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建築情報学会の新たな可能性を切り開いた
AIS WORKSHOP 2026
2026.04.23
ArchiFuture's Eye 広島工業大学 杉田 宗
先月、第5回となる建築情報学会年次イベント「AIS WEEK 2026 KYOTO」に合わせ、新しい
活動である「AIS WORKSHOP 2026」が開催されました。3月13日から16日にかけて京都工
芸繊維大学 KYOTO Design Labにて制作が行われ、17日から18日に京都大学吉田キャンパス
にてワークショップの成果物が展示されました。

私は本ワークショップの実行委員長として、企画段階から実際のワークショップ期間中の運営
までに関わりました。今回はこの熱気に満ちた4日間の軌跡と、そこから得られた成果につい
て紹介します。
建築分野においても急速に情報技術の浸透が進む一方で、デジタルファブリケーションやAI、
IoT、XRといった最先端の技術に直接触れ、その活用を学べる環境はまだまだ十分ではないと
言えます。そこで、建築情報分野に触れる機会が少ない学生に向けて、最先端の技術を駆使し
ながら「建築情報を考え、自らの手で何かをカタチにしていくプロセス」を体感してほしいと
いう思いから、このワークショップは生まれました。
初回となる今年のワークショップのテーマは「建築情報学の神輿 / MIKOSHI for Architectural
Informatics」としました 。もしも建築情報学の神輿を作るなら、それはどのような姿になる
だろうか。参加者にはその姿を考えてもらい、実際に制作し、完成した神輿を自ら担いで京都
工芸繊維大学から京都大学まで運ぶという、極めて実践的かつ祝祭性を持ったプログラムを考
えました。材料についてもアップサイクルを取り入れるなど、廃棄物を最小限にする環境配慮
も求めました。

全国から集まった参加者は非常に熱心で、期間中の会場は終始活気に満ちていました。今回は
W01からW05までの5つのチームが結成され、各インストラクターが趣向を凝らした独自の
ワークショップを展開してくれたことで、チーム間に良い競争と刺激が生まれたと思います。

W01:モノウカス
インストラクター:池本祥子、浅井睦
アシスタント: 田住梓、近藤広隆、鷲見良、田川直樹
3Dスキャンやフォトグラメトリを用いて日常のモノをデジタル化し、3Dプリントなどの技術
を用いて透明なオブジェクトとして再構成するアプローチで、参加者の思い入れのあるモノを
神輿として昇華させました。

W02:不規則しかし精緻 -端材による曲面の神輿-
インストラクター:小見山陽介、林和希、安田渓
廃材や端材といった不規則な素材を持ち寄り、デジタル技術による精密な計測や解析、加工を
駆使して「精細な秩序を持つ曲面」を構築するという、設計と施工を並行させる挑戦的な制作
を行いました。

W03:Mikoshi of Interlinked Dimensions -Virtual Shrine Coding Workshop-
インストラクター:Barna Gergely Peter、Sun Meng
バーチャル神輿コーディングワークショップとして、パラメトリックなシステムやコードに
よって生成されるデジタルな神輿を作成し、クラウド上に存在する物質的ではない新たな神輿
のあり方を探求しました。

W04:「みんなで神輿だ、○○○(掛け声)!」 -身体とデータで担ぐフィジタル神輿-
インストラクター:北本英里子
参加者の動きや掛け声をセンサーでデータ化し、プロジェクションマッピングなどによって空
間にインタラクティブな「光や映像の祭りの皮膚」をまとわせるフィジタル(身体とデータ)
な神輿を立ち上げました。

W05:Pulse & Motion Driven Mikoshi -呼応する御神体-
インストラクター:土井究太、大場風太
アシスタント:天野桂吾
参加者が協力して神輿専用のGPTを作り、センサーとアルゴリズムを組み合わせて、担ぎ手の
掛け声や動きに応じてリアルタイムに反応・変化する、現代の科学技術を代替とした新しい御
神体を製作しました。
3月16日の午後には、参加者が自分たちの神輿を担ぎ、制作会場から展示会場へと練り歩く
「神輿の巡行」が実施されました。京都の街を移動するその姿はまさに祝祭そのものであり、
参加者の熱気と達成感が最高潮に達した瞬間でした。

巡行を終えた後、京都大学吉田キャンパスにて最終発表ならびに審査会が行われました 。審査
の結果、AIやセンサー技術を高度に融合させたW05チームが最優秀賞に、日常のモノとデジタ
ル表現を美しく結びつけたW01チームが優秀賞に輝きました 。また、その他のチームにも奨励
賞が贈られました 。受賞の有無に関わらず、どのチームも情報技術と創造性が融合した見事な
アウトプットを生み出していました。
今回のワークショップを通じて、建築情報学会に「実践的な学び」という新しい側面が形成さ
れたと確信しています。これまでもFESなどのイベントで学びの機会を作ってきましたが、
4日間という濃密な期間で、自らデザインし、実際に作るところまでを一貫してやり遂げるこ
とで得られる経験は、桁違いに大きいと感じました。
今回参加してくれた学生たちが、将来インストラクターとして戻ってきたり、今回のインスト
ラクターが将来の審査員や学会の運営側に立ったりする可能性は大いにあります。単なる技術
の習得にとどまらず、このように「人を育てる機会」を学会として提供し続けることには、非
常に大きな意義があると考えています。
熱意を持って取り組んでくれた参加者の皆様、多大なご尽力と魅力的な企画をご用意いただい
たインストラクターおよびアシスタントの皆様、そして開催にご協力いただいたすべての関係
者の皆様に、心より感謝申し上げます。ワークショップを終えた今、建築情報学のさらなる発
展のスタート地点に立っているように感じています。
・AIS WORKSHOP HP
・ワークショップ映像(クリックするとYouTubeへリンクします)


























