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コラム

汗とセンサー&AI

2022.09.15

ArchiFuture's Eye               ARX建築研究所 松家 克

“BIM的センサー”の視点で以前にコラムを書いたが、今回は“汗とセンサー”の第2弾。
今年6月下旬から7月に掛けて東京は季節外れの記録的猛暑日が九日間も連続し8月も含め
猛暑日16日の最多記録を更新した世界的な気候変動はイタリアのアルプス山脈の氷河も融
かし、今迄経験の無い大崩落で6人が死亡。併せ、百年とも一千年に一度とも言われている大
干ばつは世界中に拡大している。ヨーロッパのライン川・他の水不足の被害がオランダ、フラ
ンスなどで顕著となり他領域の地中海沿岸やスペイン、オーストリア、米南西部、中南米の
南部と西部、マダガスカル、アフリカなど地球の陸域で農業や水運、放牧などの畜産、発電、
飲料水などにウクライナ戦争とも重なり、大きな影響と被害が見られるこの気候変動は地球
温暖化の一端でもあり、気象条件が重層した結果かもしれない。

汗っかきの小生はこの猛暑の中上り坂途中の宮崎台駅に歩き着くと溢れるように汗が出る
何故?体を汗で冷やせと脳が指令を出し自律神経が血管の径を変化させ血流をコントロール
しているという暑さと運動量を推し量り身体の体温を下げ身体状態を正常に保つための汗だ
と考えられ、汗をかけと脳が指令するのは何らかのセンサーがあると推察できる。それでは、
人体のセンサーは何処に何があり数量や形態は?頭脳との関連は?センサー開発に応用出来
るのか?
多くの研究者が既に研究済みか研究開発中だと考えるがホンダが世界で初めて41年前の
1981年に商品化したナビゲーションシステムはゴキブリの触角=センサーと神経+脳の
研究が基礎研究の一つと聞いた本体機構はジャイロと組み合わせたアナログであった。特
許は公開されたというその後、GPSでのナビとなりスマホなどのナビアプリに継続され
今に至っているゴキブリの研究結果を踏まえアナログで商品化されデジタルで現在のスマ
ホ・アプリに繋がったといえる朝日新聞によれば命あるゴキブリのサイボーグ化に理化学
研究所などのチムが成功。薄膜の太陽電池を背負わせ、ゆくゆくは温度センサを付ける計
画。ハイブリッド化で災害現場などでの活躍を期待しているという正にゴキブリセンサー!
人や動植物のセンサーと人工のセンサーとは重さや大きさと消費エネルギー、センシング能
力に雲泥の差があるというまだまだ発展と開発のノビシロと余地が科学には大きく残されて
いるともいえる。

この猛暑中のワクチン接種も含め身体の五感センサーが状況を検知し汗だけでなく、いろいろ
な反応を示した。Wikipediaに依れば、五感とは、動物やヒトが外界の状態を感知するための
多種類の感覚機能。古い分類での5種類は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚だというしかし
5種類以上あることも今では分かっている。細分すれば20種類余りとの説明もある触覚は
生理学的には体性感覚に相当するらしいが、体性感覚は単純に皮膚感覚を脳に伝えるだけで
なく、触覚、痛覚、温度覚の表在感覚、圧覚、位置覚、振動覚の深部覚二点識別覚立体識
別能力の皮質性感覚など多様な機能を含んでいるという。それ以外にも、感覚には内臓感覚、
平衡感覚などが存在するともいう五感の刺激は閃きや新しい発想を促す効果もあると推定
される最近コレド室町のイマーシブミュージアムや国立科学博物館などで見られる大スク
リーンに360度投影した映像の中に入る没入感を体験するアートなども視覚センサーや脳を刺
激する。新しい発想や閃きに繋がるかも知れない。
ワクチンやウイルス対応の抗体生成過程にも何らかのセンサーとメモリーが介在し結果
原侵入の際にメモリーの記憶反応で瞬時に異物攻撃と排除に対応するのではと考えるがまだ
まだ未知の多くのセンサーが人間にはあるのだろう。

動植物にも未発見の多くのセンサーがあると考えられるが最近発見された蚊のたんぱく質か
ら人間呼気のオクテノールの検出が出来るセンサーが実現。一方アニサキスにも独特の臭い
センサーがありこれらの臭いセンサーで初期の癌の検出が出来る可能性があるというヒマ
ワリは太陽光に反応し顔を太陽の方向に向ける。これも光センサーを持つのだろうか。
センサーで集められたデータの分析や検証AI解析シミュレーションなどに活躍するスー
パーコンピータの電力消費はおよそ20メガWであり人間の脳の消費は20W足らずだとい
う。植物や虫はもっと分析や反応の消費は少なくセンサーもシンプルで巧みなものだと考え
られる。まだまだ科学の世界は、奥が深く魅惑的である。

