まずはデータ整理をしてみる
2020.06.18
パラメトリック・ボイス SUDARE TECHNOLOGIES 丹野貴一郎
近頃ニューノーマルという言葉をよく聞くようになりました。
そもそも働き方改革という取り組みをしていたはずなのに、横文字の“かっこよさげ”な言葉が
出てくると飛びついてしまう日本人の性なのか、しばらくはこの言葉に踊らされそうです。
言葉の問題はさておき、このような変化の時には業務内容を整理する機会が増えます。
私も18年間同じ会社で同じような業務をおこなっていたので、業務内容を整理することをさ
ぼっていてもなんとかなっていたのですが(迷惑をおかけした方々すみません)、会社を設立
してみるとそれでは仕事がまわらない事にすぐ気づかされました。
以前もコラムで書いたと思いますが、もともと自分が何をやっている人なのかわかりにくい仕
事の仕方をしていたため、業務内容を説明するだけでも非常に頭を悩ませます。
業務をするうえで整理をするというのは非常に大事で、例えば優秀な大工さんは自分の道具箱
というものを大切にしており、どこにあるかわからないとか手入れができていないというのは
失格です(私は机の周りが荷物でいっぱいなタイプで失格です)。
建設現場で考えると、多くの資材や道具があり、多くの作業員の方がかかわるため、誰がいつ
使うものかにより整理されているかが工事の進捗や品質に関わってきます。良い現場というの
はきれいな現場であると言われます。これは、上記の理由で現場がしっかりと管理されている
証拠なのです。
なかなか難しいことですが、現場事務所だって短くはない期間使う場所なので、そこで働く
人々が使いやすいように設計されていた方がよいのです。
現在は人とモノの整理に加えて、情報(データ)の整理が大きな課題となっています。
主な情報のやり取りを挙げてみると、
・対面の打ち合わせ
・郵便
・電話
・FAX
・メール
があり、現在ではこれらに加え様々なコミュニケーションツールを併用していると思います。
コミュニケーションの手段が増え情報の保管方法や場所が増えていくと、それだけ管理が大変
になっていくので、まずはそれらの情報を集約して整理していく手段を考えることになります。
おそらく、全てを印刷してファイリング保管するというのはどんどん難しくなっていきますの
で、デジタルデータにして保管していくことになるでしょう。
ところが、人がデータの移動をする場合、ファイルを判別して名前や場所をリスト化し、場合
によっては置くべき場所を見つけて移動するという手間が発生するうえに、数が増えてくると
ミスも増えてきます。
そこで登場するのがクラウドサービスです。
多くのコミュニケーションツールはクラウドで連携する機能を持っている(もしくは開発環境
が用意されている)ため、設定をしてしまえばユーザーが意識することなく自動的にデータが
集約、整理されていくことが可能になります。
クラウドサービスをどこからでも見られるストレージサーバとだけ思っている方も少なくあり
ませんが(国会の話ではありません)、このように連携できることが大きなメリットのひとつ
です。
コンピューターは整理されていない情報を扱う事が苦手なので、多くの情報を扱う場合には
データベースのような枠組みに入れることが多いのですが、データベースはしっかりと設計し
ないと後々使えないものになってしまったりします。
どんな場合でも情報化する際には情報をどのように扱うかを考えながらコンピューターが理解
できる枠組みに落とし込むことが必要になります。
テレワークが増えていく中で様々な場所で様々な情報のやり取りが増えていくと思いますので、
この機会に情報の整理について今一度考えてみてください。人やモノの整理に加えて情報の整
理ができることが時代に合った建築のプロセスなのだと思います。