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吊り天井の耐震補強にCatenda Hub導入、
調整負荷を軽減<佐藤工業>
2026.08.19
コンサートホール吊り天井の耐震補強工事の難しさとして挙げられるのが、舞台装置や照明装
置、各種配線との干渉回避である。富山の舞台芸術の拠点として知られる
オーバード・ホール (富山市芸術文化ホール) 大ホールの大規模改修の施工を担当する佐藤工業
は、BIMの3Dモデルと点群データをCatenda Hub上で重ね合わせをし、可視化することで、
既存の鉄骨・ダクト・配管・照明・舞台機構関係などとの干渉を回避。また、ステップ図作成
など若手スタッフへの教育として利用するなど、BIMの情報共有プラットホームとして多様な
活用に取り組んでいる。

吊り天井の耐震補強工事が直面した干渉回避という課題
東日本大震災では吊り天井の落下事故が各地で発生した。それを受け、一定条件に該当する吊
り天井は建築基準法に基づく天井脱落対策の規制強化への適合などの対策が義務付けられるこ
とになった。1996年のオープン以来、オペラ、ミュージカル、演劇、バレエ、オーケストラ
など多様な公演が行われ、富山市の舞台芸術の拠点として愛されてきたオーバード・ホール
大ホールもその条件に該当する施設の一つだった。2025年11月から長期休館する同ホールは、
吊り天井の耐震補強および老朽化した舞台機構・舞台照明・舞台音響、舞台床、客席などの更
新工事が2027年秋の再オープンに向けて進行中である。

佐藤工業株式会社 佐藤工業株式会社
北陸支店 建築事業部 建築部 工事部長 オーバード・ホール作業所 所長
西尾 康弘 氏 安田 健史 氏
一連の工事において最も大きな困難が予想されたのは、吊り天井の耐震補強だった。地場ゼネ
コンや鉄骨ファブリケーターと共に施工を担当する佐藤工業 北陸支店 建築事業部 建築部
工事部長の西尾 康弘氏はその理由をこう説明する。
「オーバード・ホールに限らず、劇場・コンサートホールの吊り天井裏には、舞台装置や照明
装置とその配管・配線や施設全体の配線が複雑に配置されていることが一般的です。耐震補強
用の鉄骨の追加は、干渉の回避が大きな課題になると考えられました。設計段階で干渉が回避
できていることが理想ですが、全体スケジュールを考慮するとそこまで求めるのは現実的では
ありません。手戻りを減らすには、なんらかの干渉回避対策が必要でした」。

佐藤工業株式会社 堀井鉄工株式会社
オーバード・ホール作業所 取締役 統括部長
副所長/監理技術者 金子 隼也 氏 舛田 克郎 氏
この問題の解決策として同社が選択したのは、設計データと点群データのBIMモデルを使った
重ね合わせによる干渉チェックだった。点群データにより3Dモデルを作成し干渉をチェック
する一連のプロセスは、以前から同社のBIM推進をサポートしてきたグローバルBIMに委託。
その際に提案されたのが、干渉チェックだけに留まらないBIMのモデル活用と並行した情報共
有に向けたCatenda Hub採用だった。
「BIMビューワによる3Dモデル活用は以前から行ってきましたが、従来はPCにアプリをイン
ストールする必要があることもあり、3Dモデルにアクセスできるメンバーは限られるのが実
情でした。ユーザー数の制限なく、ブラウザ経由で全機能にアクセスできるCatenda Hubな
らばこうした課題の解決にもつながると考え、採用を決めました」(西尾氏)。

