動機付けについて考える
2023.12.26
パラメトリック・ボイス GEL 石津優子
最近は様々な方との出会いの中で、何かを一緒にやりましょうと誘われることが増えました。
その際に、なぜ取り組むのかという動機付けの話がまずされることが多いです。学生の方と話
すときは、就活に役立つとか、将来仕事で強みになるとか、社会人の方と話すときは、現業に
どう役に立つのか、ビジネス的にどのような可能性があるのか等を話します。どうしても短期
的な成果を引き合いに出して会話をしないといけないような雰囲気があり、個人的に興味があ
るからという理由では弱いというか理由がないように捉えられることが多い気がします。私た
ちの日々の行動は、さまざまな動機付けによって影響を受けています。仕事や学習、社会活動
など、私たちが行うあらゆる活動には、他人に分かる形で上手く表現できていないとしても、
何らかの動機が存在します。今回は、外発的動機付けと内発的動機付けという二つの異なる動
機付けをまとめ、それらが私たちの行動にどのように影響を与えるのかを考察します。
人が何かをしたいと思うときには必ず動機があります。その動機の割合はその時々に応じて変
わるとしても、2種類の動機があると考えます。
外発的動機付けとは、個人の外部に存在する刺激や報酬に基づく動機付けです。簡単にいうと、
他人から褒められたり認められたり、または叱られないように罰せられないようにすることが
動機付けの理由になるということです。
金銭的報酬、昇進、賞、罰金や懲罰など、行動の結果として得られる具体的な報酬や罰、同僚、
上司、友人、家族など他人からの賞賛、承認、批判といった社会的な承認、 他人との比較、競
争による優越感や勝利といった競争が挙げられます。
内発的動機付けとは、個人の内部からくる動機付けで、自身の興味や価値観、情熱に基づきま
す。簡単にいうと、単に好きだからが理由になるということです。
興味と好奇心といった個人が自然に関心を持つ分野や活動への興味や自己実現といった自分自
身の能力を最大限に発揮し、成長や達成感を追求する欲求、そして個人的な価値観に基づいた
個人の信念、倫理観、価値観に基づいた行動が動機付けになるということです。
これをまとめてみるとわかりやすいですが、外発的動機付けは、特に投資家や組織の上層部へ
のアプローチにおいて重要です。これは、外部の支援を得るためには、プロジェクトや活動が
外部にどのような影響を与えるかを明確に示す必要があるからです。
一方で、自主的な活動では、内発的動機付けだけでも十分効果的です。たとえば、私が再開し
た公開勉強会は、外発的な動機付けと内発的な動機付けの両方を満たしています。
外発的動機付けは、明確な目標や報酬が与えられることで、短期的な動機付けや特定のタスク
への集中を促進します。しかし、これらの動機付けは持続性に欠けることがあり、外部の刺激
がなくなると、動機が低下することがあります。
内発的動機付けは、長期的な視点で持続可能な動機付けを提供します。内部からの動機は、外
部環境の変化に左右されにくく、自己成長や深い学習の強力な原動力となります。
個人によっては、外発的動機付けによって動くことが得意な人もいれば、内発的動機付けに
よって動くのが得意な人もいます。ただし、内発的動機付けは誰もが見つけることができるも
のです。外発的動機付けは明確な目標や報酬を提供しますが、内発的動機付けは0から1を生み
出し、困難な環境でも続ける力になります。
全ての人が常に内発的動機付けを維持するのは困難であり、特に会社や学校教育のような構造
化された環境では、外的要因による動機付けが必要になる場合があります。ただし、外発的な
動機付けに多くの重きを置きすぎた結果が、内発的な動機付けがある人たちの活動を狭め、本
来長期的に外部刺激が少なくても取り組むことができる人たちを追いやることに繋がっている
ように感じます。
外発的動機付けと内発的動機付けは、効果的な行動のためには相互に補完し合う必要がありま
す。両者の適切な組み合わせによって、より充実した活動と成果がもたらされる可能性があり
ます。個人の動機付けは善悪ではなく、多様であるべきです。私たちが外的要因と内的要因を
理解し、それぞれの価値を認めることで、より多様な取り組みが生まれ、実際の目標達成につ
ながると信じています。
実感としては、内的要因を話すと、個人の色が強くなるために、個人主義を嫌う日本では自己
中心的だと言われがちですが、動機付けはどちらも自己の欲求で、善悪ではないのだという認
識が広がると、もう少し色々な取り組みが自由に生まれるのではないかと考えていたりします。
みなさんは、どのような動機付けで活動していますか?