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Bluebeamの活用によるデジタル化と
より円滑なワークフローの構築<きんでん>
2026.01.26
総合設備エンジニアリング企業のきんでんは、業務の効率化や生産性の向上を見据え、社内で
幅広くデジタル化を進めている。建設業界全体としてもDXは各社で進行しているが、図面情
報をめぐるコミュニケーションと業務連携が課題として残っている企業は少なくないのが現状
でもある。
そのような中、きんでんでは図面チェックのデジタル化をはじめ、設計に関する部門と積算部
門が共通の図面ベースの仕事をより効率的につなぐため、パナソニック ソリューションテク
ノロジーが提供する図面専用PDFソフトウェア「Bluebeam Revu (ブルービーム・レビュー) 」
を導入。紙での回覧が前提だったワークフローを見直すことで、業務効率を大きく向上させる
とともに、部門を横断した新しい連携が生まれつつあるという。
今回、きんでんの技術部 技術課で設計業務などを担当する桑原 健氏に、同ソフトウェアの導入
経緯や社内推進の流れ、今後の展望などを伺った。
DXを進める中で協力企業の活用例をヒントに
きんでんは1944年に設立され、エネルギー・環境・情報の3つの事業領域を手掛ける総合設備
エンジニアリング企業である。電気設備を中心に情報通信、空調・衛生設備など、幅広い設備
工事を行い、最近は2025年大阪・関西万博など有名プロジェクトも実績に持つ。そして、同社
ではDXによるデジタル推進も近年実施し、生産性の向上や業務効率化を積極的に行っている。
その同社の中で、ICTも積極的に活用し、業務の効率化を図っているのが技術部 技術課の
桑原健氏である。桑原氏は工事課から異動し、約4年前に着任。現在、設備設計を担当するほか、
設計プロセスの改善や工事課の技術的なフォローなど横断的な業務を担う。
「ゼネコンや設計事務所をメインに、施主とも直接打ち合わせをする場合がありますが、我々
は打ち合わせを重ね、設備部分の要望を正確に図面へ落とし込んでいきます」と業務のポイン
トを説明する。基本設計図は建設前の与件を整理し、施主やゼネコン、設計事務所側とのコ
ミュニケーションの基盤となるため、いかに素早く制作し、情報を正確に共有できるかが鍵と
なる。

株式会社きんでん 大阪支社 技術部 技術課 桑原 健 氏
以前、きんでんでは図面を紙に印刷してチェックを行う従来型のプロセスを踏んでいた。
「紙の図面を3~4人で回覧すると数日を要することも多かったため、以前から改善したいと
考えていました」と桑原氏は振り返る。その中で転機となったのが2024年。複数の大手設計
事務所とのリモート会議の場だ。
「何回か打ち合わせをするうちに、あの便利なソフトは何だろうと思うようになりました。そ
こで先方にソフト名を尋ねると、それがBluebeam Revu (以下、Bluebeam) だったのです」。
Bluebeamに目を付けた桑原氏は、早速、機能や効果を調べた上で導入することを上司に提案
し、まずは自らが試用を開始した。使ってみると操作感もよく、機能も充分に備わっていたた
め、積算部門や本店の関係者にも導入を拡大し、効果を実証。最終的に技術部長や積算部門長
の決裁を経て、正式導入に至ったという流れだ。
「設計と積算は別の部門ですが、同じPDF図面を扱うのでツールを共通化するメリットは大き
いと考えました。図面が仕上げた後、すぐ数量拾いに移れるようにしたかったのです」。この
ように、桑原氏は図面チェックのプロセス効率化に加え、設計と積算の連携強化を見据えて導
入を進めたのである。

簡単にPDF内に図面や文字、写真などを記載できる
手順書をオリジナルで作成し普及を促進
さて、Bluebeamの導入初期に桑原氏が注力したのが、社内でソフトウェアの利便性を広く伝
え、確実に使用者を増やすことであった。そこで桑原氏は、まず紙ベースの回覧プロセスを
Bluebeam上で再現するための「設計検証・審査手順書」を整備。この手順書ではBluebeam
のチェックプロセスがどのように紙の代替になるかということをはじめ、「Studio セッショ
ン」機能を用いて複数人が同時にレビューを行い、3日以内に全員がチェックを完了させ、
PDFで履歴を管理・保存するなど具体的なフローを定義している。
さらに「サーバ接続、案件名や工事番号の設定、ファイルのアップロード、社内アドレス帳か
らの招待、メッセージ欄への記述などまでして、誰でも使えるよう詳細に明文化しました」と
桑原氏は語る。この手順書のおかげで、Bluebeamを同社の業務でどのように使用すれば良い
かが一目瞭然となり、大きな支えとなった。

