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コラム

EXPO'70 &'25大阪万博

2020.11.12

ArchiFuture's Eye               ARX建築研究所 松家 克

「Archi Future 2020」が「集まり方改革」をメインテーマとして盛会裏に閉会しました。
今回は全国各地から多数の申し込みがあり参加申し込み数は昨年比30%増を超え史上最高者
数を記録しました。オンラインでの開催は経験と実績がなく不安もありましたが無事に経緯
しホッと安堵しています。ご参加頂いた皆さまに心からのお礼を申し上げます。ありがとうご
ざいました。
 
さて、本文。
Archi Future イベントの初期のころから実行委員でご活躍頂いた豊田啓介氏が万博誘致の基本
計画案を策定されたと聞く。この“大阪万博2025”の準備もCOVID-19の渦中でも着々と進んで
いるようだ。日経産業新聞の記事によれば、人間とロボットが共存するデジタル都市共通基盤
“コモングラウンド”の構築に向け、異業種企業による共同実験が大阪で開始されたという。併
せ、政府の国際博覧会推進本部事務局の開所式が先月の10月1日にあった。総理と井上大臣
が「コロナウイルスを克服した後に、日本の伝統や魅力、文化を発信する最高の機会」と位置
づけ、併せ、「デジタル化を駆使し、新たな博覧会を目指して欲しい」などと訓示したという。
 
思い起こせば、前回の “EXPO'70 大阪万博” は1970年3月15日から9月13日までの183日間
に亘り、開催された。日本初でありアジア地域でも最初の国際博覧会。1964年の東京オリン
ピック以来の国家プロジェクトでもあった。多くの企業や研究者、建築家、芸術家、大勢の才
知あふれる人たちの参加があり、併せ、将来を見据えた新しい試みの映像・音響やイベント制
作・展示などが見られた。当時、建築を学ぶ学生だった小生には思い出と感慨が深い。大学で
1年先輩の竹中工務店設計部長を務め現在は建築写真家、吉村行雄氏の千里ニュータウンのご
実家に友人と泊めて頂き、終日、万博会場を巡りに巡った。丹下健三氏と西山夘三氏による全
体構成の会場の迫力に圧倒され、スペースフレームで構成されたテーマ館がある大屋根から突
き抜けた岡本太郎氏の太陽の塔も見上げに見上げ、何かユーモラスなのに不気味さや土着的な
雰囲気があり、首が痛く成った記憶がある。当時の建築雑誌の万博特集を見ると懐かしさもあ
るが、建築家と業界のエネルギーを感じる。丹下健三氏、磯崎新氏、黒川紀章氏、大谷幸夫氏、
構造家の川口衞氏、若き日の横尾忠則氏など多くの建築家や芸術家、エンジニアに加え世界の
クリエーターが競って参加されていた。
万博記念公園のパンフレットの言を借りれば、頂部は未来を象徴する「黄金の顔」、正面は現
在を象徴する「太陽の顔」、背面は過去を象徴する「黒い太陽」と地下展示スペースには「地
底の太陽」があり、地下と空中展示をつなぐ動線にもなっていた。八面六臂ではなく四面六臂
とも言うべき4つの顔があったという。過去・現在・未来を貫いて生成する万物のエネルギー
の象徴であると同時に、生命と祭りの中心を示したものだった。博覧会来場者は約6,400万人
にも達したとある。
 
2025年の大阪万博は、豊田氏提案のボロノイ図の応用で会場のマスタープランが組み立て
られ、これが誘致活動の基本提案であったいう。その後、会場デザインプロデューサーに
Archi Future 2009の講演者、藤本壮介氏が就任された。“EXPO'70 大阪万博”は、PCやCAD
も無い“T定規”環境での開催だったが、今回は3次元CADやVR、BIM、ICTなどのデジタル技
術が駆使されるだろう。併せ人々の生活をより変革させることや既存の価値観と枠組みを根
底から覆すDX=デジタルトランスフォーメーション状況での大阪万博となる。新ロボットや
ドローンの進化新移動技術新情報通信技術、ニューメディアなどともに片手で5Gスマホ
を持ち会場を巡る若者たちが見られるだろう。ドバイで1年延期された2021年の万博に次ぐ
国際博覧会となる。コロナ後で、かつ、デジタル社会の真っただ中の大イベントであり、今ま
でに経験したことが無い新しい多くの試みもあるのだろうと、期待している。
 
一方、泊めて頂いた槙文彦氏が関わっている当時の千里ニュータウンも興味深かった。日本で
最初の大規模ニュータウン開発の今はどうか。各種施設の充実や都心へのアクセスの良さや良
好な住宅環境などから現在でも居住地としての人気を保っており、老朽化した集合住宅の建替
や高層化に伴う住居数の増加。片や民間マンションの新分譲により、若年層の新住民が再び増
加しつつあるという。また、UR都市機構の団地においては、ムサビも関わっている無印良品
とのコラボレーションやリノベーション住宅(MUJI×UR)を提供し若年層の入居者が増加も
見られるという。一度衰退を見せ始めた街が再び盛り返しているようだ。今回の“EXPO'25
大阪万博”で図らずも栄枯盛衰を実感するのかもしれない。
 
最後に私事ですが、Archi Futureの「集まり方改革」を考えることを切っ掛けとして、自由が
丘のARX建築研究所の小さなスペースも現在の状況を踏まえ再構成することとしました。この
コロナと年齢による退職者も出たこともありますが、3ブース(写真参照)の空きが出来まし
た。勿体ない。そこで、シェア・オフィスと個人ブースを考えることにしました。これから独
立やスタートアップを考えている方は居ませんか。建築関係の方だと各種カタログやプロッ
ター、プリント機器、Zoom対応、COVID-19対策も試みています。自由が丘の駅から徒歩で
3分奥沢駅から4分です。是非お声をお掛けください。実験的な「新しい集まり方」にトライ
してみませんか。参加をお待ちしています。


  ARXのブース

  ARXのブース


     ARX会議スペース

     ARX会議スペース

松家 克 氏

ARX建築研究所 代表 /  武蔵野美術大学 評議員