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コラム

BIMをわかりやすく説明したイラスト

2016.03.11

ArchiFuture's Eye                 大成建設 猪里孝司

2月16日(火)に「BIMの日2016シンポジウム」が開催された。230名を超える参加申し込
みがあり、あらためてBIMへの関心の高さを認識した。私にとって一番の収穫は、BIMを表す
大変親しみやすいイラストに出会ったことである。イラストの作者はアルゴリズムデザインラ
ボ(ADL)の重村珠穂さん。コラム仲間の池田先生の教え子で、午後の部のパネリストでもあ
る。ご自身の発表の中でこのイラストが使われており、心を奪われた。私も含めBIMに携わっ
ている人はエンジニア、技術者が多い。BIMを説明する図は正確かもしれないが、硬く面白味
がない。BIMをわかりやすく説明したい、ひとことで表したいと常々思っているのだが、まだ
答えにたどり着けない。このイラストが答えというわけではないが、何だか面白そうだと興味
を持ってもらえるに違いない。その場で重村さんにお許しを得たので、BIMを説明する場面で
使っていこうと思っている。
 
シンポジウムの午前の部では2015年9月に実施されBIMのコンペ、Build Live Japan 2015の
受賞作品の発表とパネルディスカッションが行われた。今回のBuild Live Japanは城下町のま
ちづくり、まちなみ再生にBIMを活用することがテーマであった。BIMの新たな可能性を探る
試みであったといえる。舞台となった大分県杵築市から市長とまちづくり協議会会長が、シン
ポジウムに駆けつけていただいた。昨年10月のコラムで杵築の感想を述べさせていただいたが、
まちだけでなく人も素晴らしいことの証しである。市長には「市民みんなが城下町の未来をみ
ることができた」と言っていただいた。有難いことである。一方、まちづくり協議会の会長は
「BIMといっても市民はわからない。『未来の城下町をのぞいてみよう』と伝えた」と発言さ
れた。会長のこの発言は、BIMとBIMに携わる者の問題点を端的に表している。“BIM”という
単語がまだまだ内輪の言葉で、一般の人に全く訴求していない。BIMを普及させるには、技術
や制度の課題を解決するだけでなく、建築に深くかかわらない人にもBIMを知ってもらう必要
がある。BIMとは何かを一般の人にもわかりやすく説明しなければいけない。重村さんのイラ
ストと下村会長の言葉をヒントに、BIMをわかりやすく伝えることを目指したい。
 
なお、Build Live Japan 2015の詳細は主催団体であるIAI日本が発行した“Build Live
Japan 2015 Collection”をご覧いただきたい。

 ©アルゴリズムデザインラボ

 ©アルゴリズムデザインラボ

猪里 孝司 氏

大成建設 設計本部 設計企画部長