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2023年日本建築学会賞を発表<日本建築学会>

2023.04.20

一般社団法人日本建築学会は、2023年日本建築学会賞を4月19日(水)に発表した。
大賞には、「環境建築のための建築設備・環境工学研究と設計技術の発展への貢献」により
石野久彌氏(東京都立大学名誉教授)、「工程計画と管理における数理科学的手法の開発と
その ICT 化の促進に関する学術的貢献により嘉納成男氏(早稲田大学名誉教授)「大型
耐震実験手法の開発と耐震解析・設計の高度化に関する一連の研究と国際貢献」により中島
正愛氏(小堀鐸二研究所代表取締役社長/京都大学名誉教授)の3名がそれぞれ受賞した。
大賞は、建築に関する学術・技術・芸術の発展向上に長年の業績を通じて、特に著しく貢献
した同学会の個人会員を対象としている。

注目の学会賞(作品)は「山形市南部児童遊戯施設シェルターインクルーシブプレイス コパ
の大西麻貴氏(オープラスエイチ共同代表/横浜国立大学大学院Y-GSA教授)、百田有
希氏(オープラスエイチ共同代表/横浜国立大学非常勤講師)、平岩良之氏(平岩構造計画
代表)、「春日台センターセンター」の金野千恵氏(teco代表取締役/京都工芸繊維大学特
任准教授)、「郭巨山会所」の魚谷繁礼氏(魚谷繁礼建築研究所代表/京都工芸繊維大学特
任教授)、魚谷みわ子氏(魚谷繁礼建築研究所代表)、柳室純氏(柳室純構造設計代表)の
3作品が受賞した。
「山形市南部児童遊戯施設シェルターインクルーシブプレイス コパル」は従来のできるだ
け大きな概念の下で人々を包むためのデザインのルール化や規格化とは異なり、個を出発点
にして共感の輪を広げていくという考えに立ったデザインであり、この建築の他にない魅力
となっている点が高く評価された。
「春日台センターセンター」は、背後にある共同体意識のようなものが建築として現れた作
品で、真に有効で持続的な居場所や建築の創造を、それぞれの私的な立場を守りながら、建
築に立ち向かった姿は、私たちに勇気を与え、未来に希望を持ち得る建築である点が高く評
価された。
「郭巨山会所」は、築150 年強の伝統的な町家形式の会所の増改築にあたり、幾多の町家改
修を通して、京都市の建築行政と対話を続けてきた設計者が経験を生かし、建築基準法の適
用除外の検討を行い、開発の波に揉まれながらも会所機能の維持を試み、会所の存在論的価
値を高めたことが高く評価された。

また、日本建築学会文化賞には、俳優の鈴木京香氏が、取り壊しの危機にあった吉阪隆正+
U 研究室設計のヴィラ・クゥクゥ(旧近藤邸・東京都渋谷区)を個人で引き受け、保存再生
と一般公開を視野に入れた改修を行ったことが評価され、受賞した。

 山形市南部児童遊戯施設 シェルターインクルーシブプレイス コパル

 山形市南部児童遊戯施設 シェルターインクルーシブプレイス コパル


     郭巨山会所 撮影:笹の倉舎/笹倉洋平

     郭巨山会所 撮影:笹の倉舎/笹倉洋平