Bluebeamでのシンボルの画像検索機能の例
また、桑原氏はさらなる拡大を図るため、きんでん大阪支社で年1回開催される改善事例発表
会でプレゼンテーションを実施。ここで設計、施工、積算など全部門での具体的な活用方法を
報告。この発表がきっかけとなり、月次で開催される技術責任者会議でも紹介され、各部署で
の導入検討が進んだという。このように桑原氏が順を追って展開を図ったことで、Bluebeam
の導入は着実に進み現在に至っている状況だ。
そして、Bluebeamが設計業務のさまざまな場面で効果を発揮している。「例えばオンライン
会議で、図面を共有して寸法計測やマーキングをしながら打ち合わせできるのがとても便利で
す。Excelを操作するような馴れた感覚で図面に書き込みができるので、顧客との会話が以前
よりもスムーズになり、お互いの理解度も深まります」と評価する。
特に効果を実感した具体例として挙げるのが、数十年前に竣工した既存ビルの改修プロジェク
トである。「当時の手描き図面をBluebeamで取り込んでPDF化し、そこにアスベストが施さ
れていた位置などを直接描き込んだほか、現場で撮影した現況の写真や実測値を図面に添えて
いきました。既存図面の寸法と実測値が異なる箇所が多々あったのですが、この差異を協力会
社に分かりやすく正確に伝えることができ、トラブルを未然に防ぐことができました」。最近
増加するリニューアル案件でも効果を発揮しているという。

Bluebeamでの差分チェックの例
また、桑原氏が目を付けた積算業務の効率化でも大きな効果を上げている。Bluebeamの差分
比較機能により、図面の変更箇所を素早く特定できるようになったと桑原氏はまずメリットと
して挙げる。「従来より使用していた専用機器を使えば1枚につき1分かかっていた差分検出が、Bluebeamでは100枚の図面でも一括で1分程度での処理ができ、変更箇所が色分け表示されま
す。作業時間の圧倒的な短縮につながり、見落しや拾い落としのリスクが大幅に減少しました」
と説明する。
また例えば法令書より「防火区画」など文言が記載されている箇所の確認について、テキスト
検索機能を使うことにより図面内で素早く見つけ出すことも可能になり、法令集の関連条文の
確認作業も効率化されたという。このように、Bluebeamの幅広い機能を有効に活用し、実際
に効率化を実感できている。

導入メリットの一例
実践使用で活用の幅を拡げ、今後の展開へ
現在、きんでんでは、技術研究・基幹教育施設「きんでん学園」の移転・建て替えプロジェク
トを進めている。きんでん学園は、未来を担う人財の確保・育成のための教育施設で、半世紀
以上の歴史を誇る。桑原氏はそのプロジェクトでBluebeamを他の部門間連携の実験的な試み
で活用している。
「BluebeamのStudioセッションでは同時編集を行うことができますしBluebeamを入れてい
ない施主なども簡易的に扱うことができます。施工部門なども、施工要領書や設備機器の納入
仕様書などBluebeamを使い連携していくことで、プロジェクトのスピード感が加速すると考
えています」。
一方で、社内の普及における課題も残されており、「予算面の部分も考えながら順次進めてい
きたい」と桑原氏。全体のバランスをみながら少しずつ社内のDX化を進めていくこともコツ
だと語る。
そして、少子高齢化による人手不足やインフラ老朽化といった建設業界全体の課題を踏まえ、Bluebeamの活用をさらに広げるためにはAIとの連携が欠かせないと桑原氏。「今後は業務に
AIを上手く取り入れていき、将来的には音声対話によるソフトウェアのコマンド操作やPDFか
らの自動見積の作成などが可能になれば、より高度な業務効率化が可能となるでしょう。そう
いった将来のためにも、Bluebeamを含め、時代や状況に応じたソフトウェアを柔軟に業務へ
取り入れ、お客様のためにより質の高い仕事をしていきたい」と桑原氏は力強く語る。
※本文中に記載されている内容は、取材時点のものです。
「Bluebeam Revu」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。



























