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ペーパーレス化を含むDX推進で築く環境変化に
強く、より良い組織<一建設>
2026.03.05
一建設は、飯田グループホールディングスの中核を担う総合建設会社で、50年以上の歴史を誇
る企業だ。同社が一気通貫で行う分譲戸建住宅をはじめ、注文住宅やマンション分譲事業、ア
セットソリューション事業、リフォーム事業など、建築・不動産領域で幅広く事業を手がけて
いる。
昨今、住宅業界では取り巻く環境が著しく変化しているが、一建設では、将来的にもこれまで
と変わらず高品質な住宅の提供を行っていくため、さまざまな取り組みを行っており、その
1つにデジタル技術の積極活用がある。同社の設計部でも、業務の効率化や生産性の向上を図
るべく、RPAの導入や建築CADの全面刷新などDXへ意欲的に取り組み、図面チェック業務の
ペーパーレス化は、すでに2020年に実現に至っている。
その際に導入されたのが、パナソニック ソリューションテクノロジーが提供する図面専用PDF
ソフトウェア「Bluebeam Revu (ブルービーム・レビュー) 」だ。
今回、一建設の設計部 生産管理本部 設計部 部長の多田和志氏をはじめ、設計2課の
松谷怜佳氏、中野晴香氏の3名に詳細を伺った。
一建設の事業とペーパーレス化への原動力
「我々、一建設はカスタマーにとって高品質で手の届きやすい価格を両立させた“ちょうどい
い”住宅の提供に強みを持っています。技術力の向上や企業努力を行い、お客様に満足いただ
ける住まいを届けるため、例えば、第三者機関による住宅性能評価を全棟で受けているのも特
長です」。こう語るのは、設計部でDX推進の指揮を執る部長の多田和志氏である。
設計部は、建売・注文の戸建住宅や低層集合住宅の設計を担当。営業が作成したラフ図や協力
会社が作成する実施設計図面について、法的解釈や社内規定に基づきチェックを行う。
「ご存じのとおり、土地単価や建築資材、人件費の上昇が顕著で、2025年の建築基準法改正
も我々にとってインパクトがありました。このように、住宅業界を取り巻く環境は著しい変化
が起きています」。こうした状況に対し、多田氏は単なる人員の増加ではなくデジタルによる
業務効率化に数年前から取り組み、実際にRPAの導入や、建築CADの刷新など、大きな改革を
行い成功実績を積んできた。

一建設株式会社 生産管理本部 設計部
左から部長 多田 和志 氏、設計2課 主任 松谷 怜佳 氏、設計2課 中野 晴香 氏
そして、これまで行った多くのDX推進の中で、コロナ禍に突入した直後に取り組んだのが、図
面チェック業務の完全ペーパーレス化だった。
「2020年にコロナ禍に入った当初は、設計業務が本社内に集中していたため、BCPの観点から
も働く場所を分散させ、紙に頼った仕事のやり方を早急に見直す必要がありました。もちろん
主力事業である分譲戸建事業が停止すれば、社内だけでなく取引先や職人など広範囲に影響を
及ぼしてしまいます」。
そうした危機感から、多田氏は設計部の在宅勤務の導入に並行し、2020年4月より、ペーパー
レス化の手段を模索。ノートPCへの切り替えや在宅用Wi-Fi環境の整備を進める一方で、図面
チェックツールの選定に邁進したのである。
そして、いくつかの手段やツールを試す中で、たどり着いたのがBluebeam Revu(以下、
Bluebeam)だった。「取引のある確認検査機関がペーパーレス化を推進しており、訪問して
実際の運用状況を確認した際に知ったのがBluebeamです。デモを見て直感的に使いやすいと
感じ、早速導入に動きました」。

