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パラメータバリューに焦点を当てた設備BIMの
社会実装へ
2026.06.23
パラメトリック・ボイス 日本設計 吉原和正
今回のコラムでは、私も関わることになったBIM標準情報活用協会(BIMSIA)での設備分野
で予定している活動テーマについて触れたいと思います。
BIMオブジェクト標準の整備は、昨年度末に、BIMライブラリ技術研究組合からBLCJ BIMオブ
ジェクト標準Ver.2.1が、標準化TFからは標準属性項目リストVer.2.0が公開され、一定の成果
を上げつつあります。
設備分野においては、BLCJ BIMオブジェクト標準Ver2.0が2023年に公開されて以降、ジェネ
リックオブジェクトの検証、メーカーオブジェクトの拡充、各設備BIMソフトへの対応もある
程度進み、社会実装は着実に前進しています。
一方で、すべてを3D形状を伴うBIMオブジェクトとして整備することには、限界があることも
見えてきています。設備機器は機種が膨大で、既製品に加え、建物条件に応じて仕様が変わる
受注生産品も少なくありません。これらをすべて個別オブジェクトとして作り込むには、メー
カー側に作成・更新の負担を継続的に強いることになります。また利用者側も、膨大に提供さ
れるBIMオブジェクトの中から正しいものを選択し、変更があれば最新のオブジェクトに入れ
替え続けなければならず、実務上、必ずしも現実的とはいえません。これから、現実的な取り
組み方へ切り替えていくタイミングにあると考えています。
国内のBIM標準化は、これまで「パラメータ」、すなわち情報を入れる“箱”の整備を中心に進
められてきた面があります。しかし、BIMが本来のデータとしての価値を発揮するために重要
なのは、箱そのものではなく、その中に入る“中身”にあります。つまり「パラメータバ
リュー(情報値)」を、実務で使える品質と粒度で流通させることが不可欠になります。特に
設備分野では、機器や器具の仕様値の多くをメーカーが保有しており、この情報をいかにBIM
と連携させるかが、普及の大きな鍵を握っています。
そこで必要になるのが、「形状中心」から「情報中心」への発想の転換です。BIMオブジェク
トには、機番、風量、能力、設置場所など、モデル上で判断や集計に必要となる主要な情報を
保持させる。一方で、詳細なメーカー仕様値や特記仕様などは、CSV等の外部データとして整
備し、BIMと連携させる。このような役割分担により、BIMを建物データベースの核としなが
ら、仕様情報を柔軟に扱うことができるようになるはずです。
この考え方は、CDE(共通データ環境)の進展とも親和性があります。これまでBIM活用の理
想像として、すべての情報をBIMモデルに入力し、一元管理する姿が語られてきました。しか
し、プロジェクトで扱う情報量が増えるほど、すべてをBIMモデル内に抱え込むことは、必ず
しも合理的ではなくなっています。むしろ、BIMと外部データベースを適切に接続し、必要な
情報を必要な場面で参照・活用できる仕組みこそ、持続可能なデータ管理の姿だと考えていま
す。
BIM標準情報活用協会(BIMSIA)は、建築設計・施工でのもの決め実務において、BLCJ BIM
オブジェクト標準等のBIM標準情報が公開後も未だ十分浸透しない状況に鑑み、その要因を把
握するとともに、設計者・施工者・製造メーカー・BIMソフトウェアベンダー等において、
BIM標準情報を実務で活用できるよう、具体的な運用支援を行うことにより、無駄な作業やコ
ストの削減等を図り、事業者を含めた関係者や幅広い利用者がBIM標準情報活用の効果を実感
できるようにすることを目的として、昨年11月に発足しました。また、今年度からはBIMライ
ブラリ技術研究組合に代わり、建築BIM推進会議の部会2の役割を担うことになりました。
設備BIMの社会実装は、単に3DのBIMオブジェクトを増やすことではありません。実務に必要
な情報値を、正しく、無理なく、継続的に流通させる仕組みをつくることのはずです。
従来のBIM活用では、3D形状への過度な偏重や、ソフトごとに分断されたデータ管理が課題と
なっていました。BIMSIAでは、形状ではなく実務で必要な属性情報値(パラメータバリュー)
に焦点を当て、CSV等を活用したデータ流通モデルを構築し、ソフト間の壁やメーカーの参入
障壁を低減することで、効率的かつ持続可能なデータ流通の実現を目指して活動していこうと
考えています。
パラメータバリューに焦点を当てた取り組みは、BIMを “情報を活かす基盤”へと進化させる挑
戦でもあります。設計者、施工者、製造メーカー、BIMソフトウェアベンダーが連携し、すべ
てのプレイヤーにとってメリットのある設備BIMの社会実装を目指していきたいと考えていま
す。

出典 : 一般社団法人 BIM標準情報活用協会 設備分野の重点取組内容

























