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建築確認審査の業務時間を削減
~Bluebeamによる効率化の実例
<J建築検査センター>
2026.07.27
近年さまざまな要因から環境の変化が大きい建設業界。建築確認の審査現場においても
2026年4月から開始されたBIM図面審査や前年の建築基準法の改正などによる影響が見られ
る。特に確認検査機関の業務量は増加するとともに、審査期間も長期化する傾向があるという。
こうした環境の中で、数年前からいち早くDXを含めた業務の効率化に取り組んできた確認検
査機関の1つにJ建築検査センターがある。同社は、2018年頃からパナソニック デジタルが提
供する図面専用PDFソフトウェア「Bluebeam Revu(ブルービーム・レビュー)」を導入。
審査業務の合理化と顧客とのコミュニケーションの質向上を同時に実現してきた。
今回、企画監査部 部長の佐々木 淳氏、渋谷支店長の川久保 始氏、構造審査課の藤井 洋行氏に、
社内での取り組みの詳細や今後の展望などを伺った。
J建築検査センターの概要と効率化へのアプローチ
2006年に設立されたJ建築検査センターは、東京や大阪、福岡に4拠点を持ち全国で業務を展
開する国土交通大臣指定の確認検査機関である。建築基準法に基づく確認申請審査・完了検査
を主軸としながら、既存建物の劣化診断や遵法性調査を担う「建物診断部」も有するなど業務
の幅は広い。建物は竣工して終わりではなく、50年から100年にわたり安全に使われ続けてこ
そ社会に貢献できるという思想のもと、建物のライフサイクル全体を通じた関与も特長として
いる。
「2026年に創立20周年を迎えた現在も“まずチャレンジしてみよう”という方針が組織文化の
根幹にあります」と企画監査部 部長の佐々木 淳氏。建築業界全体の目標として掲げられるよ
りも数年早く電子申請の実装に踏み切るなど、佐々木氏の言葉どおり、同社は新技術の導入に
積極的に取り組んできた。そして、経営の柱には茶道や武道における修行段階を示す
「守破離(しゅはり)」の考え方が据えられており、渋谷支店長の川久保 始氏は「業務の本来
あるべき姿(守)を各自が深く理解したうえで、応用(破)・創造(離)へと発展させる。
それを審査の現場で適用することで、認識のズレや手戻りを減らすことを社員一同で意識して
います」と語る。

株式会社J建築検査センター
左から企画監査部 部長 佐々木 淳 氏、渋谷支店長 川久保 始 氏、構造審査課 藤井 洋行 氏
さて、その同社がBluebeam Revu(以下、Bluebeam)を導入したのは2018年頃。きっかけ
は、同社の代表が参加した建築行政関係者による米国での研修だという。「現地の行政機関が
Bluebeamを使って審査しており、これだと直感的に思ったと聞いています」と川久保氏。当
時、同社はすでに電子申請への対応は進んでいたものの、審査業務では紙への書き込みを
Excelに転記して質疑書を作成するなど、デジタルとアナログが混在した工程が残っていた。
PDF図面に書き込みを行いそのまま顧客に情報を伝えられるBluebeamは、この課題を解決で
きるツールであったため、すぐに導入されたのだ。
そして、実際に導入されると多くの社員がスムーズに操作を習得できたという。「直感的でわ
かりやすく、先輩に少し聞く程度で自然と使えるようになりました」と、入社当初から
Bluebeamを使い続ける構造審査課の藤井 洋行氏は語る。UIも見やすく、実務で機能を覚えて
いくことができる点が多忙な審査現場への定着を後押ししたと言えよう。

Bluebeamの使用の様子
質疑書作成の方法などが変わり業務時間が3分の1へ
Bluebeam導入以前、例えば質疑書の作成は審査時間の大きな割合を占めていた。図面に書き
込んだ指摘内容を一件ずつExcelに打ち直す作業で、全体の審査時間のおよそ半分を費やして
いたという。

