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コラム

建築BIMの時代7 BIMと働き方

2020.05.26

ArchiFuture's Eye                 大成建設 猪里孝司

新型コロナウィルスによる心安らかでない日々が続いている。ようやく第一波が収束しそうな
気配を見せているが、この禍が私たちの暮らしや仕事、心身に与えた影響は計り知れない。非
常に個人的で些細なことであるが、この騒動の中で気づいたこと、知ったことがある。

まず、私たちの日常を支えてくれている人たちのことを“エッセンシャルワーカー”と呼ぶこと。
恥ずかしながら“エッセンシャルワーカー”という言葉を初めて聞いた。天命を知るという年齢
になってから(未だに天命は全く分からないが)、当たり前と思っていることが決して当たり
前ではないこと感じるようになった。例えば、元日にコンビニで買い物ができることやダイヤ
どおりに電車が運行されていること、台風の日でもゴミの収集があることなどである。“エッ
センシャルワーカー”への感謝が募っている。
次にNHKスペシャルの質の高さであるまだ新型コロナウィルスへの対策が真っ最中のこの時
期に、限られた情報と時間の中で最前線について、冷静に分かりやすくまとめられていた。大
変参考になった。
最後にナショナルジオグラフィックのWebサイトである。特にノンフィクション作家の川端
裕人さんによる「研究室特別編:新型コロナ、本当のこと 神戸大学 中澤港」がためになる。
新型コロナウィルスについて、非常に信頼できそうな科学的な論拠を挙げ、分かりやすく解説
されている。納得できる内容である。その道の専門家と一流の執筆者の見事なコラボレーショ
ンだと感じている。
多くの人が影響を受けているが、人口当たりの死亡者数の少なさから日本はうまく対応してい
ると感じている。

オンライン会議が増えたことは、皆さんの指摘の通りである。オンライン会議システムは珍し
いものではなかったが、いろいろな理由を挙げられて長い間普及しなかった。当社では、東日
本大震災以降、災害の度に使われる頻度が高くなり、抵抗感が徐々に下がってきたように感じ
ていた。ここにきて一気に、通常のコミュニケーションツールになったように感じる。直接
会って話をすることとの優劣ではなく、新しいコミュニケーションの手段が一つ増えたといえ
るだろう。コロナ禍が収まった後も、リアルタイムのコミュニケーション手段として暮らしや
仕事の中で利用され続けると考えている。
ここでBIMについて考えてみる。BIMの考え方は、オンラインのコミュニケーションと親和性
が高いと思うのだが、今回のコロナ禍の中ではそれほど注目されていないような気がする。
BIMに限らず、デジタル情報はオンラインでの仕事やコミュニケーションに、不可欠なもので
ある。BIMに限っていえば、今回はその潜在能力を発揮できないでいる。BIMに関係する用語
BCF(BIM Collaboration Format)やCDE(Common Data Environment)がある。ど
ちらもBIMによる情報共有や協働作業を進めるための基盤といえるものである。我が国では、
ようやくBIMが注目を集め、実際に使われ始めたところなので、BCFやCEDに関する議論はそ
れほど活発ではない。オンラインでの協働作業やコミュニケーションで、BIM本来の能力を発
揮させるためには、このような基盤は欠かすことができない。

2016年3月のコラムで使った図をあらためて使わせていただく。4年前はBIMを分かりやすく
伝えるためにこの図を使2020年はこれまで以上にオンラインでの協働作業の重要性が
増すきっかけとなった年である。概念の説明ではなく、実際にこの図で示されている行為を実
現することが求められている。

 ©アルゴリズムデザインラボ

 ©アルゴリズムデザインラボ

猪里 孝司 氏

大成建設 設計本部 設計企画部 企画推進室 室長