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コラム

デジタルデザインは、わかりやすい? 
~新国立競技場ザハ案を通して

2021.06.15

ArchiFuture's Eye                 日建設計 山梨知彦

先日東浩紀さんが主宰する「ゲンロンカフェ」にて「もしザハ・ハディドの新国立競技場
案が白紙撤回されず実現されていたら建築設計技術や建設技術に如何なる革新がもたらさ
れていただろうか?」という問いかけに対して、4時間にわたってお話をさせていただいた。
議論のアウトラインは、以下から視聴いただける。
五十嵐太郎×山梨知彦×東浩紀「いまこそ語ろう、ザハ・ハディド」ダイジェスト(クリック
するとYouTubeへリンクします)


私の立ち位置は、ザハ案の実現に向けて日本側で基本設計や実施設計を担当していた日建設
計・梓設計・日本設計・Arupの4社からなる設計JVで、当時の日本ではまだ珍しかったコン
ューを使った設計手法である「デジタルデザイン」を取りまとめる脇役を務めていた経
験から「もし・・・」についてお話をさせていただくものであもちろんその場で使っ
た画像資料や私が登壇させていただくことについては、事前に設計JV4社ならびにJSCの了解
をいただいたものではあったが、ウェッブを通じたライブ配信ということもあり、細かなもの
の言い回しなどについては当然私自身の判断が加味されるであろうし、それなりの責を覚悟し
ての参加であった。
善し悪しの判断を度棚上げにすればゲンロンでの4時間の話し合いは東さんの的確な誘導
建築評論家の五十嵐太郎さんの適切な解説が加わり、建築関係者のみならずゲンロンカフェに
なじみのある方々の多くが耳を傾けていただいたようだ。
私が意匠設計者ではなく、デジタルデザイン関係者として新国立競技場プロジェクトに関わっ
ていたこともあり、「もし・・・」の話は、ザハ案実現に向けて試みられていたデジタルデザ
インのアプローチという、専門性の高い、建築デザインの分野でも興味を持つ人は限られると
思われる内容であったが、意外や意外、建築デザインの領域以外からも多くの人々が興味を持
たれたようだその具体的な内容はゲンロンカフでの4時間の議論の間に寄せられたチャッ
トでのコメント、Twitterへの関連投稿を見ていただければよくわかると思う。
#ゲンロン210514のTwitter

たしか休憩時間でのコメントであったので、配信はされていないとは思うが、東さんが「建築
デザインの領域で語られるデザイン論に比べ、デジタルデザインの話は分かりやすく、共感を
持ちやすく、それでいて社会と建築との接点も見えやすい」という話をされていた。建築デザ
インの内側にいる者としては目からうろこの指摘であったが、デジタルデザインという視点を
通して建築を語ることは専門家以外の般の方に建築デザインを語るうえで「わかり易さ」
持つ可能性があるというのだ。興味をもたれた方は、是非下記より全編を通して視聴(有料に
なりますが)いただければと思う。
五十嵐太郎×山梨知彦×東浩紀 「いまこそ語ろう、ザハ・ハディド」

 コロッセウムの昔から競技場とは、時代や政治に翻弄され、本来の機能以上に別の意味を担う
 運命を背負った建築なのかもしれない。

 コロッセウムの昔から競技場とは、時代や政治に翻弄され、本来の機能以上に別の意味を担う
 運命を背負った建築なのかもしれない。


 

山梨 知彦 氏

日建設計 チーフデザインオフィサー 常務執行役員