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コラム

BIMについて一問一答:ChatGPT編

2023.04.06

パラメトリック・ボイス               前田建設工業 綱川隆司

「次回コラムの締め切りは年度末です」とプロプランさんから伝えられた刹那、現在進行中の
プロジェクトの締め切りや押し寄せる年度末イベントが頭を過りました。そんな時ドラえもん
に「自動作文」の機械をねだることは出来ないのですが、当社の情報システムが「ChatGPTが
使えるようになりました(※)」と掲示板に書いていたのを思い出し、ちょうど1年前に書い
た「BIMについて一問一答」を今度は私が質問側になって話題のAIに尋ねてみようと企みま
した。以下はそのチャットで、改行程度を弄った程度でほぼ原文のままです。
 
綱川:まずBIMとはなんでしょう?
 
ChatGPT Mar 14 Version(以下C.GPT):BIM(Building Information Modeling)とは、
建物情報モデリングの略称で、建物の設計・施工・運用・保守において、3次元の立体情報を
中心に、空間・時間・コスト・品質・環境・安全・法的規制などの情報を統合的に管理する手
法・プロセス・技術のことを指します。
具体的には、建物の設計図面や施工図面などの2次元の情報に加え、3次元の情報や設備機器
の情報、建物の運用に必要な情報などを含めた、複合的な情報を一元的に管理することができ
ます。
(中略)BIMは、建築設計だけでなく、土木工事、プラント設備など、様々な分野で使用され
ており、建物のライフサイクル全体を通じて有用な情報を提供することができます。
 
綱川:建築設計においてBIMに取組むメリットはあるのでしょうか?BIMは設計完了後に対応
   した方が手戻りなく良いという人はいますが。
 
C.GPTはい、建築設計においてBIMに取り組むメリットは多数あります。
    まず第一に、BIMは設計プロセスを効率化するための強力なツールです。BIMを使用
    することで、設計者は建築物の全体像を把握することができ、設計の品質を向上させ
    ることができます。また、BIMを使用することで、設計者は建築物の構造や仕様など
    の詳細な情報を簡単に共有することができ、誤解やミスを回避することができます。
    さらに、BIMを使用することで、設計者は建築物の構造や仕様の変更を迅速に反映さ
    せることができます。これにより、手戻りやコストの増大を回避することができます。
    BIMは設計完了後に対応するだけでなく、設計プロセスの中で使用することが重要で
    す。BIMは、建築物の建設プロセス全体を通じて使用することができ、施工段階や保
    守・管理段階でも活用することができます。これにより、建築物のライフサイクル全
    体を効果的に管理し、最適なパフォーマンスを実現することができます。
    総じて言えることは、BIMは建築設計において非常に有用であり、設計者、施工業者、
    オーナーなど、建築プロセスに関与するすべての人々にとって多大なメリットがある
    ということです。
 
綱川:BIMの効果が発揮し易い建物の用途や付加価値を生む利用方法は存在するでしょうか?
   定型化された住宅のプランはBIMを適用し易いと思いますが、複雑な形状の非定型の建
   築に適用した方が効果は高いと思われます。
 
C.GPTBIMの効果や付加価値は、建物の用途や形態によって異なりますが、一般的に以下の
    ような特徴があります。
 
● 定型化された建物
 定型化された住宅やオフィスビルなど、形状がシンプルで標準的な建物にはBIMを適用する
 ことが容易であり、効果を発揮しやすいと言えます。このような建物では、事前に設計パ
 ターンを決めることで、BIMの活用がより効果的になります。また、建物の品質管理や施工
 効率の向上にもつながります。
 
● 非定型の建物
 複雑な形状や構造を持つ建物にBIMを適用することで、設計や施工の精度を高めることがで
 きます。これにより、工程管理や品質管理の効果が期待できます。また、非定型の建物では、
 BIMを活用することで、施工やメンテナンスの難易度を低減することができます。
 
● 設計及び施工段階での利用方法
 BIMを活用するためには、設計及び施工段階での投資が必要です。設計段階では、3Dモデル
 を作成することで、建物の構造や設備配置をシミュレーションすることができます。施工段
 階では、BIMを活用することで、施工現場の管理や品質管理の効果が期待できます。これに
 より、施工期間の短縮や施工ミスの減少が見込まれます。一方で、BIMを導入することで、
 通常よりも工数が増加することがあります。
 
● 建物供用段階や維持管理面での利用方法
 BIMを建物供用段階や維持管理面で活用することで、付加価値を生み出すことができます。
 建物の履歴管理やメンテナンス計画の立案、施工図面の作成などにBIMを活用することがで
 きます。これにより、運用コストの削減や、メンテナンス作業の効率化が期待できます。
 
綱川:設計及び施工段階での利用方法では、BIMに取組む場合は通常よりも工数が増加する傾
   向があります。一方で建物供用段階や維持管理面でのBIM利用は付加価値が大きいと思
   われます。建物の用途と形態及びBIMの適用段階や範囲には、得られる効果や付加価値
   に関連性が無いでしょうか?
 
