設備でBIMを活用するためのちょっとした工夫
2022.12.13
パラメトリック・ボイス 日本設計 吉原和正
Revit User Group(RUG)で、数年前まで定期的に開催していた「RUG NIGHT」というイベン
トが、コロナ禍で対面での開催が困難だったため、暫く休止状態にあったのですが、意匠WG
サブリーダーの久米設計古川様のご尽力もあり、今年の7月から「RUG NIGHT＋」として再開
する運びとなりました。再開後の１回目は、「意匠設計者によるトラブル？ナレッジ・シェア
リング」をテーマにして、Revitを普段からバリバリ使っている意匠設計者３名にご講演頂き、
後半では、事前に募集した質問を基にしたトークセッションを行いました。
BIMに関するイベントは、コロナ禍のここ数年オンラインでの開催がほとんどだったので、
久々の対面での開催はとても新鮮で、RUGというユーザー会の意義を再確認できる場でもあり
ました。
そして、先月の11月には、再開後２回目となる「RUG NIGHT+」をMEP系をテーマに開催し
ました。ここ数年でRUGでは、特にMEP系の企業やユーザー、メーカーの参加者が急増してい
まして、意匠や構造よりも多い、88社・240名の方々に参加頂いておりまして、
「RUG NIGHT+」開催当日も対面で55名、オンラインで99名の計154名の方々に参加頂きま
した。
テーマは、BIM初級者も多く参加しているMEP系の実情を鑑み、そして、設備として再開後は
じめてでもあったので、最初は「設備でRevitを活用するためのちょっとした工夫 ～設備技
術者のためのRevitの一歩目の踏み出し方～」という、ハードルをできるだけ低くした内容で
開催することにしました。
BIMのイベントとなると、キラキラした各社のBIM取り組み事例の宣伝合戦になりがちですが、
RUGはユーザー会なので、ユーザーが知りたい、もう少し現実的で着実な内容になったと思っ
ています。
このテーマで、登壇いただく方を募集したところ、予想外に多くの方に立候補して頂き、
1時間半という時間の制約があったため、厳選のうえ、設計事務所の３社、ゼネコン1社、機械
サブコン1社、電気サブコン2社の方々にお話しして頂きました。各社とも内容が充実していて、
更に詳しくお聞きしたいところでしたが、この凝縮された時間の中で、各社の具体的な取り組
み内容を知ることができ、参加者の方々にも大いに参考になったのではないかと思います。
その中から、弊社が紹介した「基本設計でのBIM活用方法」について簡単に触れておこうと思
います。
BIMを設備で活用する場合、建築図が確定する実施設計段階から着手しがちですが、ここから
着手してもなかなか合理化や効率化を図ることが難しいため、基本設計から布石を打っておき
たいのですが、かといって最初からモデルを入れ過ぎるとその後の建築プラン変更に伴う修正
で、作業が増えてしまうというジレンマがあったりします。なので、建築プランが揺れ動いて
いる基本計画や基本設計から、いきなりダクトや配管などの細かなオブジェクトをモデリング
するのではなく、設備の機械室やシャフトの陣地取りをするためのオブジェクト(設備登
録_DS,設備登録_PSなど)を配置して、建築とのプラン調整を進めることが得策だと思ってい
ます。そして、建築プランが収束した後に、設備の陣地が確保されていることを確認した上で、
ダクトや配管、ラックなどの詳細なオブジェクトに切り替えていく。これがフロントヘビーに
ならずに、設計初期から設備もBIMを活用できるポイントなのではないかと思っているところ
です。
この、設備の機械室やシャフトの陣地取りをするためのオブジェクト(設備登録_DS,設備登
録_PSなど)は、実はさりげなく、RUGで公開しているRevitの「設備テンプレート」に盛り込
まれています(特殊設備カテゴリーのファミリ)。
これだけではなく、RUGで公開しているRevitの「設備テンプレート」には、機器表が作成でき
たり、積算を行うための数量を取得するためのパラメータが用意されていたり、FMに受け渡す
ための集計表が組み込まれていたりと、国内の実情にあわせて、設備でBIMを活用するための
いくつかの布石が打たれているのですが、啓蒙活動ができていないのが悪いのか、余り気づい
てもらえていないようです。
RUG NIGHT+のようなBIMのイベント等を通じて、引き続き発信していこうとは思いますが、
ちょっとした工夫が散りばめられた、膨大な内容が含まれていますので、時間を掛けて徐々に
浸透させていくしかないかなと途方に暮れている今日この頃です。
Revitデフォルトの設備テンプレート
RUGの設備テンプレート①
RUGの設備テンプレート②
RUGの設備テンプレート③
