デジタルコミュニケーションへの慣れ
2020.04.21
パラメトリック・ボイス SUDARE TECHNOLOGIES 丹野貴一郎
まずは、新型コロナウイルスによりお亡くなりになられた方に哀悼の意を表するとともに、
ご遺族の方には心よりお悔やみ申し上げます。
多くの方がほとんど家から出ない生活を送っていると思いますが、私も多分に漏れず必要最低
限の外出以外は自宅で過ごしています。
実はこの3月で長年勤めた清水建設を退社し、4月より独立をしたのですが、このような状況で
あまり実感のないままのスタートとなっています。
他の方も書かれていますが、オンラインコミュニケーションツールを使っての業務に対応せざ
るを得ない状況により、これまでの業務の無駄や、逆に本来対面でやるべきことに気付いてい
るのではないかと思います。
オンライン会議では同時に複数の人が話すと聞き分けられなくなるため、話す人と聞く人が明
確に分かれます。これにより発言に対してある種のバイアスがかかり、意味のない相槌を入れ
るような事がしにくくなると思います。
これは良く言われていることですが、本来会議というものは何らかを決定するために意見を出
し合う場なので、オンライン会議で発言がない人は貴重な時間を使って参加せずに、結果の報
告を受ければ良いと思います。
会議は、ほとんどの場合以下の構成になると思います。
まずは何らかの課題があって、
①それに対する答えを持ってくる人
②答えに対する助言をする人
③方針を決定する人
おそらくこの3つに当てはまらない人はオンライン会議ではマイクがミュートのまま終わるの
ではないでしょうか。
自分がどの役割で会議に参加するかの意識をもてば、参加するべきか否か、参加した場合に何
をするべきかがわかってくるのではないかと思います。
ただ、実際には同時多発的に色々な会話がなされる中で議論を深めていくような場面もあると
思います。今のところこれがオンラインでも良い会議と対面の方が良い会議の切り分けになる
のではないかと感じています。
現在すでに多くのゼネコンが現場の中断を決定しています。
工事そのものは進めようがない状況ですが、おそらく設計は完璧に終わった状態で工事をして
いるプロジェクトは少ないと思いますので、検討すべき項目はたくさんあると思います。
本来は工事を進めながら同時に検討をしていくところですが、できるだけ事前検討をすすめて、
工事をスムーズにする方針にシフトしたほうが良いのではないでしょうか。
BIMの入力は資料があれば対面の打ち合わせなしでも進められます。また、BIMで確認ができ
れば遠隔地でも共有することができます。本来BIMが持っている“デジタル空間での検討によ
るフロントローディング”というポテンシャルを活かす時が来たのだと思います。
もちろん簡単にシフトできることではありませんが、ここで始めなければ、会議に参加すらで
きない人になってしまうかもしれません。
ところで、個人的にはそもそもコミュニケーション自体が得意な方ではないので、新しい手段
でのコミュニケーションには戸惑いがありました。ずっとカメラを向いていないといけない気
がする、話し出すタイミングをはかっているため変な間が開くなど、慣れてしまえばそれまで
なのですが、いまだに若干の緊張感があります(共感してくれる方いませんか?)。
山梨さんのコラムにも取り上げられていましたが、私もZoom飲み会なるものをしてみました。
仲の良い人だけでやったにもかかわらず、慣れるまでに時間がかかり、普段であれば深酒をす
るところ、なかなかに疲れて早めに切り上げました。
デジタルツールの使い方だけではなく、コミュニケーションを含めた行動の一部としての慣れ
も必要な時代になってきたと感じています。