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コラム

オブジェクト標準整備もそろそろ実装フェーズへ

2023.09.28

パラメトリック・ボイス                  日本設計 吉原和正

設備のBIMオブジェクト標準も、長年の積み重ねを経てようやく取りまとめの段階を迎え、
実務で利活用するフェーズに移行してきています。

BIMオブジェクト標準については、2015年に設立したBIMライブラリーコンソーシアムよ
り、2018年に「BIMオブジェクト標準Ver1.0」が公開されていますが、その後2019年に設
立したBIMライブラリ技術研究組合が継承し、建築BIM推進会議の部会2として活動を継続
し、オブジェクト標準の整備を主導しています。

その動きの中で、このたび、今までの取り組みをまとめる形で、BIMライブラリ技術研究組
合から「BIMオブジェクト標準 ver2.0」が公開されることになりました。今後、業界など
からの意見を元に、改善が図られる部分もありますが、設備については、実務でBIMを活用
する上での最低限の標準形はある程度まとまってきていると思っています。

もちろん、これですべてが完成した訳ではなく、今後も業界からのフィードバックがなされ
て、追加や修正されることはあると思います。また、オブジェクト標準の中には、設備メー
カーのカタログライブラリという色合いが残っていて、実務では使いそうもない細か過ぎる
パラメータが含まれていたりするのも否めない状況ですが、今回公開されたオブジェクト標
準は、決してすべてのパラメータ値を埋めることを目的としている訳ではないことをご理解
頂きたいと思います。
それよりも、この中から、実務で必要な項目を厳選して利活用を図っていくことの方が重要
で、これからはその必須項目を厳選して社会実装していくことになると思っています。

このオブジェクト標準を実務で活用していくためには、BIMオーサリングソフトで具体化し
ていく必要がある訳ですが、Revit User Groupでは、数年前からBLCJオブジェクト標準に
準拠する形で、Revitの設備用ジェネリックファミリを整備して公開してきました。そして、
今月9月末には、今回のBLCJオブジェクト標準2.0の改訂に合わせて、設備設計用ジェネ
リックファミリを公開することとしました。その後、順次、施工用や電気用についても更新
して公開していく予定になっています。

オブジェクト(ファミリ)については、汎用的なジェネリックオブジェクトについても、メー
カー特有のメーカーオブジェクトについても、数年前のようにオブジェクトが無くてBIM活
用ができないという状況からは脱却して、少なくとも主要機種についてはある程度充実して
きていると思います。

ただ、逆にオブジェクトが充実してくると、各社のメーカーサイトにオブジェクトが点在し
ている状況もあって、その中から必要なものを探し出すのが難儀だったりするわけですが、
今回は、ジェネリックファミリの提供をBIM designというサイトからの公開だけではなく、
ユーザー向けに無償で提供される「ファミリエクスプローラー」というアドインソフトから
も直接扱えるようになっています。
これにより、今までのようなオブジェクトの捜索から解放され、例えば、オブジェクト標準
で定められたパラメータ値をもとに検索・抽出して、対象のオブジェクトを選択しやすく
なったり、直接プロジェクトファイルに配置できたりと、実務でBIMオブジェクトを扱いや
すい環境が整ってきています。

9月29日には、今回の取り組みを紹介するセミナーが予定されています。興味がある方は是
非ご参加下さい。
特に、今までBIMはまだまだと様子見をしていた方々、特にメーカーの皆様。このタイミン
グで、そろそろBIMへの取り組みを始めてみては如何でしょうか。


 

吉原 和正 氏

日本設計 情報システムデザイン部 生産系マネジメントグループ長 兼 設計技術部 BIM支援グループ長