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コラム

捨てる勇気

2024.03.26

パラメトリック・ボイス       SUDARE TECHNOLOGIES 丹野貴一郎

東京都の取組でスタトアプとの協働で都政課題の解決を目指すイベント「UPGRADE with TOKYO」というものがあります。これまで36回開催されており、様々なテーマで開催されて
おり東京都とスタートアップの協働事業が成立しています。
参加のメリットとして、競争入札によらない契約が可能になる等がありますので、スタート
アップの方はマッチするテーマが出た際に参加するのも良いかもしれません。
 
このイベントの第36回が2024年2月2日に開催されたのですが、たまたまイベントを紹介され
当社も参加することになりました。
基本的にはスタートアップが持つ製品やソリューションがテーマにマッチしている場合に参加
するので、当社のように相談をうけてから考える会社が参加することは考えにくいのですが、
今回のテーマが「建築物の安全性を確保する審査業務の効率化・省力化」で、具体的には東京
消防庁における建築確認手続きでの消防同意事務作業の効率化であったため、当社が清水建設
と行っているBIM法適合判定の知見をもって解決できるかなと思い参加を決めました。
とは言え、当社だけではできる事が限られているため、株式会社白矩、清水建設にお願いをし
てチームでの参加となっています。
 
清水建設は言わずもがな建築確認申請側としての豊富な知見をもっているので、アドバイザー
として協力をしてもらい、株式会社白矩は「Archi-Law」という建築基準法の検索システムを
公開しており、この法令検索のシステム構築の経験に頼ろうと思い、開発協力として入っても
らいました。
ちなみに白矩の代表である押山さんは飼っている猫が不自由なく暮らせれば良いという愛猫仲
間だったりします。
 
イベントはチームを組んだことが功を奏し優勝することができ、これから東京都との協業が始
まります。
 
この経緯はいずれ本コラムで書くとして、システム開発では大小問わずこのようにチームを組
んで対応することが少なくないと思います。当社でも様々な方々に協力をお願いすることが多
いのですが、初めから要件が整理されていることはほとんどなく、やりながら考えていくこと
が必要になります。
これは意外と大変なことで、チームで議論しながらやる方向を定めていくため、方針変更や立
ち戻りも出ることは当然で、ある程度進んだところからスタートに立ち戻ることすらあり得ま
す。
多くの人にとって想定していた方向が変わる事ややり直しは精神的な負担が大きく、モチベー
ションの低下にもつながります。
ここで全員が落ちてしまうとプロジェクトそのものの品質に関わるので、私は常々こんなこと
もあるよな、と思って過ごしています。単純に私が鈍感なだけかもしれませんが、方針転換や
立ち返りは品質向上のために必要なことなので、せっかくここまでやったのだからと固執せず
に変えていくことは、より良いゴールを目指すうえで重要なことだと思います。
サラリーマン時代の上司が定年退職する際に「これまでやってきた仕事は自分の実績を捨てる
ことの繰り返しだった」という言葉をいただいたことがあります。
最初に決めた方針に沿って進めるほうがやりやすいし、苦労して作った実績を捨てることは簡
単ではないかもしれませんが、目指すべきはより良い結果です。イノベーションを掲げる方々
には捨てる勇気をもって欲しいと思います。

丹野 貴一郎 氏

SUDARE TECHNOLOGIES    代表取締役社長