図面への書き込みだけで質疑書を自動作成。ハイパーリンクで指摘箇所をすぐに確認できる
それがBluebeamのマークアップリスト要約機能により、劇的に変化した。「直接PDF図面に
指摘事項を書き込んで要約機能を使えば、一覧が自動生成されるのです。質疑書を別途つくる
必要はなくなりました」と藤井氏は利便性を強調する。さらに、生成されたリストの各項目に
はPDF上の指摘箇所へのハイパーリンクが自動で埋め込まれる。顧客はリストの該当行をク
リックするだけで、該当する箇所を図面上でピンポイントに確認できるのだ。
「以前は、例えば“配置図の東側に何々を記入してください”と書いても、テキストだけでは伝
わりにくくお客様からどこの指摘ですかという問い合わせが来ることが頻繁にありました。い
まはそうしたやり取りがほぼなくなり、その部分がかなり削減されています」と川久保氏は語
る。Bluebeam導入後は1件あたりの全体作業時間がおよそ3分の1に短縮され、「わかりやす
い」と顧客からの評判も高く、クレームも大幅に減少。時間だけでなく業務の精度自体も向上
した。

構造図と構造計算書を重ねることで、柱や壁の位置の整合性をひと目で確認できる
また、構造審査を担う藤井氏が特に活用しているのが、複数の図面を重ね合わせるオーバーレ
イ機能だ。構造図と構造計算書を重ねることで、柱や壁の位置の整合性をひと目で確認できる。
「例えば、窓の位置に構造壁があるといった不整合を視覚的に素早く発見できます。計算書の
文字列検索機能でNGという文字を検索し、問題のある箇所をリストアップするといった使い
方もしています」と藤井氏は説明する。
審査の一次・二次担当間での連携でも、工夫をしながら活用する。「チェックマークの濃淡を
調整できる点も非常に便利です。担当者の用途に応じて、視認性を高めるために濃くすること
や、図面上の文字を確認しやすくするために薄くするなど、柔軟に使い分けることができます」。

用途に応じ視認性を高めるためチェックマークを濃くしたり薄くするなど、
柔軟に使い分けできる
さらに、電子押印やチェックマークを固定する機能も欠かせないと続ける。改ざんや意図しな
い移動を防ぎ、審査記録の信頼性を担保する。また、複数ページにわたる書類には自動でペー
ジ番号を付与できる機能も活用しており、「電話口で3ページ目をご覧くださいと伝えるだけ
で通じるようになりました」と話す。
電子化の副産物として、審査にかかわる紙の使用量は8〜9割は削減されたと社内の幅広い業
務を管理する佐々木氏は評価する。そして、電子データによる業務共有が可能になったことで、
特定の支店に業務が集中した際に他支店のスタッフがリモートで審査を支援できる体制が整
い、拠点間でのリソース平準化にも貢献していると語る。
BIM図面審査への備えや、活用サポートへのさらなる期待
J建築検査センターは、2026年4月からBIM図面審査の受付を開始しているが、同社では審査
担当者だけでなく事務職を含む全社員を対象としたBIM研修を、受付開始前の今年初め頃に実
施。「審査する人だけがBIMを知ればいいのではなく、業界全体の流れとして社員全員が理解
するべきという考えです」と佐々木氏は説明する。研修では、BIM図面審査で審査側が利用す
る審査環境について実際に操作しながら理解を深めた。今後は、設計者が利用するBIMソフト
の導入も視野に入れ、設計者の思考プロセスや業務フローへの理解を深めることで、より適切
な審査につなげていきたい考えだ。
2029年春からBIMデータ審査の開始も予定されているが、佐々木氏は今後の確認申請や審査
業務にはAI活用も進むことを見込んでいる。「手すりの高さなど数値で判定できる項目は自動
化し、人間は意匠の確認など、本当に人にしかできない審査に集中すべきです」。さらに
川久保氏も「理想は審査段階での指摘ではなく、設計段階でシステムが法令適合性を自動
チェックし、設計者の手戻りをなくすことです」と語る。
「新しい技術にトライしつつも、Bluebeamにはまだ我々が使っていない機能もあるため、今
後さらに期待しています」と佐々木氏。パナソニック デジタルでは、サポートサイトの設置や
講習会の用意などサポート体制を強化。ユーザーがBluebeamをさらに使いこなせるようバッ
クアップを手厚く行っているという。
法改正などにより業務が増加する中で、新技術を取り入れるとともに、守破離の考えに基づき
合理的かつ誠実に業務を行うJ建築検査センター。Bluebeamはその歩みに寄り添い、今後の
さらなる飛躍を支えるデジタルツールとして期待されている。
「Bluebeam Revu」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。


























