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2021年日本建築学会賞を発表<日本建築学会>

2021.04.20

一般社団法人日本建築学会は、2021年日本建築学会賞を4月19日(月)に発表した。
大賞には、「建築形態論を基盤とする建築意匠研究の確立と建築設計教育・創作を通じた建築
文化への貢献」により香山壽夫氏(東京大学名誉教授/香山壽夫建築研究所所長)、
「建築構造工学、特に海洋建築工学への流体力学理論の導入とその発展に尽した功績」により
松井徹哉氏(名古屋大学名誉教授/名古屋産業科学研究所研究部上席研究員)、「音環境の設
計手法の体系化、および建築学の分野横断的議論の場の創生に関する一連の功績」により安岡
正人氏(東京大学名誉教授)の3名がそれぞれ受賞した。
大賞は、建築に関する学術・技術・芸術の発展向上に長年の業績を通じて、特に著しく貢献し
た同学会の個人会員を対象としている。

注目の学会賞(作品)は「島キッチン」の安部良氏(安部良アトリエ一級建築士事務所 代表)、
「上勝ゼロ・ウェイストセンター」の中村拓志氏(中村拓志&NAP建築設計事務所)、
山田憲明氏(山田憲明構造設計事務所 代表取締役)、「京都市美術館(通称:京都市京セラ
美術館)」の青木淳氏(AS 代表取締役)西澤徹夫氏(西澤徹夫建築事務所)の3作品が受賞
した。
「島キッチン」は、2010年の第1回瀬戸内国際芸術祭の参加作品で、1~2年に1度程度の屋根
おろしメンテナンスが建築家を核としながら “結” のシステムのように成長し、島内外の関係
人口を増やしながら継続されており、建築家が地域社会に果たせる役割を考える上で可能性を
広げる、大変示唆に富む作品であることが高く評価された。
「上勝ゼロ・ウェイストセンター」は、設計・建設行為が、域外から物を持ち込まない、廃材
を出さない、地域資源を活用する、という観点で徹底的に検証された点や、受賞者の両者がそ
れぞれに、自らのゼロ・ウェイストを突き詰めて発信することで、建築としての使命をまっと
うさせていることが高く評価された。
「京都市美術館(通称:京都市京セラ美術館)」は、公共施設デザインの都市に対するあり様
として、美術館の体験にとどまらず、非常に巧みで優れた都市体験に拡張して見せている作品
であることと、私たちの都市観にまで作用する類稀な力作である点が高く評価された。

 島キッチン 撮影:堀田貞雄

 島キッチン 撮影:堀田貞雄


 上勝ゼロ・ウェイストセンター 撮影:藤井浩司(TOREAL)

 上勝ゼロ・ウェイストセンター 撮影:藤井浩司(TOREAL)


 京都市美術館(通称:京都市京セラ美術館) 撮影:阿野太一

 京都市美術館(通称:京都市京セラ美術館) 撮影:阿野太一