人工的なセンサーは、自然現象や人工物の機械的・電磁気的・熱的・音響的・化学的性質ある
いはそれらで示される空間情報・時間情報を何らかの科学的原理を応用して人間や機械が扱
い易い別媒体の信号に置き換える装置であり、センサーを利用した計測判別を行うことをセ
ンシングと呼ぶという。
それではセンサーと共存する機器類や人の部位などを思い起こし関連するだろう言葉や事
象・物象を挙げて見ると、建築設計・施工・建設現場、CAD・BIM、各種ソフト、便座、
体重計体温計車のOTA=Over The Air 自動運転とAIスマートウォッチ
各種カメラ各種アプリ介護現場シルバー対象のAI対話チャットなどの各種対応センサー
人感センサー、サーモグラフィ超音波センサーレーザーセンサー光電センサーファイ
バーセンサー、カラーセンサー、近接センサー、渦電流式変位センサー、画像判別センサー、
耳の奥の気圧センサー人工衛星もセンサーと言えるVRが装置されているロボットには身
体の動きを伝えるセンサー、アグリカルチャーと気候や生育状況のセンサーパルスオキシ
メーター、F1エンジン内センサー、線路工事監視センサー、東京オリンピックで新種目に
なったBMXなどの各種スポーツの動きやフーメーシン分析を促すデータを検知するセン
サー、人の暑熱順化を助けるセンサー、無人コンビニのカメラセンサー無人スーパーのス
マートカートなど枚挙に暇がない人のセンサーは、首筋や頭、内外部の全身にあり、センシ
ング結果を頭脳で判断し指令反応を瞬時にしていると確信できる。
話は跳ぶが立場の違う相手とベクトルを自然に合わせるスキルがエンパシー=共感力だとい
う。エンパシー力は人が実績や経験を積み重ねた結果高度に発達した五感センサーに依るの
かも知れない。話すことも大事だが、聞き上手も重要だといわれるこの聞くスキルの基がセ
ンシングではないだろうか。

話は変わるが、今のウクライナでは刻々と変化する惨憺たる状況をデジタル技術でリアルタイ
ムに把握している。これを支援し耳目を集めているのは、OSINT:オープンソースインテ
リジェンス=Open source intelligenceである元々は諜報活動の一環としてスタート公開
され利用可能な情報を源に、機密情報等を収集し分析する手法だという公開され利用可能な
情報とは合法的に入手できる情報で、トップに対するインタビュー記事や企業のプレスリリー
ス、書籍、インターネット情報等が挙げられるこれらを合法的に調べてセンサー的な視野で
分析することにより、断片的なデータから、意味を持った情報が得られる場合があるという。OSINTはビジネスで有効に活用することもできるが応用には注意が必要だという当然のこ
ととして、センサーやAIなどの利用がある。
他方、ウクライナで活躍しているのがスターリンク。これは通信インフラであり、2021年半
ば時点で1600基を超える衛星で構成された高速インターネット通信網。さらなる増基も進め
ているという。
併せ電波を観察する衛星で人の活動や移動している場所を特定できる技術が活躍している
という。厚い雲でも問題なく地上の様子を確認できる“SAR”もウクライナで活躍。これは、
レーダーにマイクロ波を組み合わせてセンシングし、夜間や天候が悪くても観測を可能とした
センサーである。

人間が創り上げたセンサーは、種類も多く理解や把握には程遠いが残暑が続く中自分自身
のセンサーで汗が抑えられるセンサー位置の探索を扇子の風で試みた。頭の頂部から顔、目、
頬、コメカミ、鼻、鼻孔、口、口内、舌、喉、耳、顎、首、首筋、肩、上腕、前腕手首
の甲、手のひら、各指、胸、脇の下、腹、脇腹、腰、尻、大腿、膝、下腿、脛、脹脛、足首、
足、足指、足裏と何カ所も風を送ってみたが変化なく徒労に終わりここが特定の汗センサー
だという部位は見つからなかった個人差もあるだろうが、頭頂部や顔のセンター部の額、鼻
とマスクをすると口の周辺に溢れるように汗が噴き出した額や口の周辺には暑さ・寒さや湿
度、高さ、怖さ、空気の流れ、危険察知などの多くのセンサー類があることを改めて理解出来
た。合わせ、全身のセンサーが有効に働き状況を把握しているのだろうと考えている暑さが
続き小生の暑熱順化も進んだ。興味津々、う~ん、奥が深い感が強くある。
と、溢れるような汗で思い浮かべ、書き始めた時は猛暑の真っ盛り。今日は風も少し秋めき、
ひまわり8号のデータをATなどで解析し、進路を予想した“藤原効果”などで特殊な動きをし
た台風11号その通過後の秋の虫の音が聞かれる季節に変化しているコロナやウクライナな
ど、時の流れの速さは増すばかりである。

最後に、今の社会でセンサーとセンシングスキル、デジタル、AIは切っては切れなく、近未
来にとても重要だと考えられる。センサーと密接な関係にあるデジタルアーチェリー・ゴルフ
などのデジタルスポーツ、NFTアートなどは、このコロナ禍で人気が出ているという。当然
のことだがデジタル新技術とAIとも共に発展していくものと考えられる。併せ、まだまだ開
発の空白と伸び代がこの領域では大きく残され研究やビジネスでのビッグチャンスがあると
思えるが如何だろうか。新たなセンサーの今後の展開と発展を大いに期待したい。

松家 克 氏

ARX建築研究所 Gr.代表