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2024年日本建築学会賞を発表<日本建築学会>

2024.04.22

一般社団法人日本建築学会は、2024年日本建築学会賞を4月19日(金)に発表した。
大賞には、「木造建築物の保全に関する業績」により坂本功氏(東京大学名誉教授)、「建
築音響学と騒音制御工学の発展に対する多大な貢献と国際活動における顕著な業績」により
橘秀樹氏(東京大学名誉教授)、「住宅・住宅地の建築計画に関する学問的確立・社会実装
とそれらを踏まえた市民社会支援活動方策の構築および建築教育の改革に関する功績」によ
り服部岑生氏(千葉大学名誉教授)の3名がそれぞれ受賞した。
大賞は、建築に関する学術・技術・芸術の発展向上に長年の業績を通じて、特に著しく貢献
した同学会の個人会員を対象としている。
 
注目の学会賞(作品)は「House & Restaurant」の石上純也氏(石上純也建築設計事務所代
表取締役)、「岩国のアトリエ」の向山徹氏(岡山県立大学教授/向山徹建築設計事務所代
表)、「八千代市の老人デイサービスセンター“52間の縁側”」の山﨑健太郎氏(山﨑健太郎
デザインワークショップ代表取締役/工学院大学教授)の3作品が受賞した。
「House & Restaurant」は、大地と建築との反転という歴史的な事業を実現させた作品で、
郊外住宅地の土地、建物にありがちな安易さとは真逆の、大地に対する緻密で柔軟な応答の
結果が、多くの人々の感情の根源に触れるまったく新しい空間を生み出したことが高く評価
された。
「岩国のアトリエ」は、現代の建築技術と伝統的な手業の融合による新たな地平をめざした
取り組みが、土地のローカリティのもとで見事に実体化している点が新しく、地域に根をお
ろした生業と暮らしの営みを支える空間という原点への回帰を、現代社会のコンテクストの
もとで今一度定義することの重要性を明快に表現している点が高く評価された。
「八千代市の老人デイサービスセンター“52間の縁側”」は、一直線のはっきりとした構造体
が、波打つ尾根を浮かび上がらせ、子供たちと老人を出会わせ、参画を引き受ける土台=縁
側として建築的態度を地域に示している点と、議論を引き出すのみならず広く動的世界を包
含した高度な建築であることが高く評価された。

 House & Restaurant 撮影:junya.ishigami+associates

 House & Restaurant 撮影:junya.ishigami+associates


 岩国のアトリエ 撮影:野村和慎

 岩国のアトリエ 撮影:野村和慎


 八千代市の老人デイサービスセンター「52間の縁側」 撮影:黒住直臣

 八千代市の老人デイサービスセンター「52間の縁側」 撮影:黒住直臣