竹中工務店が伝統建築の復興に「設計施工一貫BIM」
を有効活用
2017.03.07
竹中工務店は、奈良市にある薬師寺食堂(じきどう)復興事業に、意匠・構造骨組・設備を細部
までモデル化した「設計施工一貫BIM」を適用した。
同建造物は、白鳳時代の木造寺院建築の外観を復元し、内部は伝統木造建築の意匠と建築家・
伊東豊雄氏による現代的意匠を融合した大空間で、本年5月竣工予定だ。同社は、遺構調査や
現存する同時期の建造物を参考に作成した復元図を基に、大工の作図技法の規矩術をBIMモデ
ルの作成プロセスに組み込み、寺院建築特有の曲面屋根の反りや各部材の細部をモデル化。構
造上軒の懐が狭く、寺院建築の伝統様式と鉄骨部材との新しい納まりの検討が課題だったが、
BIMにより、狭い軒の懐に鉄骨を納められ、木造寺院建築の曲面屋根も再現。また、BIMの活
用により建築主や監修者、設計者、工事担当者、堂宮大工などが施工確認などの活発な情報交
換を行えたため、伝統技術と現代技術の融合が実現し、生産性向上にも寄与したという。