滅び、残った創造的成果と発明。BIMは?
2025.03.13
パラメトリック・ボイス ARX建築研究所 松家 克
人類は神が創ったのか、宇宙から来たのか、地球の自然環境が創ったのか定かでないが、長年
の研究では、サルからヒトの系統に分かれ骨格、臓器、神経、脳などの全身を進化させ、更に
五感と感情を発達させ現在まで生き残っているという。最初に直立二足歩行と簡易な道具や火
を使う知恵を付けたと考えられている。その後の人類史の中での発見や研究、開発、発明で
創造されたものは無限。文化が人類を進化させたとの説もあるが、今後も多くの創造があるだ
ろう。
思い浮かべるままにデジタルに関連するアイテムを挙げてみる。現在はPCソフトやアプリに
囲まれ、その恩恵と不思議を楽しむ人が多くいる。これらの中で滅ぶもの、残したい、あるい
は残るだろう創造的成果をデジタル系に関連するアイテムに絞り挙げてみる。“アート”や“物
つくり”には、発想と共に閃きや諦めない気持ちと情熱が重要。“デジタル系”でも同じと考え
ている。
50年位前の建築設計業務では、若い人には経験がないT定規や計算機、ドラフター、平行定
規、三角スケール、コンパスなどで図面を作成していた。イエローペーパーでスケッチやエス
キースを繰り返し、模型やパースで確認。デザインや詳細を導いていた。今では、2D・
3DCADやBIMで入力しデータ化する。激変である。発想方法にも変化が見られる。人手不足
と離職率が高い建築界にとっては、デジタルでの思考や業務変革が重要となったともいえるが、
この環境変化で滅びたものも多々ある。
“消えたものや不確実なもの”には、ブラウン管テレビ、真空管ラジオ、銀塩フィルム写真、
UHS・VHSビデオ、レコード、ビデオカメラ&カセットテープ、8ミリビデオカメラ、ウォー
クマン、ミニディスク、フロッピーディスク、コンパクトディスク、フィーチャーフォン、ガ
ラケー、PHSなどが挙げられるが、儚く滅びたものある。
“残っているもの”には、ご存知のように産業革命時に電気自動車があった。その進化し復活し
たのがEV車でありハイブリット車といえる。自転車、ガソリン車、電気、プロペラ・ジェット
飛行機、戦闘機、ロケット、人工衛星、カラオケ、QRコード、LED、ビットコイン、日本画、
油絵、版画、陶芸、彫刻など一連のアートワーク、メガネ、卓上計算機、潜水艦、軍艦、原水
爆弾、原子力発電、ミサイル、将棋・囲碁の修練段階、冷蔵庫・洗濯機・空調機など家電品、
水道、充電器、ソーラー発電、風力発電、蓄電池、レアメタル、劇場、各種スポーツなどがあ
る。
人は、生まれて死ぬまでを人生という。今は、デジタル技術無くしてビジネスや物つくり、そ
して、生活が成り立たなくなっている。デジタルで世界と繋がり情報交換の重要性なツールと
なっている。
“消える可能性のあるもの”には、本、固定電話、ガラケー携帯電話、電子煙草、新聞、原子
力発電、原水爆弾などがあるだろう。
“近年に新たに生まれたものや生まれつつあるもの”には、スパコン、パソコン、量子コン
ピューター、コピー機、FAX、レーザー出力機、CAD、BIM、CGアニメーション、点群デー
タ、プロジェクションマッピング、AR・VR・MR、スマホ・タブレット、スマートウォッチ、USB、フラシュメモリー、テープレコーダ、ICレコーダ、ICカード、パスモ、液晶テレビ、
光量子、コンバータ、生成AI、GPS、eゲーム、各種ソフト・アプリ、ストリートビュー、カ
ミオカンデ、小型原子力発電、核融合、小型水力発電、各種小型発電、イオンエンジン、水
素エンジン、ジェットエンジン、超音速ジェット旅客機、超高空偵察機、潜水艦、深海観測
艇、地球観測衛星・みちびき・ひまわりなどの人工衛星、ISS:国際宇宙ステーション、新幹
線、リニア新幹線、フェイク情報、コロナ、ワクチン、デジタルアート、各種半導体、ドロー
ン、ロボット、アンドロイド、アバター、各種センサー、アクアポニックス、フィルム型ペ
ロプスカイト太陽電池、SNS、ユーチューブ、ティックトック、フェイスブック、X、DX・
AX、セルメモリー、アトム、アイボ、ASIMO、セグウェイ、自動ブルドーザー、ピカチュウ、
マリオ、タチコマ、ガンダム、感染症、インバウンド、ビットコイン、NFTアート、スカイ
ツリー、野球・サッカー・スキー・スノボ・スケートなどの各スポーツのトレーニング・
データ・戦略、冬季・夏季オリンピック・パラリンピックなどの近代オリンピック、デフリン
ピック、月居住、エンジン車、EV車、スマホ、3Dプリンター・超ミニ3Dプリンター、デジ農
業、アメダス、デジ気温・体温・体重計測器、F1、デジタルカメラ、デジタル戦争、ロボッ
ト・医療超小型ロボット、数値制御工作機、オキシトシン,IPS細胞、バリアフリー、インフ
ラ、アインシュタインが唱えた「量子もつれ」、デジタルテレビ放送、ベトナムやインドネシ
ア・タイの発展、万国博などがある。
“永い歴史の地球の自然環境から生まれたもの”には、人間、動植物、細菌、魚・シーラカンス、