C.GPTBIMの効果や付加価値は、建物の用途や形態、BIMの適用段階や範囲に関連性がある
    と言えます。
    まず、定型化された住宅のプランにBIMを適用することで、設計や施工の効率化や精
    度向上が期待できます。しかし、複雑な形状の非定型の建築にBIMを適用することで、
    より高度な設計や施工が可能になり、建物の美しさや機能性を高めることができます。
    また、BIMの利用には工数が増加する傾向がありますが、その分設計や施工の精度が
    向上するため、後の工程での手戻りを減らすことができます。さらに、建物の供用段
    階や維持管理面でBIMを利用することで、建物の状態やメンテナンスの必要性を把握
    しやすくなり、効率的な維持管理が可能になります。また、建物を売却する際にも、
    BIMによって建物の情報や歴史を確認することができ、付加価値が生まれます。
    建物の用途や形態によっては、BIMの適用範囲が異なる場合があります。例えば、大
    規模な商業施設や公共施設では、BIMを用いたシミュレーションやビジュアライゼー
    ションが重要となります。一方で、住宅の場合は、BIMを用いた設備や内装の確認や、
    住宅の省エネ性能の評価が重要となります。
 
綱川:少し目線を変えてみましょう。BIMのマネタイズについてです。BIMによる従来の作業
   の省力化や省人化については、相当スキルやノウハウが蓄積しなければメリットが享受
   できないと思います。一方でBIMがあることでこれまでなかった利益が得られ、付加価
   値がその労力を上回ると分かれば普及も進むと思います。BIMに関する新しいビジネス
   が生まれDXが実現する可能性はありませんか?
 
C.GPTBIMを活用した新しいビジネスの可能性は非常に高いと考えられます。BIMによって、
    従来は手作業で行っていた作業を省力化することができ、また設計や施工の品質も向
    上することが期待できます。これによって、コスト削減や生産性向上の効果が期待で
    きます。
    さらに、BIMを活用した新しいビジネスとして、建物の維持管理に関するサービスや、
    BIMを用いた建物の運用データの管理・分析サービスなどが考えられます。また、
    BIMを用いた建物のVRツアーの提供や、建物内における位置情報を活用したサービス
    の提供なども可能性があります。
    また、BIMを活用したデジタルツインの概念が注目されています。デジタルツインと
    は、実際の建物と同じ形状・構造・機能を持つ仮想的な建物を作成することで、建物
    の設計・施工・運用における問題を事前に予測し、解決することができるというもの
    です。BIMを活用してデジタルツインを作成することで、設計や施工の品質向上、工
    期の短縮、コスト削減などの効果が期待できます。
    つまり、BIMを活用した新しいビジネスは、建設業界だけでなく、建物の維持管理や、
    建物を利用する人々のニーズに応じたサービスなど、様々な分野で可能性があると考
    えられます。
 
綱川:建設バリューチェーンは複雑であり、BIMの効果を享受するには一社単独の活用では限
   界があると思います。BIMを推進するにあたり、業界の足並みが揃うのを待った方が良
   いでしょうか?
 
C.GPT確かに、建設バリューチェーンは複雑であり、BIMの効果を最大限に享受するために
    は、一社単独の取り組みでは限界があると言えます。多くの企業や業界関係者が協力
    して取り組むことが必要です。
    ただし、業界の足並みが揃うまで待つのは遅すぎるかもしれません。BIMは、建設業
    界において革新的な技術となり、競争力を高めるためにも、早期に取り組むことが重
    要です。
    そのためには、まずは自社でのBIM導入を進め、周囲に影響を与えることが必要です。
    自社でBIMを活用し、その効果を明確に示すことで、業界全体に広がる流れを作るこ
    とができます。
    また、BIMを推進するためには、業界内での情報共有が必要です。業界団体や標準化
    団体、自治体などが中心となって、BIMに関する情報やノウハウを共有し、普及を促
    すことが必要です。
    業界全体での取り組みが進むことで、より効果的なBIMの活用が可能になります。し
    かし、それが実現するまでには時間がかかるかもしれません。自社でも取り組むこと
    で、業界の流れを早め、より早い段階でBIMを活用することが重要です。
 
チャットはここまでです。フムン、1年前に誰に放ったでもない私の最後の質問にAIが答え
てくれるとは感慨深いです。それが誰かの言葉の受売りでしかないとしても人類の集団的知性
の形だとしたら可能性を感じます。AIには素直に育って欲しいですね・・・。

 ※一部の企業では情報安全性の観点からこの手の生成系AIの使用を禁止しているようです。確か
  に業務上秘匿すべき情報も吸い込まれたらどこに吐き出されるか分かりませんので怖い面もあ
  りますが、かなりの長文を一文字ずつタイプするかの如く返してくる様はチャーミングです。
  プログラミングもしてくれるようなので今度試してみます。

 ※一部の企業では情報安全性の観点からこの手の生成系AIの使用を禁止しているようです。確か
  に業務上秘匿すべき情報も吸い込まれたらどこに吐き出されるか分かりませんので怖い面もあ
  りますが、かなりの長文を一文字ずつタイプするかの如く返してくる様はチャーミングです。
  プログラミングもしてくれるようなので今度試してみます。

綱川 隆司 氏

前田建設工業 建築事業本部 設計戦略部長