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コラム

DXの一歩

2022.01.27

パラメトリック・ボイス         SUDARE TECHNOLOGIES 丹野貴一郎

すっかりDXという言葉が浸透していますが、理解されていないという話や、日本では失敗が
多いという話もよく聞きます。

聞き飽きている方もいるかもしれませんが、DX(デジタルトランスフォーション)と近い
言葉にデジタイゼーションとデジタライゼーションがあり、まずはそれらを理解することが重
要と言われています。

総務省の情報通信白書から引用すると以下の定義になります。

・Digitization(デジタイゼーション)
既存の紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換すること

・Digitalization(デジタライゼーション)
組織のビジネスモデル全体を一新し、クライアントやパートナーに対してサービスを提供する
より良い方法を構築すること

・DX / Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、
文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラトフォーム(クラウド、モビリティ、ビッ
グデタ/アナリテクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジ
ネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価
値を創出し、競争上の優位性を確立すること

私の業務で例えると、図面をCAD化することが「デジタイゼン」、3DCADやBIMツ
を使って課題解決することが「デジタライゼーション」、既存のツールやフローにとらわれず
に状況に合わせて改善提案を行うことが「デジタルトランスフォーメーション」といったとこ
ろでしょうか。
この場合「デジタルトランスフォーメーション」とは、デジタルとリアルをつなぎあわせマネ
ジメントするような役割をつくること、参加する立場やタイミングを考えることと言い換えて
も良いでしょう。
 
上の定義を見てもわかる通り、DXでは様なデジタル技術やサビスだけではなく関わる人々
や変化する状況をトータルで考える必要があります。
日々更新されるデジタル技術を把握しながらリアルなプロジェクトの状況を読める人材。書き
ながらもそんな人いたらすごいな、と思うような人材の育成が必要になっているのです。
 
私は日本の建築DXのカギは人材育成と組織変革だと思っています。
教育機関と企業が協力して本気で取り組まなければ建築業界は取り残されてしまう事が明白で
す。前例がないからといてこれまでのように時間をかけて体制を作っていては本末転倒です
とりあえず小さな目標を決めて、慣習にとらわれない研究や開発を始めてみて欲しいと思いま
す。成功しても失敗しても次につながる成果や見えてくる本質的な課題があるでしょう。

さて、大きな話をしすぎたので、最後に身近な話です。

私が一緒に仕事をしているメンバーはソフトウアのスキルは私より高かたりするのですが
例えばGrasshopperで施工現場に対応したモデルを構築しようとすると当初の予定よりも
時間(つまりお金)がかかってしまう事があります。

これは単純に建築プロジェクトでは変更を見据えた方針を立てきれないことが大きな原因だっ
たりしますが、その他にパラメータの設定やプログラムのモジュール構成、実は手作業で
良かったものなどの経験に基づく判断が影響することも少なくありません。
 
結果が決まっているプログラムであれば、役割を分担してそれぞれが作成したものを組み合わ
せれば良いのですが(それはそれで簡単な事ではありませんが)、結果が決まっていないもの
に対してアルゴリズムやプログラムを作成する場合は、スタート時にはやり直しができる程度
の簡易なところから始めて、決定事項が増える都度複雑にしていくようなやり方が向いている
と思います。
また、ドミノの様にどこかが倒れたら残りが全て倒れるのではなく、取り返しがつく程度に切
り分けておく事も大事です。
このさじ加減をチームで共有する必要があるのですが、これを伝えるのがなかなかに難しいで
す(得意な人がうらやましい。。。)。
 
おそらくプロジェクトが終わるころには少しは理解してもらえるかな、とも思いながら、他に
できる方法は無いかなと探り続ける日々を送っています。
このような日常一つ一つもDXの一歩に繋がっているはずなのです。

丹野 貴一郎 氏

SUDARE TECHNOLOGIES    代表取締役社長