魚と野菜の共存複合工場、コシヒカリ・ひめの凛・にじのきらめき米、野菜工場、養殖などが
ある。
思いつくまでに羅列したのでデジタルとは間接的なものもあるが、まだまだ多くのものがある
だろう。挙げてみると見えてくるものがある。新鮮、便利で役立つ、能率的、楽しい、刺激的、
スリル感、ゲーム性、批判性、好奇心、同意性、発見性、創造性、プライベートメディア性、
国や地域の仲間・同族意識などが頭に浮かぶ。反面、破滅的な戦争や人類の欲望を満たすこと
も見てとれる。次はコミュニケーションと表情などの感情表現、リレーションなど人や人との
かかわりが強いものが残っている。小さなカラオケバーから大きなコンサートホールや野外イ
ベントなどで、人はあらゆる演劇や音楽、イベント、スポーツ、アートなどを楽しんでいる。
創造や開発での閃きと戦う時には、ドーパミンが出て快楽に繋がるという。スマホの功罪は対
話が少なくなり、会話不足になるという。テレビ会議も能率的だが、同様だともいえる。
自然の中で四季と共に生活するとか、寅さんのように旅を生活にするとか、海や山、森、島、
ポツンと一軒家の生活とか、シェアオフィスでのビジネスとか、豪邸やスーパーカー、高級ワ
インに囲まれてリゾート生活するとかなどの多様で自由な選択肢を多く持つのが豊かな社会か
もしれない。今後も新たな発見や研究があるのも歴史をみると間違いない。人は死んだら終わ
り死後の世界はない、と考えているが、次世代への歴史上の発見や発明の承継と継続が重要と
強く考えている。
話しは変わる。海に囲まれた日本列島は、気候変動による温暖化の影響を高温海水面から大き
く受けている。海水温の上昇に伴い、海水面からの蒸気発生が多くなり、結果、線状降水帯に
よる豪雨やJPCZによる豪雪。魚類の分布や近海で採れる種類も変化した。今年は、ブリやズ
ワイガニ、イワシが異常なくらい大量だという。片や日本には、富士山を始め噴火する可能性
がある火山が111あり、地震や火事も毎日のように日本列島のどこかで発生している。津波被
害も大きい。大小を含めると日本は世界で最も多くの自然災害に見舞われている国といえる。
一方、恐竜時代の小惑星の地球激突のように2032年に地球と衝突する可能性もあるという。
日々、自然災害との対峙である。故に日本の災害への対応と知恵は、世界で類を見ない実績で
技術や知恵が発展したともいえる。
誤解を恐れずに記す。原子力発電は、福島原発の未曾有の災害で、その危険性が露呈。現況の
原子力発電施設は、全て廃棄すべきと考える。万が一の事故の際には長く続く大被害が想定さ
れる。ミサイル攻撃にも対応が難しい。しかし、再生可能エネルギーでの発電が理想であるが、
全ての電力を賄うのは、まだまだ先である。併せ、核融合技術が展開出来る迄は、資源に乏し
く電気需要の激増が想定され、大規模な停電も起こり得る日本の現況では、問題点や課題は多
いが未だ利用して行かなくてはいけない状況だと考えている。この環境下で三菱重工は、超小
型原子力発電装置を開発したという。25年間燃料交換が必要なく海水による冷却水も必要な
いという。それ故に山間部にも設置が可能となる。大きさは、直経1mで長さが2mだという。
運搬も容易。万が一の事故対応も超小型故に放射性燃料の漏れも少なく、対応が容易と考えら
れ廃棄物も分散し全国で公平なリスクを負うことになるだろう。風力・水力・太陽光発電のよ
うにSDGsに繋がる可能性が高い。米国でも超小型原子力発電装置をカイロスパワー社が開発
中であり、次世代に向け研究が進んでいる。
最後に、BIMついて、多くの意見や事例を耳目にする機会がある。まだまだ使いづらくオープ
ンBIMも叫ばれているが、一気通貫というが難しい、しかし、ユーザーの要望や課題に各ベン
ダーやプロバイダー、ソフトハウスの開発者は対応の努力を続けている。26年以降にBIMによ
る確認申請も現実化すると想定される。初期の頃は限定された利用とスキルアップが必要だっ
たが、今では広範囲に利用され重要なツールとなり浸透し、BIMの認定試験などで、特別では
なく普通のツール化に進んでいる。スマホやタブレットでBIMデータをクライアントが自由に
操作できるアプリも実現している。楽しく興味深い。今後も発展しながら更に展開し確認申請
などへの応用が拡大するだろう。デジタルスキルは、人類が研究と開発を進め研鑽し深めた新
しい技術。AIスキルのように不安定な新展開もあるが、BIMとの組み合わせのソフトも一部で
展開が始まり、更に開発中という。人類の知恵と実績で有効利用が更に進むと考えている。
地球に生命が誕生してから40億年。霊長類の系統でサルと分かれた我々ホモサピエンスは、
40万年~25万年前に現れたといわれている。しかし、終末時計が残り89秒の今、地球のあち
らこちらで不安定な状況を作り出しているのは人間。核兵器廃絶も先が見えてなく、戦略核
の開発増強がロシアや中国で進んでいるという。中国は、人工島を作り領土化する動きもあ
る。争いで人類が滅びる日が何時かあるのかもしれない。限りある人生の今を楽しみ、創造的
で有意義な時間を過ごしたいと考えています。