デジタル・コンストラクション
2016.02.09
パラメトリック・ボイス アンズスタジオ 竹中司/岡部文
岡部 自由自在に腕を振りながら、絶えず働き続けるロボット。
いったい、どうのようにして動いているのだろうか。
竹中 産業用ロボットを動作させるために、ロボットティーチング(教示)という作業が行
われている。人間がロボットをリモコンで操り、動作をひとつひとつ記録していく。
岡部 見た目によらず、アナログ。複雑な動きを考えると気が遠くなる作業だね。
竹中 現在、ロボット生産工程のほとんどが、ティーチングマンによってつくられた動作と、
この再生によって稼働している。職人の技でロボットが動いていると言っても過言で
はないよ。
岡部 つまり、ロボットと言えど、人の手作業が多くを占めているんだね。
竹中 こうした「記録と再生」という手法は、マスプロダクションの時代には適応していた
と言える。
岡部 けれど、多品種少量生産が求められるこれからの現場では、より知能化された技術が
必要になってくるはずだ。
竹中 こうした流れは、3D-CADやBIMをはじめとするコンピュータの進歩によって、より
顕著になって来ている。建築情報が複雑化する一方で、実際の施工現場では、これを
解決するために、未だ、多くの手仕事に頼っているのが現状だ。
岡部 では、情報化された建築データを活用して、設計から施工までをシームレスに繋ぐた
めには、どのような考え方が必要なのだろうか。
竹中 BIMデータをフルに活用して、デジタルのまま建築施工を実現する、新しい施工方法
が求められてくるだろう。これを、デジタル・コンストラクション*1と呼んでいる。
近い将来、必ずやってくる建築生産施工の変革である。
岡部 デジタル・コンストラクションで活躍するロボットは、形状やマテリアルなどの情報
とダイレクトに対話しながら、繰り返し学習し、自ら技を磨く能力をもつ。
竹中 最終的にはリアルタイムな周囲環境との対話を可能にし、現場施工を実現する。
その姿は、まるで自己組織的に生成され成長してゆく植物のように、多種多様な豊か
さをもたらしてくれるはずだ。
*1 シンポジウム「デジタル・コンストラクション‐BIM施工革新の展望‐」を開催予定