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ユーザー事例紹介

BIMデータの自動変換による見える化で合意形成を
早期に実現へ<U’sFactory>

2022.04.25

BIMを活用した事業を展開し、建設会社や設計事務所が抱える課題の解決やコンサルテング
を行うU’sFactory(ユーズファクトリ)。
同社が主軸として展開する、BIM積算&全自動施工図作成システムの「BI For Archicad」が、
GDLオブジェクトの自動変換で大幅に進化し、導入企業が増加している。
同ソリューションは、GRAPHISOFT社のArchicadで作成したBIMデータを利用し、そのまま
積算・施工モデルを作成・編集できるアドオンツールだ。Archicad上での3Dモデル作成に加
え、見積作成と工程シミュレーションなども行える。
今回、このさまざまな機能を持つツールにおいて、GDLオブジェクトの自動変換機能が強化
された。その具体的な機能やメリットをはじめ、アップデートしてきた部分や背景なども含め
て、同社の代表取締役社長 上嶋泰史氏にお話を伺った。

GDLの自動変換機能で大幅に向上したBIM積算とモデル作成
U’sFactoryの代表取締役の上嶋泰史氏は大手ゼネコンに在籍していた2003年より、
積算施工図モデル活用の構想と開発を始めた。そして、2013年に起業し、リリースしたのが
Archicadのアドオンソフトとして、積算と工程シミュレーションまでをBIMで一貫して行える
「BI for Archicad」だ。
「BIMではとにかく数量に関係する話が複雑で、見積段階や現場での精算において悩みの種に
なっています」と起業時から上嶋氏は指摘する。

     株式会社U’sFactory 代表取締役社長 上嶋 泰史 氏

     株式会社U’sFactory 代表取締役社長 上嶋 泰史 氏


「建物の躯体では、一般的にどのBIMソフトにおいても複合的な数量を出せません。例えば、
鉄筋の複雑な取り合いがある時、プラスαの手拾い部分は個別にデータを入力する必要があり
ます。特記仕様書や、JASS5に記載されている品質に必要な項目追加において、いかに個別
入力を減らすかという考え方をBIMでしなければならないのに誰も手を加えようとしないのが
現実でした」。そのような状況を打破するため上嶋氏はその課題に向き合い機能を開発して
きた。

 BI For Archicadの全体概要

 BI For Archicadの全体概要


上嶋氏によると、積算専用ソフトは、3Dとの連携が部分的には可能であるものの、BIMソフ
ト上での編集や、連携後の追加・修正が難しいという。その点、BI for Archicadは、
Archicad上で修正などが可能で、専門ソフトに依存しないことが大きな特長だ。
BI for Archicadは、積算と施工を一体化しての検討を促進する。上嶋氏は「これまでは“積算
と施工は別物”とされていました。でも、確認申請後に間違いが発見される場合もあります。
BIMで積算と施工を早い段階で一緒に検討できれば、不具合の早期発見が可能です。時間も手
間もかけられない現場では、積算と施工を一体化しての合意形成のニーズは高いといえるで
しょう」と語る。企業内の見積部門のユーザーが積極的に参加していることも、近年の顕著な
流れだ。「製作図が必要な部材では取り付け方法も踏まえ、すべてが積算と連動しています。
仕上げの積算でも、3Dカラーパレット材質と連携するので積算内容は誰が見てもわかりやす
くなっています」と上嶋氏はいう。

 カラーパレットと仕上げ積算

 カラーパレットと仕上げ積算


また、上嶋氏は躯体工事を例に「積算基準で考える数字と、実数の拾いは異なる。最終的に見
積数量が手拾いで行われると積算基準と実数が混在してきて、どこを分母となる数字にするの
かが曖昧になり、積算基準も明確ではなくなります」と指摘する。しかしながら、見積時に使
える数量を算出可能なオプションを備え、見積段階と、鉄筋工に必要な加工帳明細が同時に利
用できるところが利用者目線に立ったシステムとしている。鉄筋の部材リストは、一方向の断
面図での指示から読み取らなければならあい場合が多い。「詳細納まりが曖昧な認識のままで
合意形成されているのが現状です。だからこそ、3Dモデルで見える化して積算まで行えるこ
とがとても重要です」と上嶋氏は説明する。

 鉄筋詳細モデル自動作図

 鉄筋詳細モデル自動作図


現場の立場で開発された数々のメリット
同ソフトが近年一層強化したのは、部材に定義されているデータを構造図から読み取り、構造
図と同じような図面がリアルタイムでできていく機能だ。専用の入力ツールを使えば、構造計
算データと仕様書の内容をプログラムでGDLオブジェクトに自動変換するので柱や梁の鉄筋が
3Dで自動生成されて見える化できる。

