「デジカメ写真」とレタッチツール
2015.07.09
ArchiFuture's Eye 日建設計 山梨知彦
デジカメで、風景を採集するのが好きだ。しかしそれ以上に好きなのは、Photoshopや
Lightroomで採集してきた風景をいじること。僕の場合、デジカメ写真は撮影して完成するの
ではなく、デジタルの後処理までをもって完了となる。
写真の撮影とその後のレタッチや保管がデジタル化されたことで、写真撮影はマニアに閉じら
れた趣味ではなく、僕のようなお気楽日曜カメラマンを多く生んでいるに違いない。
レタッチや後処理は、写真によって切り取られた事実を脚色してフェイクを作り出しているか
のように思われていて、建築界では基本的に忌み嫌われている。でも僕のへたくそな腕前では、
デジカメで撮影したままの写真の方がよほど、撮影したときに目に入って来た風景と異なって
いることが多い。
ここに掲げた例(写真2.処理前)でいえば、実際に見て美しいと感動し風景は、南国の強い
逆光により光と影だけが浮き上がり色味は見えず、まして目の前にあるブルーの熱線吸収ガラ
スの存在など意識になかった。遠くの風景はデジカメ写真のように黒々と見えず、むしろ霞の
中に消えていくようようだった。デジカメが採集してくれた風景は、残念ながら僕が見ていた
モノとは全く違っていた
ところがLightroomでほんの少しいじってみただけで、写真は見違えるように心象風景に近づ
く(写真1.処理後)。その結果、Lightroomは手放せないツールとなる。
残念ながら、現在のBIMソフトウエアやデジタルデザインツールの使い心地はまだそこまでに
は至っていないが、やがて建築の設計の技術を大きくボトムアップしてくれるではないかと
期待している。