街のエネルギーを作り上げるもの
2024.08.06
パラメトリック・ボイス SUDARE TECHNOLOGIES 丹野貴一郎
先日久しぶりにベトナムのホーチミンに行く機会がありました。
コロナの影響もありSUDAREを立ち上げてから一度も海外に行っていなかったので、およそ
5年ぶりくらいです。
2年ほど前からベトナムのBIM会社と提携して当社の仕事を手伝っていただいているのですが、
なかなか行けず、やっと会えたというホーチミン出張でした(半分以上は私の腰の重さのせい
です…)。
東京からホーチミンまでは直行便で6時間程度で、羽田、成田いずれからも飛んでいます。今
は雨季になるため、時間によって一気に雨が降ったりしますが、通常は数時間程度で止むこと
が多いです。私がいる間になかなか止まない雨が降った日があったのですが、これも世界的な
気候変動のひとつかもしれません。
基本的には一日を通して暑いので、私のような汗かきはずっとシャツがびちゃびちゃになりま
す。ただし、最近ホーチミンから帰国したスタッフの話では今は東京の方が暑いそうです。
ベトナムでの移動は基本的には車かバイクになります。
それなりに渋滞もありますが、Grabという東南アジアで広く普及しているライドシェアがある
ため、ベトナム語が話せなくても移動に困ることはなくなりました。
個人的な意見ですが、日本でライドシェアが中途半端にしか導入されないことは、BIMのよう
な技術が中途半端な使われ方をすることにもつながっている根本的な問題があると思います。
ちなみにニュースにもなっていますが、ホーチミンでは当初2018年開通予定の地下鉄がなかな
か開業せず訴訟問題にも発展している状況で、中国が支援したハノイ地下鉄も大幅に開業が延
期したことを考えると、ベトナムという国が今後発展を続けていく中で解決しなければいけな
い課題があるようです。
今回久しぶりにホーチミンに行って改めて感じたことが、街のエネルギーの差です。
日本と比べた時にでたらめな事も少なくないですが、空港に降りた時から街そのものが持つエ
ネルギーが(根拠のない)期待感を感じさせてきます。
これは単純に海外に来た時の高揚感とは異なり、仕事がらみの打合せ等をしている中で決して
ポジティブな話だけではない中でも感じるものでした。
例えば、私の前回のコラムや杉田宗さんの前回のコラムに書かれたような学生から生まれるエ
ネルギーのように個人や特定の団体から感じることは日本でもありますが、大規模再開発が続
く東京や万博を控える大阪のような変わりつつある街にすらエネルギーを感じなくなってしま
いました。
これも個人的な感覚で申し訳ないのですが、ここ数年でプロジェクトに情熱を持って良いもの
を作ろうという雰囲気が減ってきた気がします。理想論ですが作っている人たちの情熱は建物
に伝わり、やがて使う人たち、その周りの街に伝わっていくものだと信じています。
私は現在のような建築テック系の仕事にたどり着く過程で、CADで作図をしたとき、3Dモデル
を作ったとき、BIMソフトを触ったとき、プログラムが動いたとき、VRを見たとき、クラウド
に接続したとき等々、様々な場面でわくわくを原動力にどうすればよいかもわからない課題に
取り組んで来ました。そして毎回自分が関わった建物を見てうれしくなります。
きっかけはしょうがなく始める事も多いと思いますが、一人一人のわくわく=情熱の積み重ね
が街のエネルギーを作り上げていくのではないでしょうか。