 全自動施工図作図

 全自動施工図作図


「これまで複雑な鉄筋の1本1本の取り合いは構造図に描いてあっても、実際に加工図レベルで
納めることが2Dでは困難でした。質疑応答のやり取りを膨大に行っていたのが、すべて3Dで
簡単に鉄筋の詳細納まりを確認できます。そして、1本ずつ情報を持ち合わせた上で差筋、継
手、定着長さの個別の調整が可能となります」と上嶋氏。さらに図面データを鉄筋加工帳や重
量明細票にまで出力できる。この機能は大手鉄筋工(職長)監修の元プログラムを実装してい
ることから、実プロジェクトで使えると大手ゼネコンの現場監督や構造担当者の評価を得たの
も当然と言えるだろう。

 作業所事例:鉄筋3D詳細モデルを活用

 作業所事例:鉄筋3D詳細モデルを活用


鉄骨造を例にとっても、BI for Archicadでは柱と梁のジョイント部で現場の製作物に近いガ
セットプレート、スチフナーなどが用意されており、プログラムでGDLのオブジェクトを調整
できる。構造計算書には入力しない方杖や、横補剛材、ブレースなども積算しながら調整が可
能。さらに、胴縁などの壁下地を作る際は開口部の位置や大きさを入れることで仕上げ材の
ジョイントや下地の位置も連動して変わってくる。調整したデータを制作CADに送ることで、
手戻りが大幅に減る。
専用CADに比べて、BIM上で終始操作できるメリットは大きい。「ゼネコンと鉄骨製作会社で
は求めているものが異なります。リアルに近いかたちで、次の専門業者に明確な指示書を3D
で受け渡すことができるのかに注力してきました」と、現場のニーズを知り尽くし、ニーズに
応えてきた上嶋氏は語る。

 鉄骨・付帯鉄骨・鉄筋・仮設を詳細検討

 鉄骨・付帯鉄骨・鉄筋・仮設を詳細検討


そして、現場では工程シミュレーションの機能がユーザーから好評だ。Archicadの中で工程
表を作成でき、さらに工事内容とオブジェクトが結びついているため、工程ごとの数量を把握
できる。イベントは自動で登録され、部分的な修正がかかっても、自動で随時反映されていく。
これらの機能を使って3Dデータを作成しても同ソフトはArchicad上で動くため、ファイルサ
イズが軽量で済む。「どうしても他社ソフトでIFCデータと連携するとデータが重くなってい
ましたが、一般的なデータに比べると10分の1や20分の1でのサイズとなります」と上嶋氏は
メリットをさらに語る。

コンサルティングから得るユーザーの要望を反映
そして同社はBI For Archicadの提供に加えその導入企業にコンサルティングを行い業務
の改善や提案まで行えることが強みとなっている。業務の中でどのように使われているのか分
析し、ニーズを的確に把握してプロジェクトの問題解決に役立てているのだ。
その中で上嶋氏は、BI For Archicadユーザーや企業のマインドが大きく変化してきたことを実
感しているという。ユーザーから「こんなことができるのであれば社内の体制づくりを整えよ
う、という動きが出ています。これまでは3Dにどこから手を付けていいのかわからなかった企
業も、乗り気になっているのです」と上嶋氏。
同時に、ユーザーからの意見や要望、アイデアも多く届くようになった。以前から自社内にプ
ログラマーを抱えて対応してきた同社だが、レスポンスや改善はスピード・量ともに人員を増
加し、更に加速している。上嶋氏は「業界のため、ユーザーが一緒に育てようとしてくれてい
ることを感じます」と語る。
例えば、床の表示で2Dだけでなく凡例の3Dにも色を付けるという見せ方は、ユーザーからの
要望を受けて開発したもの。一つひとつ手入力することなくシステマチックに連動させること
で実現した。画面上でのユーザビリティ向上のためのインターフェースも、ユーザーのアイデ
アを取り入れて発展させてきた。
日本での建設は、敷地境界や延焼範囲の設定など建築基準法都市の条例などでの制限が多く、
仕上げや建具に複雑な設定が必要である。上嶋氏は「面倒なものをいかに簡単にできるように
するか」に、焦点を引き続き当てていくという。「現場では、よりリアリティをもって、より
簡単にいろんなことができることが大切です。“見える化”は思っている以上に大事なことで、
できることを見せれば、世の中は変わるのです」と上嶋氏は確信を持って語った。

「BI For Archicad」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。