2020年日本建築学会賞を発表<日本建築学会>
2020.04.20
一般社団法人日本建築学会は、2020年日本建築学会賞を4月17日(金)に発表した。
大賞には、「鉄筋コンクリート造建物の性能に基づく耐震設計法の国内外の発展に対する貢献」
により小谷俊介氏(東京大学名誉教授)、「都市史研究・東洋建築史研究ならびに地域文化財の
保存活用に対する多大な貢献」により西川幸治氏(京都大学名誉教授、滋賀県立大学名誉教授)、
「住宅における健康・快適性の向上と省エネ化に関する国際的研究・教育への貢献」により吉野
博氏(東北大学名誉教授)の3名がそれぞれ受賞した。
大賞は、建築に関する学術・技術・芸術の発展途上に長年の業績を通じて、特に著しく貢献した
同学会の個人会員を対象としている。
注目の学会賞(作品)は「延岡駅周辺整備プロジェクト」の乾久美子氏(横浜国立大学大学院
Y-GSA教授)、「パナソニックスタジアム吹田」の大平滋彦氏、浜谷朋之氏、奥出久人氏(いず
れも竹中工務店)、「道の駅 ましこ」の原田真宏氏、原田麻魚氏(いずれもMOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO)の3作品が受賞した。
「延岡駅周辺整備プロジェクト」は、都市的なスケールと一人一人がたたずめる小空間を両立さ
せている点や、枠組みが少し動けば結果が変貌するような一時の合意や採算や工学だけではなく、
建ち続ける構築物を行き交う市民が経験する時間の総和を見据えて統合された作品であることが
高く評価された。
「パナソニックスタジアム吹田」は、観客がサッカーを最高に楽しめることという明確なビジョ
ンを共有し、建築のコンパクト化と躯体のスリム化をその判断基準で考え抜き、かつ卓越した構
造や構法によって装飾を排した即物的な「モノ」としての美を追求したことが高く評価された。
「道の駅 ましこ」は、その力強い素材と造形が、陶器の町である益子のアイデンティティとして
地域の人々に受け入れられていて、シンプルで明快な架構により獲得された爽快な空間、周辺の
山並みと呼応する屋根の造形と土という素材による地域とのつながりにより、商業施設としては
稀な純度の高い建築を実現していることが高く評価された。
今回の大賞と学会賞の贈呈式は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、中止となった。