあると思いますが、苦難の時こそ進化するチャンス
と信じていこうと思います。

 筆者がいつもリモート会議に使用しているのはダイニングの一角。出窓は逆光になるのでカーテ
 ンを閉めてます(モノが少ない昔の写真です)。

 筆者がいつもリモート会議に使用しているのはダイニングの一角。出窓は逆光になるのでカーテ
 ンを閉めてます(モノが少ない昔の写真です)。

綱川 隆司 氏

前田建設工業 建築事業本部 ソリューション推進設計部 BIMマネージメントセンター センター長