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クローズアップ

イノベーションの舞台としての「未来のゲンバ」

2015.10.09

                           慶應義塾大学 池田靖史

今年のArchi Futureでは午後のパネルディスカッションの司会をする事になっていて、誰より
も楽しみにしているのはこのセッション企画を思いついた私だと思う。

コンピュテーショナルな方法論が設計から施工へというワークフローの融合を引き起こして施
工現場を変えるかも知れないと数年前に発言した時、すぐに腑に落ちた人はそう多くなかった
のではないかと思っているし、私自身ももう少し遠い未来かと思っていた。しかし現実の動き
は意外に早く、本当にその現場に立ち会っている人たちがいる。

例えば構造体が明快なパラメトリックモデルで設計されていれば、パラメーターの調整は現場
に入って生産性や施工性から再検討可能だし、それが工期やコストに与える影響を計算させる
こともできる。クレーンや足場などの仮設工事を3Dモデリングして検討する事は作業の効率
化や安全確保に役立つだけでなく、その条件を設計にも活かす事ができるようになる。建築は
非常に多くの人が協調的に働いて実現できるものだからコミュニケーションによる調整が最も
重要である。

建設現場でロボットが働いているようになった訳では決してないが、それぞれの工夫でコミュ
ニケーション形式の革新が建設作業のプロセスを変える事を実践している新しい世代が3Kと
呼ばれた業界に新風を吹き込んでいることをいる事をぜひ多くの人に知ってもらい、イノベー
ションの舞台としての「未来のゲンバ」について語り合ってほしいと考えている。
 
※<パネルディスカッションのテーマなどについては、Archi Future 2015のWebサイトで>