トヨタが2,000名が住む実証都市「コネクティッド・シティ」をBIGの設計で東富士に建設へ
2020.01.09
トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながる
実証都市「コネクティッド・シティ」プロジェクトの概要を発表した。
現在、同社は世界中にあるさまざまな研究所で、自動運転などのCASEと呼ばれる技術やサービ
スのほか、AI、ロボットなどの研究開発に取り組んでいる。
同プロジェクトは、これらの研究をシミュレーションの世界ではなく、実際に人々が生活を送
るリアルな環境のもとで自動運転、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)、パーソナルモ
ビリティ、ロボット、スマートホーム技術、AI技術などを導入・検証できる実証都市を新たに
作るもの。人々の暮らしを支えるあらゆるモノ、サービスが情報でつながっていく時代を見据
え、この都市で技術やサービスの開発と実証のサイクルを素早く回すことで、新たな価値やビ
ジネスモデルを創出し続けることが狙いだ。この実証都市は、2020年末に閉鎖予定のトヨタ
自動車東日本 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地を利用し、将来的に約70.8万㎡の範囲において
街づくりを進めるべく、2021年初頭に着工予定だ。
同社は、同プロジェクトの都市名を網の目のように道が織り込まれ合う街の姿から、「Woven
City(ウーブン・シティ)」と名付ける。都市設計は、Google本社やニューヨークの第2ワールド
トレードセンターなどを手掛けた、建築家でビャルケ・インゲルス・グループ(BIG) CEOの
ビャルケ・インゲルス氏が担当。
Woven Cityの主な構想の一つに街の道を3つに分類し、それらの道が網の目のように織り込ま
れた街を作ることがある。1つ目は、スピードが速いモビリティ用の道で完全自動運転かつゼ
ロエミッションのモビリティのみが走行する道、2つ目は、歩行者とスピードが遅いパーソナル
モビリティが共存するプロムナードのような道、3つ目は、歩行者専用の公園内歩道のような道
だ。道を分けることにより、より静かな住環境を作り上げるだけでなく、同社による自動運転
とスマートシティのインフラの実証を加速させるべく、人間、動物、車両、ロボットなどさま
ざまなユーザーが行き交う幅広い種類の交差点を生み出すことにつながるという。また、街の
建物は主にカーボンニュートラルな木材で作り、屋根には太陽光発電パネルを設置するなど、
環境との調和やサスティナビリティを前提とした街づくりとなっている。
同都市の初期は、トヨタの従業員やプロジェクトの関係者をはじめ、2,000名程度の住民が暮
らすことを想定しているという。また、街作りを進めていくうえで、それぞれ独自のプロジェ
クトの実証に活用することも含め、世界中のさまざまな企業や研究者などに対して、実証への
参画を募集中だ。
同社は、同プロジェクトにおいて、今後さまざまなパートナー企業や研究者と連携しながら、
街を作り上げていくとしている。