ロボット施工
2016.10.25
パラメトリック・ボイス アンズスタジオ 竹中司/岡部文
岡部 昨年、コープ・ヒンメルブラウが、‘We start the future of construction’ と銘打っ
てロボット施工の様子を描き出し、建築界の未来のため、果敢な挑戦を始めることを
宣言した。
現在も、着々と開発が進んでいるようだ。
竹中 彼らが描き出しているのは、自由に振る舞う建築形態だけではなく、それを支えるロ
ボット施工のプロセスである。実際に中国の企業と手を組み、新しい施工の手法を開
発・実践中だ。
岡部 では、彼らは何故、ロボット施工に注目しているのか。
デザイン主幹およびCEOを務めるヴォルフ・プリックス氏は、「それはテクノロ
ジーへの個人的興味からではなく、建築自身の未来の姿を危惧しているから」だと
断言している。
竹中 最新のテクノロジーを活用しても、これまでの建築と同じであれば、技術の進化は無
意味なことだ。施工のプロセスにおいてロボットが活躍するようになる時代、建築設
計も施工技術と「共進化」しなければ、新しい世界は広がらない。
岡部 彼らの包括的な活動には、建築家自らが設計と施工の関係性を真剣に模索し、未来の
建築像を見つけ出そうとする、熱い姿勢を感じ取ることが出来るね。
竹中 そうだね、ここ数年でこうした試みが世界各国で見られるようになってきた。
情報化施工技術をはじめ、ロボット施工技術、ドローン測定技術などを用いた興味深
い事例を多く見ることが出来る。
岡部 こうした最先端のテクノロジーを基に、設計から施工までをシームレスに繋ぎ、BIM
やコンピュテーションで生成された3Dデジタルデータをフルに活用して建築を実現す
る。デジタルの力が可能にする次世代の建築施工「デジタル・コンストラクション」
も夢ではないね。
竹中 多くの部材を管理しながら、刻々と変化する現場環境と対話し、自由で多様な施工を
可能にする究極の職人技が実現できるはずだ。
デジタル・コンストラクションの試みは、かつてのクラフト時代を彷彿とさせる豊か
で雄弁な建築の未来を切り開くことができるだろう。
今月27日のArchi Futureでは、次世代型クラフトマンとしてのロボットの姿について
も議論したいと思っている。