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BIM設計プロセスは次のステージへ
2026.02.27
パラメトリック・ボイス 安井建築設計事務所 村松弘治
省エネ基準適合とBIM審査がもたらすもの
2025年度からの省エネ基準適合義務化、そしてこの春から本格導入されるBIM図面審査。
2029年春にはBIMデータ審査も加わる予定だ。
これは単なる「データ審査」の導入ではない。データを基盤とした審査制度は、建築生産プロ
セスそのものを変える可能性を秘めている。
多くの設計者は、時間差こそあれ、デジタル設計を前提とする業務環境へと移行していく。そ
こでは単なる効率化にとどまらず、設計の質そのものを高める数多くのメリットにも気付くこ
とになる。
意匠・構造・設備のBIM連携はこれまで以上に深化し、建築計画の組み立てはより明快になる。
その結果、後戻りの少ない合理的なプロセスの実現が期待される。さらに、エネルギー削減や
環境負荷低減といった社会的要請にも、設計初期段階から同時に応えることが可能になる。こ
れは、従来の分断された設計フローから、設計と省エネ確認を一体で進めるプロセスへの転換
を意味する。
重要なのは、この仕組みが広く活用されることである。
なぜ今、「BIM-省エネ計算プログラム」が必要なのか ― 開発の背景
省エネ基準適合義務化とBIM図面審査の導入により、設計と申請プロセスは大きく変わる。
今後は次の二つの両立が前提となる。
● 標準化されたBIMモデル
● 正確な省エネ計算
しかし従来は、省エネ計算専用のBIMモデルを別途作成する必要があり、設計者にとって大き
な負担となっていた。
こうした流れを見据え、筆者が属する組織の設計領域DDW(デジタル×デザイン ワークス)
では、「BIM-省エネ計算プログラム」を開発した。本稿ではその概要を紹介する。
本プログラムの特長
本プログラムは、通常の設計プロセスで作成したBIMモデルから、省エネ計算(標準入力法)
に必要な情報を高精度で自動抽出する独自システムである。
検証では以下の成果を確認している。
● 外皮情報取得率:約95%
● BPI誤差:0.1以内
最大のポイントは、新たな計算専用モデルを作成する必要がない点にある。
単一のBIMモデルで「設計・省エネ性能確認・申請」をシームレスに進めることが可能となる。
効率化とともに、設計プロセスを変革する可能性を示している。
実務を支える革新的な自動化機能
本プログラムには、設計者の負担を大きく軽減する自動化機能を実装している。
● 部屋単位で外壁を自動分割(省エネ計算最適化)
● 配置情報から方位を自動取得
● 外皮情報を3次元ビューで可視化
● WEBPRO入力シートへの自動書き込み
これにより、設計者は煩雑な入力作業から解放され、設計の質を高める検討に注力できる。
未来を見据えた展望
本取り組みは、省エネ対応にとどまらない。
BIMモデルを基盤とすることで、維持管理への展開、デジタルツインによる運用高度化、長期
的な環境性能の可視化といった次世代の建築価値創出へつなげることができる。
事業初期から環境性能の将来像を見据えられる仕組みは、クライアントの事業価値向上だけで
なく、地域全体の環境づくりにも貢献していく。
BIM審査の本格化は、制度対応を超えた「設計プロセスの再定義」を意味する。
そして本開発は、その変化を実務の現場から前進させる一歩である。




























