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効率化だけではない「DX」
2026.03.05
パラメトリック・ボイス SUDARE TECHNOLOGIES 丹野貴一郎
日本語には雨の呼び名が400以上あるそうです。
季節的なものでは、春雨、五月雨、梅雨、夕立、秋雨、時雨、氷雨など。
降り方に関するものでは、豪雨、小雨、霧雨、天気雨、通り雨など。
そのほか、天気雨を表す狐の嫁入りや青葉に降り注ぐ雨を表す翠雨など、実に様々な状況や情
景を表しています。
これは稲作にとって雨が作物の出来を左右するため、いつ、どのくらいの強さの雨が、どのく
らいの期間降るのかを把握することが重要だったという理由もあったようですが、四季折々に
異なる雨の表情を敏感に感じ取ることができ、歌や文学では情景や感情を表現する対象として
用いるような感性が文化として育ってきたことも大きいのではないでしょうか。
果たしてこれほど敏感に雨を感じていますか?
私自身の感受性が衰えてきているのか、近頃建った建築で見に行きたいと思えるものが減った
ように感じています(加齢により以前にもまして行動範囲が狭くなっているのは原因のひとつ
ですが)。
仕事の専門性としてはディテールや納まりを見てしまうのですが、そもそもディテールが破綻
しているもの、そつなくできてはいるけれども標準納まりのため美しくないものなどが増えて
いる気がします。ましてや、それらを超えるほど感動的なデザインや空間を実現できている建
築はより少なく感じます。
私の経験上では、ディテールにチャレンジできていない建築は、全体のデザインや空間構成に
もチャレンジできていない事がほとんどです。
もちろん、現実的には工期やコストの問題で妥協しなければいけない部分があることは、自分
自身の仕事でも直面しているので、十分に理解しているつもりです。
BIMツールは標準化することに向いているツールだと思いますし、コンピュテーショナルデザ
インツールを使うことで複雑な形状も標準化することが可能になるツールです。
前者はどちらかと言うと部品の標準化により作図効率を高めており、後者は部品の標準化によ
り製作効率を高めています。また、両者を活用することや、その他のシステムと連携すること
で建築行為全体の効率化を高めることもできます。
おそらく現在多くの場合、効率化という部分にデジタルツールの活用メリットを見出すべく
「DX」という検討をしていると思います。
確かに、最も費用対効果が大きくデジタルツールが活きる部分ではありますが、デザインや
ディテールの検討をコツコツと手間をかけてやるという行為でも活用でき、おそらく建築デザ
インにおいて最も手を抜いてはいけない部分だと思います。
建築も日本の豊かな感性を表す大切な文化の一つだと思います。建築デザイン/ディテールで
も雨の表現のごとく様々な表現ができる、もしくは感じ取れるために効率化だけではない
「DX」も探っていかなければいけないのではないかと思います。




