ノートPCと液晶ペンタブレットによるBluebeamの使用の様子
生産性を飛躍的に高める機能と、直感的な操作性
Bluebeamの導入以前、設計部のチェック業務フローは、基本的に紙ベースであった。設計部
設計2課の松谷氏は「当時は送られてきた図面データを紙に印刷し、ペンでチェックした後に
それらの紙の図面をスキャンしてデータ化し、関係者に送付するという手順でした」と課題を
振り返る。1物件あたり図面が約30ページあれば、10物件で300ページ。業務開始前の準備作
業として、印刷だけで毎日30分から1時間程度はかかっていたという。
また、多田氏はBluebeam導入にあたって、使用するモニターも工夫したという。「A3サイズ
の図面を1画面で全体表示するためです。紙での作業環境を画面上でも再現することで、移行
にあたっての従業員の心理的なハードルを下げたのです」。こうして短い期間で着々と準備が
整えられ、2020年6月頃にBluebeamによるペーパーレス化が開始されたのである。
当時は在宅勤務だったため、研修時間は十分取れず習熟度には個人差があったものの、操作性
が直感的ということもあり、社員が教え合う形で知識が共有され問題なく定着していった。
「実際使用してみると1ヵ月経たないうちに慣れ、約3ヵ月で十分使いこなせるようになりまし
た」と松谷氏は使いやすさを評価する。「Bluebeamにより、図面確認の効率が大幅に向上し
ました。1日あたりの処理件数は、従来の 1.5 倍から 2 倍程度になったと感じています」と
実感を語る。
特に活用しているのが、Bluebeamのオーバーレイ機能だ。「変更が発生した図面を再チェッ
クする際には、元の図面との比較が必要になります。一次チェック後の変更図面を元の図面に
重ね合わせて、差分を瞬時に把握できるのです」。

Bluebeam上のオーバーレイ画面
そして、Bluebeamへの移行期に入社した同じく設計2課の中野氏も同様に高く評価する。
「実は、研修期間中は別ツールを一時的に利用していたのですが、別のツールでは拡大すると
動作が重くなり、画面が固まることがありました。一方でBluebeamでは図面の拡大縮小がス
ムーズにでき、画質も荒くならず、細かい図面までクリアに表現できます」。
中野氏は、スナップショット機能による図面修正も重宝しており、「例えば図面上の窓の位置
をわずかにずらす際、窓の部分だけをスナップショットで切り取り、移動させています。扉の
向きを反転させる場合も同様です」。

Bluebeamのスナップショット
また、「ペンツールなどで作成した窓や扉といった図形をシンボル登録し、別の図面作成時に
利用します。チーム内で共有されているシンボルなどもあり、これらの機能は、Bluebeamを
使い始めたばかりのユーザーでも直感的に使用できます」と中野氏はコツも語る。
さらに松谷氏と中野氏は、「寸法ツールも便利ですね。従来はCADを別に起動して寸法を測る
必要がありましたが、Bluebeam上で斜め寸法も含めた正確な長さを直接計測できます」と、
作業効率が大幅に向上していると口を揃える。

Bluebeamの寸法ツール使用例
Bluebeamの活用により、紙の印刷量が激減
また、松谷氏と中野氏は、紙とペーパーレスでの図面チェック業務を比較した際、メリットと
して、複数の担当者とのコミュニケーションや情報共有が現在スムーズになっているとも語る。
「図面をチェックし、その内容を別の担当者が確認するとき、紙の図面ではペンで書いた赤字
を消して直そうとすると紙が傷む心配がありました。また、メモ書きを気軽に入れられないこ
とにも不便を感じていました」と松谷氏。「その点、Bluebeamでは修正指示などをPDFに直
接書き込み、相手に共有できます。受け取った側は、不要な書き込みを自分で消去できるため、
元の図面データはそのままで、さらに情報共有がスムーズです」と中野氏。なお、社内のサー
バーで運用する場合も、Bluebeamは誰が書き込みを行ったかという履歴が残るため、複数人
での共同確認フローも定着したという。
もちろん紙の印刷量も激減。「現在ではA3用紙はほとんど使わず、A4用紙の購入も3ヵ月に1
回程度にまで削減されました。コピー機のランニングコストが減り、環境面への配慮もできて
います」と多田氏は語る。
一方で、現在のBluebeamの活用状況はまだ効率化の入り口に過ぎないとも多田氏は分析して
いる。「さらに設計部内で情報共有を促進し、個人が断片的に使っている便利機能を全体に展
開することで、より有効的な活用が可能だと考えています」。
そして「RPAやAPI連携の可能性なども模索し、さらにDXを進めていきたいと思います。目ま
ぐるしく変わる環境の中でも柔軟に対応し、お客様のために魅力的な住宅をつくり続けたいの
です。そのためにも、設計業務の生産性をさらに向上させ、外部要因に左右されないより良い
組織づくりを目指します」と多田氏は将来を見据える。
※本文中に記載されている内容は、取材時点のものです。
「Bluebeam Revu」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。



























