ファシリティマネジメントのための
BIMガイドライン~BIMをFMで活用するために
2019.11.29
公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会(以下、JFMA)は、「ファシリティマネジメン
トのための BIMガイドライン」を刊行した。
今回は、同書について紹介する。
建築設計分野を中心に国内外のBIM活用事例が広く紹介され、BIMの普及が広がっている。
BIMとFMを連携させるソリューションやソフトウェアが提供され始めたことや、BIMの知識
を持つファシリティマネジャーが増えつつあることもあり、FM業務におけるBIMの活用が
一部で始まっている。
また、VRなどの表現技術やセンシング技術の融合、ドローンの実用化など新たなビジネスが
現実化し、社会のデジタル情報への期待が膨らんでいる。その一方で、BIMに必要となるハー
ドウェアの高性能化による投資額の増大や、情報量の増加に伴うBIMモデルの肥大化、それ
らの活用スキルを持った人材の不足など、新たな課題も浮かび上がってきている。
このような状況のなかで、ファシリティマネジャーのBIMに対するニーズが高まっているが、
それをどう具現化するかを模索しているのが現状だ。そこで同書ではファシリティマネジャー
のこのようなニーズに応えるため「BIMの活用」というテーマに絞り、FMでBIMを活用する
ために必要な事項を具体的かつ簡潔にまとめている。ファシリティマネジャーおよび関係者
の役割、事前にとり決めておくべきこと、BIMが提供できる情報などについて具体的に示し
た一冊に仕上がっている。
内容は、「ガイドラインの目的と使い方」から始まり、「BIM活用の現状」、「関係者の役
割」、「FMのためのBIM実行計画(BEP)」、「FMで必要なBIMモデル」、「事例紹介」、
そして、「未来の話」など、発注者としてのファシリティマネジャーが、どのようにBIMを
有効活用すると効果的かがわかる一冊となっている。
同書は、大成建設の猪里孝司氏が部会長を務めるJFMAのBIM・FM研究部会によってまとめ
られたもので、100ページ以上におよぶボリュームだ。建築主、FMサービス会社、設計事務
所、建設会社、大学、ソフトウェアベンダーなど多岐に渡る組織に所属するメンバーら
約50名で構成された同研究部会の中心的メンバーが執筆している。
目次をご覧になれば、同書の内容がさらに掴みやすいので、同書の目次を下記に掲載する。
BIMとFMは、どちらも建物の情報を扱うが、使用している言葉や求めている情報が微妙に異
なるため、お互いの情報が有効活用されていない。同書は、そのようなBIMとFMの間に入り、
お互いの業務を通訳し、情報の回路をつなぐことで両者の親和性が向上することを目指した
一冊となっている。
ファシリティマネジャーはもちろん、建築の発注に関わる人、FMをBIMの出口の一つとして
考えている人などにとって、同書は大変参考になる内容となっている。
価格は2,200円(JFMA会員は1,760円/いずれも税込・送料別)で、JFMAのWebサイトに購入
方法などについての詳しい情報が掲載されている。