Catenda Hubのトピック(課題管理)を活用した問題点の共有
Catenda Hubで共有した情報を基に、鉄骨加工指示書の作成に展開
ここからは、オーバード・ホール 大ホールの吊り天井補強工事においてCatenda Hubがどの
ように利用されているかを具体的に見ていきたい。
その第一段階となるのが、点群データによる現況モデルと設計3DモデルのCatenda Hubへの
アップロードと、双方の重ね合わせによる干渉箇所のチェックである。その結果は、設計者と
鉄骨ファブリケーターを含む施工側担当者が参加する会議で共有され、解決策が議論される。
会議で合意された解決策は設計者が持ち帰り、修正が行われ、Catenda Hub上で再度干渉の
チェックが行われる。干渉箇所やその解決策、特記事項などはトピックと呼ばれるテキストと
その干渉箇所のビューとを合わせたコミュニケーション機能で管理され、干渉が打ち合わせ通
りに回避できていることを確認できる。
また、Catenda Hubにモデルを集約することにより、Archicadで作成した3Dモデルが鉄骨図
面の作成にも活用されている点も注目したいポイントだ。鉄骨ファブリケーターとしてプロ
ジェクトに参画する堀井鉄工 取締役 統括部長の舛田 克郎氏はその意義をこのように説明する。
「設計図面を基に施工図を作成し、部材加工を行い、現場における組み立てまでを担当する
私たちにとって、正確な施工図の作成は常に重要な課題です。当社は鉄骨専用CAD REAL4を
利用していますが、Catenda Hubで確認したモデルの内容を基に、REAL4側で3Dモデルを正
確に作成でき、加工指示書などの出図が可能になった意義はやはり大きいと思います。当社は
以前から施工におけるBIM活用に取り組んできましたが、Catenda Hubにより一歩先のBIM活
用が実現できたのではないかと感じています。特にトピックによる情報共有が各現場でルール
化できれば、プロジェクトメンバー全員が恩恵を得ることにも繋がるはずです」。
点群データと設計3Dモデルの照合が手戻り削減に貢献

Catenda Hubを活用した点群データと設計3Dモデルの照合
Catenda Hub導入の効果としてまず挙げられるのは、干渉チェックによる手戻り削減である
ことは間違いない。オーバード・ホール作業所 所長の安田 健史氏は効果をこう説明する。
「工事の進捗はすでに半分を超えていますが、点群3Dモデルと設計3Dモデルを重ね合わせた
干渉チェックが手戻り削減に大きな成果を挙げていることは間違いありません。また2D図面
による干渉チェックは複数の平面図と軸組図を見比べることが必要になりますが、3Dモデル
であればより直感的に干渉箇所を発見することができます。またトピックは3Dモデルのスク
リーンショット添付なども簡単に行えるため、これまでは考えられなかったスムーズな情報共
有も可能になりました」。
スタッフ教育の観点からもCatenda Hubは大きな意味を持つとオーバード・ホール作業所
副所長 /監理技術者の金子 隼也氏は指摘する。
「施工現場の作業手順に関する判断は現場担当者に委ねられますが、経験が浅いスタッフに
とって、例えば高所作業のための足場を組む必要があるかどうかを判断することは難しいのが
実情です。これまではこうした判断ミスは実際に工事が始まるまで見過ごされていましたが、
Catenda Hubの3Dモデル共有により現場に足を運ぶまでもなく、それに気づくことが可能に
なりました。“工事前のここには足場が必要なんじゃないの?”という声掛けは、若手スタッフ
の教育にも大きな意味を持つのではないかと感じています」。
ユーザー数に制限がないCatenda Hubの特長を生かし、現場では、設計者やゼネコン・鉄骨
ファブリケーター担当者だけでなく、現場の作業者にも3Dモデルにアクセスできる環境を用
意している。現場に入る前に3Dモデルで現場の状況を把握できることは、作業のしやすさや
安全意識の向上にも貢献できているという。
佐藤工業がCatenda Hub活用の次のステップとして考えているのが、専用のモバイルアプリ
Catenda Siteによるオフライン環境での活用促進である。ネットワーク接続が不安定である
ことが多い建設現場では、Catenda Hubへのスムーズなアクセスが困難であることも珍しく
ない。しかし、タブレットやスマホなどのモバイルデバイスにCatenda Siteをインストール
することで、事前に読み込んだ3Dモデルのオフライン環境でのモデルの閲覧や確認作業、ト
ピック作成などが可能になる。
「3Dモデルだけで現地の状況が完全に把握できるわけではなく、確認のための現地調査が必
要になることも少なくありません。オフライン環境でもCatenda Hubが参照できるようにな
ることは、こうした作業の効率化に大きな役割を果たすはずです」(安田氏)。
施工段階での3Dモデル利活用の意義は干渉チェックだけに留まらない。佐藤工業は、BIMの
さらなる活用にCatenda Hubが大きな役割を果たすことを期待している。
「Catenda Hub」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。



























