BIMの現状や課題がわかる
「主として設計者のためのBIMガイド」
2017.07.20
次世代公共建築研究会 IFC/BIM部会、一般社団法人buildingSMART Japan、一般財団法人
建築保全センターの3者は、「主として設計者のためのBIMガイド」を5月30日に刊行した。
今回は、同ガイドについて紹介する。
同ガイドの発行にあたり、中心的役割を果たした「次世代公共建築研究会 IFC/BIM部会」は、
東京工業大学大学院教授の安田幸一氏を部会長に、産学官共同でのBIM運用についての研究を
している部会だ。諸外国のBIMガイドラインおよびBIM活用事例の収集・分析を行う研究活動
や、日本でのBIM活用の現状と課題などの分析を行っている。
現在、日本の建築界においてBIMという概念は浸透してきており、その有用性は誰もが認める
ものとなっていて、BIMはプロジェクトに関わる建築主、設計者、施工者それぞれに大きなメ
リットをもたらすものとして認識されるようになってきている。
このような状況の中で、BIMが日本の建築界に良い形で根付くことを目指して出版された同書
は、BIMの現状や課題をまとめるとともに、BIM活用を促す指導的な内容となっており、日本
におけるBIMの現状や課題がよくわかる一冊に仕上がっている。
内容は、BIMが日本の社会へ根付くための提言から始まり、BIMの基本知識、企画・設計での
BIM活用、BIMとコミッショニング、国際不動産面積測定基準(IPMS)オフィス版、ライフサ
イクルにわたるBIMの課題、ソフトウェアや機器などについての解説。そして、資料編として、
6項目の資料も掲載されており、これからBIM導入を検討する経営者をはじめ、さらなる活用
を目指す技術者など、幅広い人達にとって有益な情報が掲載されている一冊だ。
BIMの概要についての説明や、BIMの活用パターンとしての国内外の設計事務所およびゼネコ
ンなどの事例を紹介し、BIMの導入意義やメリットについて図版とともに解説している。
同書は、220ページにも及ぶボリュームで、設計事務所、建設会社、FMサービス会社、団体、
大学、ICTベンダーなど、国内だけでなく海外も含む、多岐に渡る組織に所属する人達が執筆
している。
目次をご覧になれば、同書の内容がさらに掴みやすいので、同書の目次を下記に掲載する。
事例が豊富に掲載されている同書だが、世界的に有名な建築設計事務所であるフォスター・
アンド・パートナーズをはじめとする海外におけるBIM関連事例が4事例、国内の代表的BIM
事例が21事例掲載されている。
事例は、図版を多数掲載しているものが多く、ポイントがわかりやすくまとめられている。
また、執筆陣も豪華な顔ぶれで、日建設計の山梨知彦氏や、NTTファシリティーズの松岡
辰郎氏、鹿島建設の矢島和美氏など業界の著名人が名を連ね、読み応え充分な内容だ。
同書の価格は、2,700円(税別)で、書店などで販売している。